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ポメラ日記 #006デジタルとアナログの狭間を揺蕩うポメラ

近況

ポメラ生活を始めて、早二週間以上が経過した。
ほぼ毎日、ポメラを開いては何かしらを書いている。習慣というにはまだ意識的なところがあるけれど、日常に馴染んできているのは確かだと思う。
つい最近、長らく書きたいと思っていた小説を、拙いながらも書き始めた。まだまだ人に見せられる状態になるにはほど遠い代物だけれど、長い目でみてゆっくりと書き上げていきたいと思っている。

ポメラ日記、読んでくれてありがとう

以前に書いた生活の中でのポメラの定義づけに関する記事が、二週間で200PV達成と、私の書いた記事にしては思いのほか好評である↓

これだけマイナーなガジェットであるところのポメラに関する記事が、ここまで反響を頂けているのは、このnoteというメディアが基本的に文章を主体としたものであることが大きく影響しているであろう。普段はスマートフォンやノートPCで記事を書いている人たちの中にも、文章専用端末としてのポメラに興味を持っている人が多いのでは無いかと推察する。あるいは、すでにポメラを持っている人たちの仲間意識や共感もあるのかもしれない。

言葉を書く、という行為

“言葉を書く”、という行為においてデジタル(=タイピング)かアナログ(=紙とペン)か、という議論はタイプライターの出現以降、人類にとって大きな議題となりつづけてきた(やや大げさな言い方になってしまったが)。どちらにもそれぞれの良さがあり、一長一短ではあるのだが、一般には文章が長くなればなるほど、その後の修正や管理、検索性といった点においてデジタルの優位性が増すことになるし、一方で短い覚え書きやメモ、走り書き、といった短い文章であれば、即時性とフォーマットの自由度に優れたアナログの優位性が増すであろう。昨今登場したタブレット端末とスタイラスペンの組み合わせ(例:iPad+Apple pencil)はこの見方から言うと寧ろアナログ側に寄っているといえる。

ではこのポメラはどうか。タイピングで文章を入力する以上、やはりどこまでいってもデジタルな端末であるのは確かなのだが、個人的な印象として使用しているとどうにも“アナログ”に思える瞬間がある。これは、文章入力までにかかる時間という一点において、紙とペンに引けを取らないほどに即時性に長けた端末であるがゆえ、なのでは無いかと思う。紙とペンのようなフォーマットの自由度は無いにしても、およそ手書きと同じ、あるいはそれを凌駕するほどの早さで文章を書き込めることは大きな魅力であると思う。

一方で文章などのファイルはクラウドサービスを利用して、いつでも最新版を、どの端末からでもアクセスできる、というのが主流になりつつある昨今において、これらの連携から切り離されたポメラは、デジタル端末としての不便さを感じることもある。(これが仕様上の問題なのかは不明だが、常時クラウドと連携させることで電池消費や端末としてのコンパクトさが失われるのなら、私個人としては不要であると思っている。)この文脈の中でポメラは半デジタル、半アナログな端末と言える。良く言えばアナログな即時性を持ったデジタル入力端末、悪く言えばフォーマットの自由度がない自己完結型のアナログ寄りな端末で、やはり一長一短なのには変わりない。

デジタルとアナログの間でたゆたって、いいじゃない

アナログだろうが、デジタルだろうが、結局それぞれの長所短所といった凸凹が実生活とどれだけ馴染むのかに拠って選択される。スマホがかつてのガラケーを駆逐したのも、タイプライターがノートPCに取って代わられたのもより高性能だから、という単純な話では無く、それらが我々の生活にフィットした、あるいは生活がそれらに合わせるように変容したからなのだと思う。道具と実生活が相互に影響を及ぼし合いながら、個々人の人生にとって心地の良い落とし所に見出していくような関係性が、私は望ましいと思っている。ポメラというニッチな端末は多くの人々にとっては不要なのかもしれない。それでもこの端末だからこそ見いだせる道具とのほどよい距離感を私は感じているし、それはきっと私だけではないはずだ。

仕事柄、ほぼ毎日PCを開き、仕事に関わるアプリケーションに四苦八苦しながらも、やはり実生活としてはデジタル寄りの生活がやむを得ない私だが、(だからこそ)アナログな文房具や筆記具に惹かれる文具オタク的側面も持っている。万年筆とシステム手帳を愛用し、日々の記録やメモをつけ、時折ポメラで執筆をする。そして、必要な時にはPCに大いに活躍してもらう。こういった日々の中では、ポメラの”メモ帳以上、パソコン未満”な中途半端さが,むしろ心地よくニッチを埋めてくれているように感じる。
あるときはメモとして、またあるときにはノートとして、デジタルとアナログの間を揺蕩うポメラがどうにも手放せなくなってきている。

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