hardboiled_01

奇怪的ナ腑ノ過チ

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奇怪的ナ腑ノ過チ

マガジン

  • 小説『記憶と記録の境目』

  • 連載小説『チョイス』

  • 連載小説『廃坑』

     都会の生活に疲れた主人公は、癒しを求めて気分転換で田舎に向かう。気付かぬうちに謎の廃坑に迷い込んだ。そこに待ち受けていたのは、現実から切り離された空間だった。この場所の真相を知り、逃げ場がなくなり恐怖に陥る。しかし、そんな中でもこの場所に幸せを見出そうとする。葛藤の上で主人公が下した決断とは…

最近の記事

『チョイス』#1

恵まれない。恵まれない。恵まれない。 そんな毎日の繰り返しのあなたに、 チャンスを与えましょう。 これから始めるのはライフ・チョイスゲーム。 あなたの人生を変える 3つの選択をさしあげます。 人生の分岐点となることでしょう。 手始めに、 命を賭けてゲームをしていただきます。 自分の感情を気にかけてくれる人なんかいない。  いつも心の中はひとりぼっちだ。  なにかのきっかけで、全てがひっくり返ってほしい。そう思っていた。  今日楽しい1日を送れても、  明日はつまらないか

    • 『廃坑』#6

      ⬜︎前回の物語は下のリンクから ⬜︎ #6トレパネーション 8. 「正直言ってそれは無理だと思いますよ」 「だよね…。」 怒られた。 「私は実際に見てきたからわかるけど、そんか簡単な話じゃないよ」 「そうですよね」 「実際に見てないあなたはそう簡単に言えるかもしれないけど、すごいんだから、あの場所」 「そうですよね…ごめん。」 「いや、謝らなくていいけど」 「実際にのんさんはそこにいる方々に会ったわけですもんね」 「うん。夜になると窓に向かってダンスをし

      • 『廃坑』#5

        ⬜︎前回の物語は下のリンクから ⬜︎#5 AIマカルム 7. 「大丈夫ですか」 「うん」 「マカルムさんですよね」 「はい」 「ど、どうして…」 「ごめんなさい、驚かせて」 マカルムさんが過呼吸になっている。 「大丈夫です。落ち着くまで待ちます。」 5分後 「ごめんなさい。」 「大丈夫ですよ。ゆっくり話聞きます。」 「実は監禁されていたんです」 「か、監禁ですか?」 「はい。」 「もしかして、堺さんって人にですか?」 「いえ、その人ではない

        • 『廃坑』#4

          ⬜︎前回の物語は下のリンクから ⬜︎#4 寝れない夜 5.  タバコが吸いたい。  机の上にあった箱を手に取り、中から一つ取りだし  た。  ここにいた人のものか。  人のもの吸うのいやだな。  まぁいっか。  鉄の高そうなライターも置いてあった。これ貰いた  い。  火をつけ、煙を吐き出した。  虚しさを感じる。  なんで俺AIと話してんだ。  空気が冷たい。  冷房効きすぎ。  リモコンをエアコンに向け、停止した。  なんでずっと付いてんだよ。  こ

        『チョイス』#1

        マガジン

        • 小説『記憶と記録の境目』
          1本
        • 連載小説『チョイス』
          1本
        • 連載小説『廃坑』
          6本

        記事

          『廃坑』#3

          ⬜︎前回の物語は下のリンクから ⬜︎#3 開かれた部屋 4. 本棚の横の壁が開いた。  新しい部屋に繋がった。  大して驚かなかった。そうなるとわかっていたような気がした。この場所ならこんなことだってある。  7畳ほどの書斎。  灯りをつける。わずかに眩しい。  電子時計は、12月11日13:17と表記。  あ、間違ってる。ちょうど、4ヶ月ズレてる。たぶん時間はあってる。  ここに誰かがいた形跡がある。描きかけの絵と積まれた本。  「あなたの名前は」  ?  「え」

          『廃坑』#2

          ⬜︎前回の物語は下のリンクから ⬜︎#2求めていた場所 3.  すぐに冷静になれた自分が怖かった。   驚いても仕方ない。この人はきっと死んでるんだ。俺がどうこう叫んでも仕方ない。  この人、でも生きてる可能性もあるか。でも人工呼吸とかできないし。  通報するべきか。  …あれ、待てよ、ない。 スマホない。 最悪だ、まって、最悪じゃん。見つけられたとしても、水没してんじゃん。  いや、それより、この人か。通報できない、どうすればいいんだ。  まって、この廃坑に誰かいない

          『廃坑』#2

          『廃坑』#1

          あらすじ 都会の生活に疲れた主人公は、癒しを求めて気分転換で田舎に向かう。気付かぬうちに謎の廃坑に迷い込んだ。そこに待ち受けていたのは、現実から切り離された空間だった。この場所の真相を知り、逃げ場がなくなり恐怖に陥る。しかし、そんな中でもこの場所に幸せを見出そうとする。葛藤の上で主人公が下した決断とは… ⬜︎#1求めている場所 1.  大学の授業が急遽休校になり、俺は、ひとけのない場所を探しに、一人旅に向かった。たぶん疲れてたんだろう。自分と向き合う時間が欲しかった。

          『廃坑』#1

          小説『記憶と記録の境目』

          1. 「こんにちわー」 「こんにちは」 「渋谷警察署 渋谷駅前交番です」 「はい」 「今近くで通報があってきたんですけどお兄さんいまなにされてます?」 「あ、いえ、…なにもしてないですけど、え、私にですか?」 「そうです。お兄さんの通報がありました」 「はい。」 奥村泰輝は、横断歩道のど真ん中で立ち尽くして動かなくなっていた。 「渋滞してみんな迷惑してるんです、お兄さん渡ってくれますか?」  我に帰った。自分でも驚いた。止まっていた時が動き始めたような感覚だった。なぜ警

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          小説『記憶と記録の境目』

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