価格は、原価の積み重ねではなく価値で決める
あなたは、商品の価格をどうやって決めますか?
「値決めは、経営そのものである」と言われるくらい、経営にとっては最重要な考え方です。
一般的に商品(製品)は、製造原価の積み重ねによって決められます。
すごく大まかに示すと、下記のようになります。
(実際はこれに、販促費や物流費などが加わります。)
価格=原材料費+製造原価(加工費)+利益
大まかに言うと、製造原価(原材料費+加工費)に自社の利益を足したものが販売価格になります。
つまり、各々の原価の積み重ねによって価格が決まるのが一般的です。
特に製造業などは、まさにこの原価計算の方法が典型的です。
販売数量を伸ばしたいなら他社より安く売るのが一番手っ取り早く、そのためには製造原価を抑えるか利益を抑えるか、もしくは辛抱してどちらも抑えるかになります。
本来なら、品質を維持するならそれなりの原価は必要ですし、ちゃんとした儲けを出すなら自社の利益も必要です。
これが出来ていれば、会社に利益が残ります。
しかし今は、モノが売れない時代。
世間には様々な良い商品がたくさんあって、まさに大競争時代。
何とか売ろうとして、価格を下げてしまいがちです。
当然利益は少なくなるので、例え売れても大した利益は残りません。
でも、これとは距離をおいた商品もあります。
例えば、木製ハンガーを製造しているハンガー専門メーカーで中田工芸株式会社という会社。
単純に「ハンガー」というだけなら、100円ショップにも売っていますし、ホームセンターで買っても一つ数百円ってとこでしょう。
しかし、中田工芸の国産木製ハンガーの高級品は1本30,000円。
天然木の一枚板から、職人さんが削り出すといもの。製品というよりも、芸術品といっても過言ではない逸品です。
もちろん、材料・加工の製造原価も高価になります。
でも恐らく製造原価から、この値付けになっただけではないでしょう。
このクラスのハンガーを購入するとなると経営者なども多いでしょうし、背広はオーダーで数十万円のものも珍しくないかもしれません。そうでなくても大切な人へのギフトと考えると、高品質のハンガーに3万円くらいは払ってもよいと考える。だから、この値付けで売れるのです。
もっと典型的なのは、世界的なラグジュアリー・ブランド。
これらは製品(品質)としてのモノの価値に、目に見えないブランドの価値がプラスされます。
エルメスのバーキンなどは200万円〜数百万円のもあり、一般的な「価格=原材料費+製造原価+利益」という図式は成り立ちません。
お客様が欲しいと思う「価値」に対しての「価格」なのです。
もちろん、これはブランド力があることが前提となります。
先ほどの国産木製ハンガーも製造の技術力だけでなく、きちんとしたブランド戦略があってたどり着いた結果です。
ブランドをつくることは、価値をつくることです。
単純な、原価の積み重ねではありません。
そこを考えると、今までの「価格」の意味が違うものになってきますね。
ブランドについて詳しくは、「ブランドって、こういうこと」ブランドって、なに? をご覧ください。