【超短小説】年雄、出かけない

年雄は最近、仕事以外で家を出ない。

出かけなくなった。

出かける理由がなくなった。

それは、欲求を満たす物が身近になったからだ。

携帯電話。

これさえあればいい。

音楽、本、ゲーム、映画まで全て身近にある。

だから出かけない。

そうすると、不思議な感覚を覚える。

毎日何かをしている。

毎日何かの情報を入れている。

でも、寝る前に思う。

何もしていない。と。

身近になりすぎて、物の価値もよく分からない。

あって当たり前。

観れて当たり前。

読んで当たり前。

聴いて当たり前。

うーむ・・・。

王様ってこんな感じなのか?

当たり前って暇だ。

浜本年雄40歳。

最近、時間の使い方が下手な気がする。

次の休みは出かけよう。

携帯持って。

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