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近いとうざい、離れると寂しくなる国インド 〜25歳でインド駐在した私が学んだ3つのこと〜

いつも私の記事を読んで下さってる皆様、ありがとうございます。
実は、2022年4月〜2023年3月の1年間をもって、インド駐在に終止符を打つこととなりました。

2023年4月に日本へ帰任します。

正直、大好きな日本に帰れる嬉しさと刺激的なインド生活が終わってしまう寂しさが入り混じった複雑な気持ちです。

根も葉もない噂をされて人間不信になったり、
仕事が思うように行かなくて落ち込んだり、
思い返すと辛いことが9割のインド駐在でしたが、
毎日が刺激的で濃く充実した日々でした。

インドで過ごした25歳の1年間で、私は今後の人生においてとても大切であろうことをたくさん学びました。

それは、インドに関することだけでなく、若くして駐在員として働いた経験を経て一人のビジネスパーソンとしての学びも含まれます。

インド駐在を終えた今、私の人生の一つの節目として、私が学んだ大きく分けて3つのことをここに記しておきたいと思います。

ぜひ、最後まで読んでみて下さい。

学び① 自分の価値観なんて80億分の1

「インド人とは本当に分かり合えない。」
インド駐在している大多数の日本人はだいたいこう言います。

そう思う気持ちは分かるし、私自身もインドで生活をしていく中でそう思う場面が非常に多かったです。

できないことをできると言ってきたり、
100% sureと言いながら堂々と嘘をついてきたり、
"2 minutes(2分)"と言って30分以上待たされたり、
相手のミスなのに"No Problem(問題ない)"と言ってきたり、
ゴミなんて平気で道端に落とすし、
近所迷惑なんて気にもせず夜通し爆音で騒いでいるし、
不満を言い出したらキリがありません。。

しかし、インド人の中にも同じ考えの方もいたことは事実です。
私の会社での出来事を例にします。

私の会社ではインド12名と日本人8名の合計20名が一緒のオフィスで働いています。その中で女性はインド人3名、日本人2名です。

ある日起こったトイレ事件。
洗面台は異常なまでに水浸し、床もびしょびしょ、トイレの物も流されていない。小学校のトイレでも起こり難いあまりに汚い使い方に驚愕。しかも女性トイレで、、

まず私は唯一の日本人に相談。
犯人を突き止めるべくインド人各々に(と言っても3人だけ笑)ヒアリングを行ってみると、若いインド人1名は「こんな汚い使い方耐えられない。」と日本人に共感、他の2名は「私じゃない」の一言で自覚なし。

結局犯人は2人のどっちかということで落ち着き、トイレの見えるところに貼り紙することとメールで注意喚起を促すことで対策を講じた(あまり効果はなかったけど...)。それよりも、私的に「インド人2 対 日本人3」で意見が分かれたことに驚きました。
この事件をきっかけに私はインド人の中でも同じ考え方の人がいる(必ずしも皆が異なるわけではない)ということを意識して接するようになりました。

さらに、同じ日本人の中でもいろんな考え方があるということも学びました。

インド駐在中、いろんな世代の日本人と出会いました。
むしろ同世代の日本人は数えるほどで、ひとまわりふたまわりくらい上の方がほとんどでした。

私が駐在していたムンバイでは、(私の知る限りでは)カラオケやダーツバーなどがなく、他の駐在国と比べてもかなり誘惑が少ないため週末の過ごし方や時間の使い方にその人の個性が現れます。

私のように1人でも旅行ばかり行く人、ゴルフばかりする人、サーフィンばかりする人、家族との時間が最優先の人、YouTubeをやっている人、などなど。

私も人脈作りのために女1人日本人サッカーチームに参加したり、テニスやゴルフをやってみたりとスポーツはスポーツで楽しいのですが、やはり旅行で新しい世界を見ることが大好きなために旅行が最優先でした。
でも、ゴルフが大好きな人にとって私のこの考え方は理解できない部分があるんだろな〜と思ってます(笑)

