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16時間断食② 「食べてなんかない!」非常食庫跡地巡りはサライと共に… 【洋梨夫人のダイエット日記vol.10】

夫「いやいやいや、それ絶対、
どこかでコソコソっと、
チョコチョコっと、
つまんでは蓄えてるんだって。」

「痩せない」と嘆く私に夫はそう言った。

わしゃ、ハムスターかよ?
誰よりも早く走り回って、
夫、子供の目を盗んで、
柿ピーとかチョコボールとか何らかの種っぽいお菓子とか拾い食いして、
しこたま頬袋に押し込むおばさんって…
ハムスターっていうより、
むしろ…
妖怪。

「万が一の時のために、頬袋に詰めておけるだけ詰めるわ。
非常食よ。
それらの食糧はカロリー換算に含めてないの。
完全にノーカウントよ。」

ってそんなわけあるか!
残念ながら、
ヒト科ヒト属ヒトな私たち人間には便利な頬袋などないことくらい知っているし、
牛みたいに何度も胃に落とし込んではゲボゲボ反芻したりして
消化を少しずつに調整したりするなんて芸当はできない。
食べたら食べただけそのエネルギーは体内に入り、
余った分は全部脂肪として蓄えられるだけ。
食べ物が溢れる現代人にとってはかなり不便な体の仕組みだけど、
もうそう決まっちゃてるからどうしようもない。
だからまあ、夫が「つまんでは蓄えてる」って思うのだって、しょうがないのかもしれない。


私「あ、そうだ!初めから家に食べちゃダメな食べ物を置かなければいいんだ!」

と、
「すごい考えが天から降ってきた!これは神の啓示だ」
とでも言いたげな表情のわたくし、3月の頃の洋梨夫人。
いや、はっきり言ってそんなこと…
っていうか、どうやらスタイルの良い人はみんなそれが普通らしい。


これまで、”非常食”という名のもとに、
ネズミーランドなんて目じゃない位に、
海外在住の大人な私たち日系人のテンションを爆上げしてくれる
ドン・ドン・ドンキで、
生きるためには必要のない
どちらかといえば限りなくメンタルの方を喜ばせる食糧、
例えばチョコレートとか、チョコレート菓子とか、準チョコレート菓子とかを
常にキッチンのどこかにストックすることを忘れなかった。
「ほら、海外生活って、やたらと無駄にストレスかかるじゃん?」
を合言葉に際限なくそれは許可されてきた。
いや時に、ストックしてたことさえも忘れたりして、
もしくは冷蔵庫に別のものを入れた時の振動で、
それがスススっとどこかに紛れ込んじゃったりして、
何ヶ月か後になって冷蔵庫の奥の方から
「あっ、ちょ、ちょ、ちょ、チョコパイ出てきた〜!きたこれ〜!!」
なんて時の、この気持ちのアガりようと言ったら、
もう…
ね…。
たまらんのですよ。

あれ?
リスかな?


でも、
バイーンと子供たちを突き飛ばしちゃう腰回りのお肉とおさらばするために、
この3月からはもう断腸の思いで、それらとはオサラバしてきたワタクシだったのですよ。
誰か
私にチョコをくれないか!
最後のチョコを…
くれやしないか…。
ってね。
だいたい夫はわかってない!
私が何回、谷村新司と加山雄三の『サライ』で胸を震わせたか。

離れれば離れる程 なおさらにつのる
この想い 忘れらずに ひらく 古いアルバム〜

まぶた〜とじれば〜 浮かぶ景色が〜
迷いながら いつか帰る〜 愛の故郷〜♪

瞼を閉じれば、そこにあるのはいつもチョコとの甘い思い出。
おさらばしてきたチョコたちのあの優しさ。


こんなにもたくさんさよならしたのに…
断捨離だ!まず捨てろ!まず手放せ!
そしたら空いたスペースに新しい望むものがやってくる!
そして目覚めろ!
ってスピ系ユーチューバーの誰かの受け売りみたいに、
私は変わるために全部捨てたんだよこのヤロー!
冷蔵庫見てみろよ。
茹で卵と茹でブロッコリー、鶏胸肉ハムに、
ジェンガでもするんか?ってくらいの四角いサバ缶の山。
そしてプロテインとカッテージチーズ。
カッテージチーズあたりが冷蔵庫に来た頃にそろそろ気づいて欲しかった。
あ、これ、ちょっと何かいつもと違うヤツっぽいわ。
多分きっと、本気のヤツだわって。

だいたいあんた(夫)、
この前、私が「フ、フゴッ!」とか口から漏らしながら
必死の思いで脚パカ(っていうエクササイズ)やってる横で、
無神経にもボリボリ音を立てて貪り食いながら、
今思えば絶対わざとだろ、あの音は絶対わざとだろ。

夫「ポテチうまいよ!食べる?」

じゃねーよ。
あの時のあの凄まじい怒りを鎮めるのに
どれだけこっちが神経すり減らしたと思ってるのさ。
わかってるよ。
ポテチが美味いのは言われなくてもわかってるよ。

とにかくなんか悔しい。
別にわかって欲しいなんてこれっぽっちも思っていないけど、
めちゃめちゃ悔しい。

開けれるキャビネット全部開けてながら言う。

「説明しましょう。
ここは明治の板チョコの保管庫の跡地。
後味ベタつかない、バランスの取れた日系メーカーのお仕事の賜物の
あのチョコレートの跡地」

「次!
ここはチョコパイ専用保管庫の跡地。
パリッて、
チョコレートに歯がめり込んで割れる
あの至福に瞬間が好きだったから、
絶対に冷凍保存がマストだった。」

「次!
ここはロータスビスコフの保管庫の跡地。
狂ってるくらい西洋の飲み物との相性抜群で、
しかも冷蔵の必要はないから、いつもドリンクステーションの横に常備してあった。」

「はい、こちら!
サクサクパイと抜群のチョコのバランスで長年愛されている
パイの実の保管庫の跡地。”サクサク”って擬音語はこのために生み出されたんじゃなかなって思うほど。」

「最後は、ここ!
六花亭のバターサンドとか、日本からのお土産とか
特A級スイーツたちを保管する場所。
絶対に子供たちが届かないこの場所。」

「ねえ、何もないでしょう?
お菓子なんてもうないんだよ。
つまみたくてもつまめないの。
パンもパスタもやめたんだよ。
朝食はスキップだし
ランチはチキンサラダ一択
そしてディナーはメインと副菜のみのご飯なし
朝の有酸素運動と夕方の散歩。
そこに16時間断食まで始めたって言うのに…
ね。
それでも体重は減らない。
サラダの葉っぱとかを養分にして
体内で糖分を生成できちゃったりする稀有な体質なんですかね?
新人類ですかね?
将来の食糧難に備えて、
謎の研究所から研究対象として狙われますかね、私?」

シーン…

夫「ゴッ、ゴメンッ!
ごめんね、どうやら俺が悪かったね!
本当にゴメン。
今度さ、
ドン・ドン・ドンキに行った時に、
チョコパイいっぱい買ってくるから…
さ…



あ…」

だからさ、
そういうとこだよ、夫。
(続け




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