村上誠【貼り箱のブレンダー】

村上紙器工業所代表 貼り箱(はりばこ)という化粧箱で、企業ブランディングをお手伝いして…

村上誠【貼り箱のブレンダー】

村上紙器工業所代表 貼り箱(はりばこ)という化粧箱で、企業ブランディングをお手伝いしています。パッケージは企業と顧客をつなぐ大切なコンタクトポイントであり、重要なブランド体験を生みます。/20代にワーキングホリデーでカナダ・バンクーバーに1年半在住/元保育士/元NHKテレビ技術者

最近の記事

大阪パッケージアカデミー のオープンキャンパス

半年間の講義・課題制作・演習を通してパッケージ(主に紙箱)の構造とデザインを総合的に学び大阪パッケージアカデミー(主催:株式会社中野木型製作所)の第6期が10月からはじまります。 それに先立って、先日オープンキャンパスを開催しました。 コロナ禍以降はZOOMでのオンライン講座のため、実際のワークショップなどは行えないため、今回の企画でした。 紙器用の木型製作(中野木型製作所)と貼り箱製作(村上紙器工業所)を行いました。 講義を聞くのと違い実際の現場での実習は、参加者にとっ

    • 箱屋と話す、BARにおける親密な会話「箱BAR」

      久しぶりの投稿です。 村上紙器工業所が贈る新しいコンテンツ「箱BAR」。 大人の空間を舞台にした「BARにおける親密な会話」のはじまりです。 貼り箱ディレクターである村上誠(村上紙器工業所 代表)と親交のあるクリエイティブに関わる方が、パッケージやデザインに関するアイデア、視点、果てはお互いの考え方や生き方について、オーセンティックBARにて語らいます。 いまのデジタル化された時代、製品(弊社では貼り箱という商品パッケケージ)の機能/スペックだけじゃなく、これは誰がつくっ

      • これからのモノづくりはハードとソフトの組み合わせ

        先週末の土曜日、大阪市生野区の「ものづくりセッション vol.23」で、弊社のビジネスの取り組みについてプレゼンテーションをさせていただきました。 弊社は貼り箱という商品パッケージの製造業ですが、モノづくり特有のハード(スペック)一辺倒ではなく、ソフト(デザイン、ブランディング、マーケティング、コミュニケーションなど)を融合させた事業展開を行っていることについて、お話をさせていただきました。 私は最終的に家業を継ぎましたが、家に戻るまでに様々な仕事や経験をし、およそ15年

        • コミュニケーションって、なに?

          村上紙器工業所のまたまた箱屋らしくない、新コンテンツのをつくりました。「ブランディングって、こういうこと」に続く、「こういうこと」シリーズ企画です。 でも、とても大切なことなので読んでみてください。 商品を入れる化粧箱/パッケージは、機能的にいえば商品の外観であり、中身を保護する(包む)、商品を運ぶものです。 でも実はそういう機能だけでなく、ブランディングやマーケティングとしての役割も担ってくれる存在です。 パッケージは「一番外側にある中身」といいますが、単なる入れ物では

        大阪パッケージアカデミー のオープンキャンパス

          貼り箱は量産品にして「複製不可能」なパッケージ

          最も美しいひとつの一台、と言われるフェラーリ328。 フェラーリは、工業製品でありながら複製不可能な量産品の一つ。 現在は車としてのクオリティもかなり上がりましたが、聞くところによると昔のフェラーリは例えばドア交換で本国からリペア用のドアを取り寄せても、微妙にカタチが違って合わない。なんてことが普通にあったそうです。笑 量産といってもまだまだ生産台数が少なかった時代、それだけ手作りの部分が多くあったんでしょう。今聞けば笑い話のようですが、まさに「複製不可能な量産品」だった

          貼り箱は量産品にして「複製不可能」なパッケージ

          ただ「運ぶ箱」から、「意思を運ぶ箱。」へ

          日本を代表するクリエイティブディレクター、佐藤可士和さんの生の話を聞きました。ミーハー的に、ちょっと感激でした。笑 すごいクリエイターのお話って本やテレビ、ユーチューブなどではいくらでも聞けますが、実際に目の前で聞ける機会はそうはありません。 今回は、京都クリエイティブ・アッサンブラージュという価値創造人材育成プログラムの一環(佐藤可士和の創造性を読み解く)で、一般公開されていたものでした。 いろいろなお話があったのですが、とても強烈に残ったのが可士和さんいう価値の転換。

          ただ「運ぶ箱」から、「意思を運ぶ箱。」へ

          SDGs、持続可能な紙を使ったパッケージ/貼り箱

          先日、平和紙業ペーパーボイス大阪の「紙と取り組むSDGs展」を見てきました。 環境のやさしい、配慮された素材として紙が注目されていますが、間伐材を使った紙や森林認証紙などが目を引いてました。 私たちがつくる貼り箱は、中芯のボール紙がほぼ再生紙ですし、貼る紙も古紙を含んでいるものが多いです。中には、ケナフ(アオイ科の一年草)紙などの非木材紙などもあります。 そして貼り箱に使う接着剤は、ニカワ(膠)を使っています。 接着剤としてのニカワは、世界中の貼り箱製造に使われていて、

          SDGs、持続可能な紙を使ったパッケージ/貼り箱

          考える手。

          弊社のキャッチフレーズ「意思を運ぶ箱。」を書いていただいたコピーライター/クリエイティブディレクターの田中有史氏が、私たちが貼り箱をつくる現場をみて書いていただいたコピーです。 私たちは日々やっていることなのでごく当たり前の風景なのですが、デジタル社会の現代において、「人が手でつくっている。」ことがとても印象的だったようです。 田中さんが、思っていた以上に「手」が介在している小さな現場に触発されて、工場見学に来ていただいた夜に、熱が冷めないうちにキャッチフレーズを何本か書

          パッケージ/化粧箱の役割に何を求めるか?

