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【イベントレポート②】京都大学医学部附属病院 教授 松村先生の勉強会開催への想い

2023年7月25日(火)に京都地区の病院や調剤薬局から医師・薬剤師・看護師が集まる勉強会が開催されました。当日のイベントレポートを前回の記事で発信しておりますので、是非ご覧ください!
 【イベントレポート①】:https://note.com/harmo_inc/n/na0d0bf89eed9

本勉強会は、京都大学医学部附属病院 医療安全管理部 教授の松村 由美先生(以下:松村先生)のお声がけで、開催されました。そこで、松村先生に本勉強会開催の想いや背景についてお話しいただきました。

<京都大学医学部附属病院 医療安全管理部 教授 松村 由美先生>

今回の勉強会に対する想い

松村先生:私は医療のルールを現段階で作ることが大切だと思っています。
今後、医療を必要とする高齢者が増加する一方で、医療従事者が減少することが考えられます。私たちは目先の仕事で精一杯になりがちですが、今のうちから10~20年先の未来の医療を考える必要があるのです。

電子カルテの情報の標準化や二次利用の方法については、ルールを早めに決定し、今のうちに電子お薬手帳の方向性を整えておくことが重要です。それによって効率的な医療提供や情報管理が可能になり、将来的な医療の課題に対応するための準備が進むのではないかと考えています。

開催の背景 ~harmoとの出会い~

松村先生:今回の勉強会の開催背景は、harmoとの出会いがあったからです。出会いは、2022年10月に開催された「公衆衛生学会」でした。通常、私自身が発表するか、座長を務めるような時でない限り、学会に参加することはありません。しかし、その時の学会は発表の予定もなく、少し疲れがたまっていたのか、「遠く離れた場所に行きたい」という理由で山梨県の学会に参加しました。

京都から山梨までは4時間以上かかる長距離で、行き方には2つのルートがありました。最短ルートを選択し向かいましたが、乗り換え地点で電車が来ないというトラブルに直面。駅の放送で、「倒木の影響により電車が運行不能です」と伝えられました。不安になりながらもしばらく待つと、約2時間で復旧し、山奥にも関わらず事故後のリカバリー作業の素晴らしさに感動しました。

結局、10時半に到着する予定が、12時半になってしまい、昼のセミナーがすでに始まっていました。ただ、途中から参加しても内容が理解できないため、たまたまharmoの出展ブースに足を運び、電子お薬手帳について話を聞きたところ、意気投合したのです。その後、メールでやり取りした後、京都まで足を運んでくれました。この出会いが、今日の勉強会が行われている背景なんです。

もし、私が別のルートを選択していたら、また電車の倒木事故がなければ、harmoとの出会いや今日の交流はありませんでした。偶然の出会いからこのような勉強会に繋がり、大変嬉しく思っております。


今後の展開

松村先生:本勉強会の今後の展開として、電子お薬手帳がどのような機能を有しているのか、また現在の課題として何があるのかを薬剤師、医師、看護師と共に明確にしていきたいと思っています。

薬の処方において薬剤師、医師、看護師の3つの職種が協力し合って患者さまの医療を支えています。患者さまの薬の管理に関して、ITが進む現代でもそれぞれの医療者がアナログな作業を当たり前のように行っています。

例えば、処方箋を紙で受け取り、薬局でPCに打ち込む作業が当たり前だと考えられています。また、大学病院の薬剤師は、患者さまが袋に入れて持ってきた薬を鑑別し、紙のお薬手帳を参照しながら薬を管理しています。しかし、患者さまがお薬手帳にシールを貼り忘れてしまうケースもあるため、全ての情報がお薬手帳に記載されているとは限りません。鑑別作業には手間がかかっているのが現状です。

この作業は必要であると考えられていますが、これを別の方法で行うことを提案して実行される場合、皆さんの仕事にどのような変化がもたらされるかについて話し合いたいと考えています。

その結果、手間が削減されるとともに作業の正確性が向上する可能性があります。新たに得られる時間を患者さまとコミュニケーションに充てられたら、より正確に服薬状況を把握することができるかもしれません。患者会で聞いた話の一例ですが、実際は患者さまが処方された薬を飲めていないケースがありますが、その事実を医師に伝えることが難しいと感じることがあるそうです。こうした情報を適切に収集するために、より多くのコミュニケーションが求められています。また、もし患者さまが薬を飲まない場合、その旨を医師に報告する機会を作ることで、必要のない処方を減少させることができ、医療費の削減にもつながるかもしれません。

薬剤師、医師、看護師が共に協力し、患者さまの薬の管理とコミュニケーションをより効果的に行う方法を模索していきたいと考えています。新しい試みに挑戦するときは、最初はうまくいかないことが往々にしてありますが、諦めずに次のステップに進んでいく姿勢が大切だということを伝えたいです。

最後に

松村先生ありがとうございました。松村先生のお言葉は、医療現場での課題や今後取り組むべき領域について深い洞察を示していると感じました。電子お薬手帳の存在が、薬剤師、医師、看護師が協力して患者さまのケアを進めていく上で役に立つ可能性があると考えています。現在の業務で時間がかかっている複雑な情報の取り扱いの部分を、電子お薬手帳などのツールで補い、医療の未来を少しでもよりよいものにできる一助となれば幸いです。


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