日本で暮らしているとなんやかんや色んな選択肢がありすぎて、インド生活ほど極端にその人の趣味が現れることはなかなかないと思います。あぁやっぱり私は生粋の旅人なんやな、と改めて実感しました。(笑)

また現地採用で働いているインド日本人女性とも仲良くなって「なぜインドがそんなに好きなのか?」と質問したところ、「インド人は仕事でミスしても原因追及したり個人を咎めたりしないから、自尊心が傷つけられることがない。それは国が急速に成長しない理由の一つでもあるけど、私にとってはそれが居心地いいんだ。」との回答。

なるほど、、それは分かる。
社会人1〜2年目の時、パワハラで悩まされ「私は価値のない人間なんだ」と心が病んだ時期がありました。
インド駐在中も他の人と比べて自分がまだまだ足りてない部分があると悩んでしんどい時期があったなぁと思い出しながら涙がこみあげてきました、、 
そういう慣習が知らぬ間に身についてしまっていたんだなと改めてしみじみ。

国籍によって多数派の考え方はあるにしろ、やはり国籍だけで判断するのではなく話している目の前の人、個人として理解し尊重することの大切さを改めて痛感しました。

ごく一部の例を取り上げて話してきましたが、上記以外にも食習慣や仕事と家族の優先順位など様々な面で価値観の違いに気付きました。
そして「あぁ、私の価値観なんて本当にごく一部なんだ」と知り、同時に「もっと色んな価値観を知りたい」「これからも色んな国で色んな方と関わっていきたい」改めて強く思いました。
話すともっと長くなってしまうので一旦これくらいにしておきます。

学び② 自信と謙虚さはバランスが大切

「私なんて必要ない。必要とされてない。」
インドきた当初、そう思うことが多く仕事面で悩む日々が続いてきました。

インドきてから知識も経験値も圧倒的に違うスーパー営業マン3名(日本人1名、インド人2名)と同じ部門で働くことになり、もちろん仕事内容は本社で3年間やってきたことと比較にならないくらい難しく、戦力になんて到底なれなくて悩みまくってました。

私の過去のnoteを読んで下さった方はすでにご存じかもしれませんが、社会人1~2年目の時はパワハラに追い込まれ毎日のように「自分の価値なんてない」と思い悩んでました。
それがトラウマとなり、自分の自信は喪失。
「出来ないやつ」と思われるのが怖くて、分からないことを聞くことも憚っていました。
でも、インドでの仕事は分からないことだらけで自分で調べても分からないことが多くてさすがに聞くしかない状況。上司や同僚の目を気にしつつ、必要最低限聞きたいことだけを聞くようにしてました。

インド赴任して3ヵ月が経ってもなお、スーパー営業マン3名と比較し圧倒的な劣等感を感じる日々でした。なかなか思うように実績も作れず、私の存在意義に疑問を持つことが多かったです。
役に立てていないと感じて、だからと言ってそのモヤモヤを話せる相手も周りにおらず、ついに思いが爆発して上司の前で大泣きしてしまいました。

「チームでやってるんだから一人で思い悩む必要なんてない。」
「貴方はあなただからこそ出来ることがある。」
「分からなくて当たりまえ。何でも聞いてほしい。」

そう言われ、肩の荷がおりました。それと同時に「私だからこそ出来ること」をがなんなのか、どうやったらよりチームに貢献できるのかをもっと考えるようになりました。

ある日、現地社員が新規成約をとり、私は"I sincerely admire you. I wanna be like you!!(本当に尊敬してる。あなたのようになりたい!)"と伝えました。
すると、現地社員が “You don’t have to be like me or anyone. You have already done great enough the way you are.(誰かになろうとする必要なんてない。貴方らしく今のままでも十分素晴らしい結果を出してる。)” と言ってくれたのです。

私の存在を確り認めてくれていたことが本当に嬉しくて、号泣しました。そのときから徐々に(100%ではないけど)自分自身に対する自信を取り戻し、ポジティブに頑張れるようになりました。