          商品を包むパッケージ/化粧箱は、現代ではなくてはならないものです。 昔なら、八百屋さんで売ってるキャベツやきゅうりなどは、新聞紙にくるんでくれたものです。 しかし、今やスーパーで売っているキャベツなど野菜に限らず殆どすべてのものが、何らかの形でパッケージングされています。 パッケージの機能的価値は「包む」「保護する」「運ぶ」ですが、情緒(感情)的価値としては「ブランド価値を伝える」「ブランドと顧客をつなぐ」「ブランドにとっての重要な顧客接点」というコミュニケーションです。

          パッケージ/化粧箱の役割に何を求めるか?

          ポジショニングでブランド価値が変わる

          日本にはトヨタを筆頭に日産、ホンダ、スバル、マツダ、スズキなど、大手自動車メーカーがたくさんあります。 海外だと米国のGM、フォード、クライスラー。特に欧州にはメルセデスベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、フィアット、アルファロメオをはじめ、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニなどの高級スポーツカー専業メーカーも。 企業ブランドによって、各々の特徴があります。 トヨタなど、日本メーカーは主に全方位の量産型。メルセデスベンツやBMWは、高級ブランドに特化しています。 ポルシ

          ポジショニングでブランド価値が変わる

          ものづくりのベクトルを変える

          私たちは、「貼り箱(はりばこ)」という紙製の商品パッケージ/化粧箱を企画・製造しています。典型的な町工場です。 私たちの業界では、地域の小さなお菓子屋さんから貼り箱の注文を受けたり、もしくは印刷会社やパッケージ会社などから「下請け」として受注することが多くあります。 特に印刷会社などからの注文は、数ある下請け業者に相見積もりを取って安価なところに注文を出す。みたいな、昔ながらの慣習があります。 昔はそれでも何とか成り立っていたようですが、原材料や人件費が高騰する中で価格

          ものづくりのベクトルを変える

          箱屋なのに、売っているのは目に見えない顧客価値

          先週末、「パッケージ展2022(主催:大阪産業創造館/クリエイティブネットワークセンター大阪メビック)」が、無事に終了しました。 コロナ禍のため3部構成で来場人数を絞っての開催で、トータル約800名以上がパッケージを求めて足を運んでいただきました。 プレゼンテーションタイムがあるのですが、出展社中13社が参加。各社が、持ち時間5分で喋りました(半数近くは、動画放映)。 私のプレゼンテーションスタイルは、パワーポイントなどのスライドは一切使わず、いつもおしゃべりだけで行います

          箱屋なのに、売っているのは目に見えない顧客価値

          オリジナルパッケージは、コストダウンではなくブランディング

          商品のオリジナルパッケージ/化粧箱を作るとき、よくあるのはコストダウンの考え方です。包装/梱包資材だから、できるだけコストは低く抑えたい。それはよくわかります。 しかし、安易にコストダウンだけを考えるのは短期的にはコスト削減になりますが、長期的な視点でみるとマイナスになることがあります。 何故ならコストダウンは表層的な一面で、その分費用は抑えられますが費用を削ったことで、ブランドそのものの価値が上がることがあるからです。 商品を購入したお客様が、最初に手に取るのは商品よ

          オリジナルパッケージは、コストダウンではなくブランディング

          パッケージの少量生産という意味

          弊社は「貼り箱(はりばこ)」と呼ばれる紙製の化粧箱/パッケージを、企画/製造している小さな町工場です。同業者でも自動化された機械を使って、お菓子などの貼り箱を大量生産(数万個〜数十万個以上)するところもあります。 それに比べると、現場スタッフ数名でロット100個(もっと少ない数も)から500個、1,000個程度の小ロット生産をやっています。 生産量としては、規模の大きな会社とは全く太刀打ちが出来ません。ただし、生産量が多いのがいいかと言われると、もちろん大きな売上げになり

          パッケージの少量生産という意味

          アイデアは、タダなんでしょうか?

          昨年から、自社サイトからの新規のお客様案件について、1件あたり企画費として僅か(数万円程度)ですがいただくようにしました。今までは、製造業として作ったモノ(製品)に対してしかお金をいただけなかったのですが、実際には貼り箱を企画(各種打ち合わせや素材を含めた仕様提案など)するために多くの知恵や時間を使っています。 思い切って、それに対しての対価をいただくことを決めました。 箱屋(パッケージ業界)としては、かなり大胆なことだと思います。恐らく、そんな箱屋は中々ありませんからね。

          アイデアは、タダなんでしょうか?

          物はパッケージに出会って、はじめて商品になる。

          先日、あるデザイナーの方からお聞きした言葉です。 何でも、佐治敬三氏が言葉だとか。 商品パッケージ・貼り箱をつくる者からすると、すごく素敵な言葉です。 言われる通り、まさにつくられた物(製品:原材料を加工してつくられた完成品)のままでは、「商品(経済活動において生産・流通・交換されるもの)」とは言えません。 パッケージに入れられて、市場で流通されるカタチになってはじめて商品となるのです。 当り前といえば当り前なのですが、それだけ市場に出るにはパッケージは欠かせないものです

          物はパッケージに出会って、はじめて商品になる。