頑張るパパ

男性の育休取得が組織改革を促す

 女性が、子育てをしながら働き続けるためには、男性の積極的な育児参加が欠かせません。平成30年度の女性の育休取得率は82.2%で推移している一方、男性の取得率は増えてきているものの6.16%と低水準に留まっています。政府は、「日本再興戦略2016」で育児休業取得率を2020年までに13%以上とするとした目標を掲げましたが、2020年現在、到底届いておりません。

男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取り組みについて(令和元年7月3日)厚生労働省.pdf_ページ_02

 出典:厚生労働省「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取り組むについて」(令和元年7月3日)

 なぜ、男性の育児休業取得率が上がらないのでしょうか。

 私は、男性の育休取得率が低い原因は、経営者が男性育休取得のメリットを正しく理解していないことではないかと考えております。

 そこで、この稿は、男性の子育てへの意識の変化と、男性の育休取得が組織にもたらすメリットを経営者の方に正しく理解していただき、取得率が上がる仕組みを知っていただきたいと思います。

男性の子育てへの意識の変化

 私は、社会保険労務士として、ハラスメント防止コンサルタントとして、ハラスメントの講義を新入社員研修でさせていただいております。その際に、マタハラ(マタニティハラスメント)、パタハラ(パタニティハラスメント)の説明もいたします。

これまでは、「『男性が育休取りたい』って上司に言ったら、上司が『男のくせに何考えてるんだ!子育ては女に任せておけ!』というのがパタハラです。」とさらりと講義を進めていました。ところが、数年前から、その説明だけで、次に行こうとすると「この会社は、男性育休取れないんですか?」と男性新入社員から質問されるようになりました。

  平成30年度の内閣府の「少子化社会対策に関する意識調査」報告書では、「結婚後の働き方」として、 60%以上が結婚後「夫婦ともに働こうと思う」と回答しています。その理由は「経済的に共働きをする必要があるから」 が57.8が最も高くなっています。そして、「経済的に共働きをする必要がある」と答えた女性は、49.6%ですが、男性の方は64.9%の人が「必要がある」と回答しているのです。

平成30年度少子化の状況及び少子化への対処施策の概況(内閣府).pdf_ページ_08

出典:内閣府「平成30年度少子化の状況及び少子化への対処施策の概況」 発行:令和元年6月https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01pdfgaiyoh/pdf/01gaiyoh.pdf

共働きをしていくためには、必要なこととは

 女性が子育てをしながら働き続けるためには、男性の育児参加が欠かせないのです。

 今や、女性だけでなく、男性も「働きやすさ」や「子育てへの配慮」があるかそうかが企業選びの重要なポイントになってきているのです。

 つまり、男性の子育てへの意識の変化に対応できない企業は、「優秀な男性社員を失う」「男性社員の採用ができない」ことにつながっていくことを認識しておく必要があります。

#COMEMO #NIKKEI

男性が育児休業取得する際の3つの壁とは

 これまで長時間労働を当たり前としてきた働き盛りの男性が、育休を取得しようとする際には、いくつもの壁が立ちはだかってきます。ここでは、乗り越えるべき、重要な3つの壁についてご説明をいたします。

まずは、時間の制約という壁です。

 男性でも女性でも、仕事と子育てを両立しょうとするならば、これまで以上に効率よく仕事をこなす知恵と仕組みが求められています。そのためには、普段の仕事を洗い出し、無駄な業務がないか、やり方を変える必要のある業務はないか、人とシェアでできる業務はないかなど、を検討する必要があります。

次は、人間関係の壁です。

 自分ひとりで完結できる仕事はありません。お客様に失礼ではないか?上司や同僚や部下に負担をかけるのではないか?という不安が、男性の育休取得の決意を鈍らせます。それだけでなく、職場から離れ、情報を得られなくなることが、男性自身の不安を大きくしていきます。 

最後に、収入の壁です。

 育児休業中は、給与が全くでないという企業が多いと思います。妻の育児休業中に、夫も育児休業すると収入はどのくらい減るでしょうか?

 実は、雇用保険の育児休業給付金がでる場合は、最初の180日は、休業開始時賃金の67%が支給されます(上限有り)。男性の育児休業取得を促すために、この比率が80%に上げる案が検討されています。出典:日本経済新聞 電子版 2020年2月10日

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55443080Z00C20A2MM0000/

 また、育児休業中は、厚生年金保険料、健康保険料が免除です。そして、育児休業給付金は、所得ではありませんので、所得税の対象になりません。以上のことから、実は、育児休業をとっても最初の180日間は、取得しない場合と手取りはさほど変わらないのです。さらに、翌年度の住民税にも影響を与えますので、保育料も安くなる場合があります。収入面でのマイナスを減らせば男性の育児休業の取得増加につながるでしょう。

男性育休業が組織改革を促す

 男性の育児休業取得の壁を乗り越えるためには、業務の見直しやより良い人間関係の構築が欠かせません。

 時間制限があること、人間関係の不安があることを取り除くためには、これまで組織の中で属人化されていた業務を「見える化」し、「情報を共有」して、組織が一体となって、業務改善に取り組む必要があります。

 個人の努力だけでなく、組織を上げて取り組むことで、個人のスキルが組織のスキルになり、組織全体の能力が底上げされていきます。

 そして取引先様も巻き込んで課題を洗い出し、工夫をすることで組織改革を促す結果、顧客へのサービスの質が上がることにつながるでしょう。

男性の育児休暇を取得させた企業への助成金

 男性が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりに取り組み、その取り組みによって男性労働者に育児休業や育児目的休暇を取得させた事業主に対して助成金がでます。

男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取り組みについて(令和元年7月3日)厚生労働省.pdf_ページ_10

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