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南ドイツ一人旅②崖上の城ジグマリンゲン城

Sigmaringen ジグマリンゲン
この街は郡庁所在地でもあり、付近の街よりも大きい。
その理由は、ホーエンツォレルン=ジグマリンゲン公爵家の居城があったためだろう。

アルプシュタットからは、南へ20km。
この一帯はドナウ上流自然公園に位置し、自然豊かな場所だ。
そして、そのドナウ川沿いに建つのは、ジグマリンゲン城。

展望台

まずは、お城が綺麗に見えるという展望台へ。
ドナウ川沿いの岩壁の上に、ギリギリに建っていることが良く分かる。

橋の上からも、一枚。

市庁舎

お城に向かい合うように建つ市庁舎。
建物の角には、第一次世界大戦で亡くなられた市民を悼む像が。

噴水

市庁舎前の噴水の像は、ホーエンツォレルン・ジグマリンゲン伯ヨハン。

市庁舎の隣は、ツーリストインフォ。
アルプカードには市内観光ガイドが含まれていたので、ツーリストインフォで聞いてみたところ、訪れた日はガイドさんの案内ではなく、音声ガイドのみだった。
頂いた地図を頼りに、音声ガイドに街案内をしてもらう。
街の見どころについては、ある程度の下調べをしていたものの、より多くの見どころに連れて行ってくれたので、大満足だ。
これは、アルプカードがなくても借りることは可能で、1日€3との事。

お城の麓には美しい旧市街が広がり、狭い路地が入り組む。

カール・アントン・フォン・ホーエンツォレルン皇太子の記念碑

カール・アントンは、ホーエンツォレルン・ジグマリンゲン家の最後の皇太子。
お城をバックにした像は、とても凛々しい。

聖フィデリスの家

こちらは、マルクス・ロイの生誕地。
市長の息子として、1578年に生まれる。
哲学、法学を学び、貧しい人を助けると評判を得たが、司法の在り方に疑問を抱き、カトリックの司祭になられた。
時は宗教改革の真っ只中で、プロテスタントに改宗した人々を取り戻すため、彼は全力を注ぎ、各地へ足をのばした。
1622年、ミサの帰りにSeewisの街で武装した農民達に襲われ、亡くなられた。
彼は殉教者として、街の守護神聖フィデリスとして大切に扱われている。

1517年に始まった宗教改革は、1648年に終結を迎える。
これは、三十年戦争の終結と同じく、ミュンスターでのヴェストファーレン条約のもと、信仰の自由が認められた事による。

丸い塔

以前は街は城壁に囲まれ、街には四つの塔があったそうだが、今も残っているのはこちらのみ。
中は、郷土博物館になっているそうだ。

プロイセンを示す立札も

城壁

塔から歩いて少し歩いた場所には、僅かながら城壁が残されていた。

レオポルト広場

広場の真ん中には、レオポルト・フォン・ホーエンツォレルン=ジグマリンゲンの像が建てられている。
1868年、スペインでクーデターが起き、スペイン王位継承問題が起きた際、ヴィルヘルム1世やビスマルクによって、彼は王位に推薦される。
しかし、ナポレオン3世はこれに対し、強く反発。
この事件が引き金となり、普仏戦争に至ったという、歴史における重要人物だ。

広場の反対側は、かつては政治の中心部が置かれており、今は州公文書館として利用されている。

庭側の様子

プリンスガーデン

この州公文書館前の広大な庭は、綺麗に手入れされており、所々に置かれたベンチでは、人々がゆったり腰掛けたり、読書をしている。
愛犬を散歩させたり、のんびりお散歩する姿も、とても穏やかな印象だ。

聖ヨハネ教会

外からはイメージできないが、内部はとても華やかな、バロック様式の教会だ。

お城の入り口、教会の反対側には、お城で使われていた乗り物を展示する場所も。

ジグマリンゲン城

いよいよお城へ入場。
お城もアルプカードに含まれていたので、無料で見学となった。
こちらでもオーディオガイドが渡され、それぞれの部屋や見どころを案内してくれる。

ドイツ三大名城の一つと呼ばれる、ホーエンツォレルン城。
その一族の家系、ホーエンツォレルン・ジグマリンゲン家所有のお城がジグマリンゲン城。
つまりここは、分家のお城だ。

このお城は12世紀頃に建てられ、1893年に起きた火災で焼けたが、その後再建されたという。
内部も非常に絢爛豪華な内装で、さすがホーエンツォレルン一族だと納得する。
入り口には大砲が置かれ、その名も大砲の間。

お城の各部屋は、それぞれ色の名前が付いていた。
書斎、寝室、男性用歓談の間、ゲストを交えた食事ができる大きなダイニング、そして王の間へと続く。

王の間には、見事な鏡が飾られている。

こちらがその鏡。
これは、ベネチアングラスでできている。
イタリアのムラーノから運ぶ際、この繊細なガラスを壊さないように、ある工夫があったそうだ。
大きな入れ物に、溶かしたバターと共にこの鏡を入れ、バターが固まる性質を利用して、この鏡を破損から守ったのだそうだ。
昔の人の知恵はすごいものだ。

最後は、狩猟の間。
夥しい数の角や剥製が飾られている。

見応えがあるのは、お城の地下部にある、ドイツ最大とも言われる武器博物館。

カフェSeelos

お城見学を終え、疲れた身体に甘いものを補給。
宮廷御用達のケーキ屋さんで、季節のルバーブのケーキを頂く。
酸っぱいこのルバーブが、時々無性に食べたくなる。

チャペル

カフェで休憩をしていたところ、音声ガイドの中で、まだ見ていないチャペルがある事に気付き、街歩きを再開し高台へ。

チャペル自体はとても小さなものだが、この立地がとても素晴らしい。

ここは、お城を見渡せる絶好の場所だったのだ。
最後にこの景色を見る事ができて、なんだか得した気分になる。

ドイツと言えば、ノイシュバンシュタイン城を思い出す方も多いだろうが、私は個人的にはこのジグマリンゲン城のほうが数倍好きになった。
実際にはほとんど使われず、観光目的で完成させたノイシュバンシュタイン城とは違い、この場所には歴史がある。
生活臭というべきか、ここで歴史が刻まれてきたと感じられるのが、私にとって良かったのかもしれない。

お城の中には、多くの肖像画が飾られているのだが、ここに生活し土地を治め、脈々と受け継がれ、築いてきた膨大な時間。
お城の美しさだけでなく、その歴史の厚みに、私は惹かれたのだろう。

最期にもう一度お城の反対岸に向かうと、突然太陽が出て、気持ちの良い天気になった。
一日中、雲の多い天気だったのに、私はどうやら運が良いようだ。

お城の前を流れるドナウ川には、白鳥や鴨などの鳥がたくさん泳いでいた。
この景色を毎日見られる鳥達に少しばかり嫉妬しながら、私はジグマリンゲンの街を後にした。

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ドイツでは、先週末は三連休でした。

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