最終的に帰任直前に新規成約。
しかも輸入関税の観点から競合他国ミルとの値差が大きくなかなか開拓出来ていなかったメキシコ向け。値上げ基調のなかの仕入価格の値下げ対応はほぼ不可能レベルであったにも関わらず、粘り強く交渉した末に承諾。
担当者曰く「私が3月末に日本へ帰ることを知って、一緒に新規開拓をしたかったから」と。
嬉し泣きしました。

実はインドへ来た当初、その担当者から電話もメールも無視されてました。それでもめげずに何度も電話したり訪問することで信頼構築していたんだなと実感。

商社は人間力が勝負。

「あなただから」と言われる営業マンになりたいと思って入社を決めたあの日から約4年が経った今、ようやくその夢に一歩近づけた気がして感無量。
辛いこといっぱいあったけど頑張ってきてよかったと思えた瞬間でした。

インドに来てなければ、トラウマを克服することが出来ず心の奥底では自信のない自分から変われなかったと思います。

その他にも、「出来ないことを出来ないという勇気」「自分の長所を認知する大切さ」を学びました。
また「上司のための仕事ではない。私がこの会社で何をしたいか」が大事だと、気づけました。

自信はありすぎても成長機会を失ってしまう可能性があるため、他の方へのリスペクトと感謝気持ちを忘れず、
東京へ戻っても自分らしく頑張ります。

学び③ 世界に当たり前なんてものはない

インドに住んでみて、あらゆる面で日本との違いに驚かされ、むしろ「日本の文化や考え方の方がレアなのでは」とさえ思いました。

ここでは食、仕事、文化(宗教)の3つの観点からお話します。

食の違い

まずは食の面から。
ご存じの方も多いかもしれませんが、インドではベジタリアンが多いです。
厳格レベルは人それぞれですが、生物の命を奪う食べ物(鶏肉/豚肉/牛肉/魚介類/卵など)は基本的にNGです。
ピュアベジの方はそれに加え土の中で育つ野菜類(ジャガイモ/玉ねぎなど)も食べません。
インドのスーパーへ行くと、ほぼ全ての食材にベジ用かノンベジ用か区別する表示がされています。
社内ではベジとノンベジで電子レンジも分けています。これは日本では起こりえない習慣であり、正直「インド人と結婚は辛いな」と思いました。
(なんせ私は、無類のエビ大好き芸人なので・・・食べたい・・・。)

お金持ちの人ほどベジタリアン、ひいてはピュアベジの方が多く、より厳格です。煎餅に入っている少量の出汁でさえもNGなので、手土産の選択も簡単ではありません。(笑)イメージですが、カースト制で例えるとバラモンやクシャトリアがほとんどです。
コロナ流行の原点はコウモリのウイルスとされていますが、それについて「生き物を食べたから罰が当たったんだ」と言っていたのは印象的でした。

またインドではお酒についても販売を一切禁止している州(グジャラート州)があるくらい宗教上基本的にはNGです。
但し、都市部を中心に両親に黙って隠れて飲んでいる若者は増えているようです。
私が同僚の結婚式に参加した際、「俺がお酒を飲むことについては両親に他言無用で頼む。ばれると家族の縁を切られる」とお願いされました。さすがに家族の縁を切られるは言い過ぎかもしれませんが、ばれたら大問題であることは伝わってきました・・・

カレー大国であるインド、カレー以外の食べ物もなんでもカレー味にするので本当に食生活はしんどかったです。
良いことと言えば、舌のレベルが低下しカレー味がしなくて少し美味しいと感じた食べ物でも感動することくらいでしょうか・・(笑)
兎に角、良い意味でも悪い意味でも幸せの基準が下がります。

