【超短小説】年雄ならこうする④

深夜の公園で、年雄はブランコに乗っていた。
月が綺麗だったからだ。

ギーコギーコとブランコを漕いでいるうちに、年雄の想像が膨らむ。

年雄ならこうする。

年雄がクレバーならこうする。

年雄がクレバーなら、色んな知識を頭に入れて、その知識を世の中の為に使う。

そうする事で、世の中が便利になり、効率が上がり、笑顔が増えるだろう。

年雄が得た知識は、惜しみなく人に教える。

自分だけクレバーでも意味がないから。

子供はもちろん、大人にだって教える。

みんながクレバーになった方が、効率がいい。

でも、教わる人は年雄よりクレバーではないから、教わる。

だから教わる態度を取らなくてはいけない。

年雄に頭を下げ、「教えてください」と言うべきだ。

教わったあとは「ありがとうございます」と感謝をして、その教わった知識を人に教えなければいけない。

知識は伝えてないと意味がない。

教わる態度が悪い人には教えない。

文字すら教えない。

だって態度が悪いんだもん。

態度が悪い人に教えてる人がいたら「教えなくていいよ」って言っちゃう。

だって態度悪いんだもん。

深夜の公園でブランコに乗りながら年雄は思った。

"俺がクレバーではない事で、人の為になっているのかもしれない"

浜本年雄40歳。

明日も仕事だ。帰って寝よう。

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