見出し画像

ハッピーエンドは眠りについてから~ランタナ心の花~【第19魂】

【転生~わからない~】

  誠が消えた次の日。早矢華は荷物をまとめていた。
「とりあえず実家に戻っていろいろやり直すかな!」
  明るさを取り戻していた。命を絶とうととした次の日とは思えないくらい明る。これもあの花のおかげだ。
「はぁでもせめてまこちゃんとの子供が欲しかったな」
  悔いはあるが仕方がない。部屋の片付け途中アルバムを見出した。少し前は泣きながら写真を見ていたのに、今は笑って見られる。楽しかった、幸せだった思い出を振り返った。
「私の側にはまこちゃんが居るんだ♪」
  その姿を天塚が見ていた。とりあえず一安心だ。天塚の心配は誠だ。無事だろうか。何もしてやれない。誠がずっとさ迷う事を選んだのだから仕方がないのだが。
  早矢華の前から消えてすぐに闇の世界に来た。不思議な気分だ。体はあるのか?魂だけなのか?大きいのか小さいのか?歩いてる?走ってる?はたまた、空を飛んでいるのか?わからない。ただなんとなく、楽だなと感じる格好をしている。 と思う一つ解ったことがある。とにかく退屈だ。何日、何年、何百年ずっとこのままなのか。退屈だ。おもむろに一人で尻取りを始めた。
「ごりら、ラッパ、パラソル、ルビイ、インド、ドリーム、無理、理解、いつか、必ず、ここからでたい………………はあ~!たーいーくっつだー暇だ。 ひっひっ暇だっ!たったっ退屈だっ!つっつっつまらん!…………………」
  一人でしゃべるしか時間を潰すしかない。口に出して声を出しているのか心で話しているのかそれすらわからない。そもそもこの世界に時間ってものがあるかもわからない。分からないことだらけだ。
「さやちゃん元気にしてるかな。一緒に天国に行ったら楽しかったのかな。いやいやそんな事考えちゃだめだよオレ。ここに来てどれくらいになるんかな。気付いたらここに………ん?…ん?誰だ?幻聴かな?ん〜?やっぱり聞こえる?誰?」
  誠が問いかけると重圧的に声が誠にのしかかった。鼓膜なのか心に直接なのか脳に届けられているのか不思議な声だ。
┳┳┳┳┳┳┳┳┳
┣      宮┫
┣    お 石┫
┣  命 ま 誠┫
┣  と え よ┫
┣  は に  ┫
┣な   と  ┫
┣ん   っ  ┫
┣だ   て  ┫
┣       ┫
┻┻┻┻┻┻┻┻┻
  誰だよ。どうして名前を知ってんだ。だいたい何で応えなきゃいけないんだよ。と言いたかったが応えるしかない。そんな空気を感じたから。その質問に一生懸命に考えた。

「わからない。命って奥深い。一つの言葉のもつ意味の範囲に幅があると思う。その広い範囲の意味には、あらゆるものの根源があるんじゃないかな。だからわからない。
  嫌いな虫を見つければ殺虫剤を使う。ただ嫌ってだけで。魚が食べたい、肉が食べたいと思うけど、それらには動物の『生』と引き換えに人間が食欲のために奪った命。考えすぎなのかもしれないけど…。自分も自分から見た他人の命も、とても大切だと思う。でもやっぱりわからない。誰か知らないけど、求めてる事と全然違うよね。あなたの質問の答えに上手く応えられない。すんません」
  誠なりに精一杯の返事をした。返事が無い。あの重い声が聞こえない。
「なんだったんだ?まあ暇つぶしができたからいいか」

 ┣ 気に入った ┫

「なんでやネン!」つい反射的に言葉が出た。
「何が気に入った?また話しかけてきたのか?誰だよ!」
  すると闇の世界の真っ黒が、蕾の花が開くかの様に真っ白の世界に咲いた。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

【大丈夫20魂】へ↓↓↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?