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【イベントレポート①】清水寺での医療勉強会

2023年7月25日(火)に京都大学医学部附属病院 医療安全管理部 教授の松村由美先生のお声がけで、京都地区の病院や調剤薬局から医師・薬剤師・看護師が集まる勉強会が開催されました。

<清水寺での医療勉強会の様子>

今回はharmo株式会社が企画者となり、音羽山 清水寺執事の大西英玄氏(※1)のご厚意によって、清水寺でのオフライン開催が実現しました。勉強会終了後は清水寺のナイトツアーも開催していただき、参加者のお子様たちも一緒に楽しみ、大盛況のうちに終えることができました。以下、当日の様子の一部をレポートします。

(※1)…清水寺 執事 大西英玄氏には、大切なひとを見守るための新しい御守「harmoおくすり御守」の制作の際にご縁をいただきました。

■「harmoおくすり御守」についての動画

■音羽山 清水寺執事 大西 英玄氏によるご法話

今回、勉強会の冒頭に大西 英玄氏によるご法話をいただきました。

大西 英玄氏:本日はお越しいただきまして誠にありがとうございます。お寺にはいくつかの重要な役割があり、本日は清水寺としての3つの役割をお話しします。

まず一つ目は、皆さんから寄せられた善意を循環させることです。清水には年間500~600万人の方がお参りに来られます。そこで皆さんからお預かりしたご浄財(拝観料)を再び社会にお返しする責任があり、多岐にわたる医療や福祉などの社会平和活動等に対して善意を循環させることが役割の一つです。

二つ目は、清水寺の知名度を活かして適切に活用することです。社会には、様々な想いを持って、啓発活動や具体的な取り組みをされている個人や団体が沢山います。しかし、その方々の声がなかなか当事者以外に届かない現状があります。そこで、清水寺という公共の場から発信することで、今までと異なる層に届くことを期待しています。また「発信力」や、「公共性」が増すのであれば、微力ながらも協力をさせていただく意義があると感じています。

三つ目は、善行を重ねておられる方々のご縁を繋ぐという役割があります。素晴らしい活動をされている方々が多くいますが、なかなか繋がる機会がない現状があります。清水では、社会における善行の点と点を結び、異なる活動家や協働の仲間を繋げる場所として、ご協力させていただくのは果たすべき責任の一環だと思っています。
 
改めて、このような機会をお預かりできることを、大変光栄に思います。


<音羽山 清水寺執事 大西英玄氏によるご法話>

■松村 由美先生によるご説明

京都大学医学部附属病院 医療安全管理部 教授 松村 由美先生に本勉強会の目的をご説明いだきました。

本勉強会の目的
松村 由美先生:本日は、私たちの病院で考えている趣旨を説明します。私たちは、患者さんの薬歴の情報を病院と薬局でスムーズに繋げる方法を考えています。

患者さんが病院へ行き、診察を受けると医師が薬を処方します。その後、患者さんは処方箋を持って薬局へ行き、薬剤師が再び処方箋をパソコンに転記してお薬を渡します。そして、薬剤師が患者さんにお薬の説明を行います。このような医療者間で情報をバトンタッチする際に、医師も薬剤師も人間ですので転記間違いが起こることがあります。私たちは現場で注意深く対応しているものの、ヒューマンエラーは完全に防ぎきれないのが現状です。

しかし、今後は電子お薬手帳が活用されると安全性を高めることができると期待しています。それぞれのかかりつけ薬剤師が患者さんの薬歴リストを作成し、入院時に医療機関にデータを電子的に渡すことが可能になります。その情報は病院の電子カルテに取り込むことが実装可能だと思っていますが、今はまだその連携がうまくできていないと感じます。このような連携が実現すれば、薬剤の安全性を向上させることが期待できるのではないでしょうか。