仕事面の違い

続いて、仕事面について。
「日系企業文化は世界的に見ると少数派である」とあくまで個人的な意見ですがそう感じました。

それは例を挙げるときりがないですが、
長期休暇や在宅が良くないと思われる風潮だったり、まめに進捗フォローを行い都度連絡することだったり、プレゼン資料を前もって準備し事前に打ち合わせを行ったり、締切を確りと守ったり、100%確信がないことに対してYESと言わなかったり。

一方、インドでは結婚式で1ヵ月長期休暇を取得したり、ほぼ毎日定刻通りに出社しないし、家族を病院に連れていくために突然在宅に切り替えてメール1件も来ないこともあるし、出来ないことも「100% Sure Definitely」と言ってくるし。
日本で仕事を進めるうえで「当たり前」と感じていたことはインドでは全くそうではありませんでした。

また、私の会社だけかもしれませんが、東京で働いていた際は「伝統的な顧客」向けの安定的なビジネスほとんどでしたが、インド企業は全く異なりました。価格が合えば販売するスポット取引がほとんど、且つスピードも速く世界で戦う企業のあるべき姿を肌で感じました。
インドで駐在して初めて、日本の「伝統的な顧客を重んじる文化」は特殊なんだと気づきました。

文化(宗教)の違い

最後に、文化(宗教)の面について。
先程述べたことと少し被る部分もありますが、インドと日本の文化は違いすぎて、なかなか分かり合えないことが多々あります、、

やはりカースト制や宗教が根付いていることが大きいのかなと思います。
生まれたときから将来が決まっている世界を目の当たりすることも多々ありました。
日本以上に上限関係が明確で、それはおそらく現地の方にとっては苗字で分かるようです。
階級に応じて職業が割り当てられていて、家にはハウスメイドさん、会社にはオフィスボーイ、車の専属運転手など日本ではあまり馴染みのない職業があります。
むしろ、お金持ちが下の階級の方を雇ってお金を還元しなければならないといった慣習があるようです。

ただ、やはりこういった背景から上の指示は絶対の文化があるからか、マニュアル通りに行動する故に非効率だと感じる場面が本当に多いです。
特に空港はストレスフルです、とにかく無駄が多い。
愚痴ると止まらなくなるのであえてやめておきます。(笑)

一方で、愛国心や家族愛は日本がもっと見習うべきところだと思いました。
独立記念日では街中やオフィスが国旗だらけになり(服装も国旗カラー)、祝日は至る所でイベントが開催され交通渋滞。
結婚式は10日間以上続き参加者は家族や親戚がメイン、数百人規模で開催。
さらにインドは気候や文化、宗教、などが全く異なり、日本に住んでいると想像できないほどの多様性があります。

25年間生きてきて当たり前と思ってきたことはインドでは全然当たり前ではありませんでした。

今、私が生きているのも当たり前じゃなく奇跡。そして私のnoteを読んで下さっているのも奇跡。

東京へ帰任した後も、毎日後悔しない人生にします。

最後に

「インドに行くと人生観が変わる」とよく耳にします。
果たしてこれは事実なのか?人それぞれで考え方は異なると思いますが、少なくとも私の回答はNOです。

私の場合、2017年に1ヶ月間だけインド/グルガオンにて国際インターンシップをし、2022年にムンバイにて1年間駐在をしました。
1ヶ月間だけ滞在した学生の頃と比較すると、直近1年間の濃さは全然異なりますが、インドに対するイメージは大きく変わっていません。

インド駐在のメリット・デメリットについてはこちらの記事に詳しく書いているので興味のある方は是非購入して読んでみて下さい。
(※ 不本意な共有を防ぐために無料公開はしていません、、)

今の会社に入った目的は海外駐在だったので、一つの目的が達成しました。
東京へ戻ったあとは、次の人生の目標である「世界一周」に向け準備をしつつ仕事も頑張ります。

あと今年は富士山に登ります!
人生やりたいことまだまだたくさんあるので、 今後も自分らしく毎日を大切に生きていきたいと思います。

この記事が誰かの何かのきっかけになれれば幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。


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