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ドイツの祝日 聖霊降臨祭とクラインガルテン

ドイツは今日まで3連休。
長い週末はいつだって嬉しい。

キリスト昇天祭から10日後の祝日。
聖霊降臨祭 Pfingsten

キリストは、近いうちに聖霊が降りてくるとお告げを残し、そのお告げ通りに昇天祭から10日後に聖霊が降りてきたという。
イースターから50日目に当たるので、ギリシャ語の50、ペンテコステとも呼ばれている。

また、この日から弟子たちが各地に分かれ、キリスト教を広めたということから、キリスト教の誕生日とも言われているそうだ。

そしてこの聖霊降臨祭は、イースターとクリスマスの次に大切な行事とされている。
そして、イースターやクリスマスと同様に、月曜日までが祝日となっている。


聖霊降臨祭月曜日 Pfingstmontag
教会では記念の礼拝が行われるそうだが、イースターやクリスマスと比較すると、これといった街の変化はない。
春先の長い週末をドイツ人は喜び、大抵の人は旅行をしたり家族に会いに出かける。

ドイツで今、話題となっているものがある。
普通電車であれば、ドイツ国中どこへでも行き放題という1か月の定期が、なんと9ユーロなのだ。
これは、6月から8月までの3か月間売り出されている。
このチケットのせいか、土曜日は電車や駅は驚くような混みようだったらしい。
みな、このチケットを使い、家族に会いに出かけたり、コロナが緩和された後の旅行を楽しんでいるのだろう。

この聖霊降臨祭をもって、イースターの一連の行事が終了する。


ドイツで素敵だなと思ったものの中に、Kleingartenという施設がある。
直訳すると、小さな庭だ。
(以降、クラインガルテンと記載)

これは市民農園とも言われ、デュッセルドルフ市が所有している広大な敷地の一部を数年単位で借りたり、または所有者から買い取ることもできるようだ。
デュッセルドルフには約70か所ある。

主に都市部においてこの施設が作られており、ドイツ全体で約100万か所あり、その総面積は460 km²以上にもなる。
東京23区の総面積626.7km²と比較すると、その面積の大きさが把握できるだろう。

ちなみにドイツの国土面積は357.386km²だ。
日本の377.975km²より少しだけ小さい。

クラインガルテンの上空画像:Spiegelより

敷地内には小さな簡易型の小屋が建っており、その小さな土地で植物を栽培する。
居住地を設定する事はできないが、キッチンが付いているのでお料理をすることは可能だ。

現在、コロナの影響もあり、クラインガルテンの人気がより一層上昇したとニュースになっていた。

森にお散歩に行くと、このクラインガルテンの近くを通る。
あちこちから、子供達のはしゃぐ声が聞こえてくる。


庭の果物や野菜を採ってもいい?
もう食べられるの?


可愛い会話に思わず頬が緩む。
小さなじょうろで水やりをする子供。
庭のトランポリンで、楽しそうに遊んでいる子供。
庭の簡易プールで水遊びをしている子供。
お隣さんとおしゃべりをする老夫婦。
ペットも大きな庭で楽しそうに駆け回っている。


私も、何度も友達のクラインガルテンを訪れ、その素晴らしさを感じた。
採れたての野菜で料理を作り、太陽の下でご飯を食べる。
それだけで、何と幸せな気分になれることか。

デュッセルドルフは州都だ。
つまり都会とも言える。
中心地では、庭付きの自宅を持つことは難しい。
でも、ひと時をクラインガルテンで過ごし、自然に触れる。

祖父母、両親、孫の三世代、隣人やペットまでが
小さな庭に集まり、その時間を楽しみ、伸び伸びと過ごせる空間が得られる。

どこかに出かける時に電車に乗っていても、線路沿いのクラインガルテンが目に入る。
私は、このクラインガルテンを見る度に、ドイツを好きだと再確認し、つい「豊かさとは何か」を考えてしまう。

先程の9ユーロチケットの話の通り、ドイツではコロナ規制が緩和され、街で見かける人も一気に増えた。
遠出を予定する人の話も、今までより多く聞く。

それでもまだ、自主規制をしている人は多い。

聖霊降臨祭中の天気予報は、晴れ、雨、曇りとお天気マークが混在している。
春らしい不規則な天候だ。
それでも今日は朝から綺麗に晴れて、庭に遊びに来た小鳥のさえずりで目を覚ました。
クラインガルテンには、きっとたくさんの人が集まる事だろう。

どこか遠くに行かずとも、太陽を浴び、自然の中で野菜の世話をし、採れたての野菜を食べて、大切な人やペットと時間を過ごし幸せを感じる。

クラインガルテンは小さな庭。
しかしその庭は、ただの庭ではなく、都会のオアシスなのだと思う。

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