薬剤の安全性は非常に重要であり、世界中に医療事故により命を失う方々がいる現状です。電子的な情報連携を導入することで、この問題に対処したいと考えています。現在は連携が完全ではないものの、私たちはできる限りの対策を講じております。しかし、情報伝達の方法を進化させ、薬剤の安全性を向上させることを目指しています。

<左:harmo㈱石島 知/中:清水寺 大西英玄氏/右:京都大学 松村 由美 教授>

■harmoによる「電子お薬手帳ができること」の説明

harmo株式会社からは、「電子お薬手帳ができること」について、電子お薬手帳の存在が今後どのように医療の支えになるのか、harmoおくすり手帳の機能の使い方や薬局での利用方法などの説明を行いました。

電子お薬手帳は今後、医師・薬剤師・患者を繋ぐための薬剤情報連携のツールとして活用できることを目指しています。

■harmo株式会社 代表取締役 CEO 石島 知による閉会挨拶

閉会の挨拶として、harmo株式会社 代表取締役CEOの石島 知が「harmoおくすり手帳」へ想いをお話ししました。

石島 知:私自身は、新卒でソニー株式会社に入社し、最初は別の仕事をしていましたが、約10年前からharmoの事業に関わっています。 2019年にソニーからシミックグループに事業承継しています。

一生涯のデータを親から子へ
石島 知:最近、嬉しい問い合せがありました。実際に親御さんから連絡があり、「これまでは子どものお薬手帳データを私が管理していたが、大きくなってきて子どもにデータを渡したいので、データの移行方法を教えてほしい 」という内容でした。その方は、2011年に川崎市で最初の実証実験に参加していた方で、当時0歳だった子どもの親御さんが、その時からずっとお薬手帳のデータを記録し続けていたそうです。
親御さんが、ため続けてくれたデータを子どもへ共有したいという想いや、そのデータを受け取ったお子様が感じる気持ちを想像して、改めて私たちは意義のある仕事をしていると感じて感動しました。

<harmo株式会社の存在意義>


自分の大切な人を見守るためのおくすり手帳
石島 知:harmo株式会社の存在意義は、大切な人をもっと大切にするために存在すると考えています。harmoユーザーに「なぜ、harmoを使っていますか?」と質問したところ、親御さんは「自分の子供のために使っているんだ」、薬剤師の先生たちは「自分の大切な患者さんを守りたいから使っているよ」と仰っていました。このような声を聞いて改めて感じたことは、PHR(パーソナルヘルスレコード)や電子お薬手帳と聞くと、自分のためというような印象がありますが、実際使っている人は、自分の大切な人を見守るためのツールとしてお薬手帳を使っていることを知りました。ただ、大切な人を見守るためにも自分自身も健康でいなければいけないので、電子お薬手帳の必要性があると改めて感じています。

今までとこれからの活動について
石島 知:最後に宣言をさせていただきます。
実は、お薬手帳の開発は、現時点で全く満足していません。ソニーからシミックグループに事業承継したのは2019年ですが、今までの3年間、システムを維持するだけで精一杯で、新しく開発する余裕はありませんでした。そのため当時は、現場に出て先生方の声を聞くのが怖かったんです。「現場の課題を話したのにシステム作れないんですね」「システムを作れないのに何のために話を聞きに来たの?」と言われる度に申し訳ない気持ちになっていました。

しかし、今やっとシステムを開発できる体制が整いました。だから今日は先生方から、意見をいただきたいと思っています。いただいた声をシステムの開発に反映させ、実際に先生方に現場で利用していただく、そしてまたシステムを改善する、こういった活動がやっとできるようになりました。我々としてはスタートラインだと思っておりますので、ぜひお力添えのほどいただきたいと思っております。

本日はありがとうございました。

<harmo株式会社 代表取締役 CEO 石島 知による閉会挨拶>

■清水寺ナイトツアー
閉会後、大西英玄氏に案内していただき、特別に清水寺ナイトツアーを行いました。昼とはまた違った幻想的な雰囲気を楽しむことができました。

<ライトアップされた清水寺>

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