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ノンデザイナーとペアデザインする仕組みのススメ

🎄Money Forward Design Advent Calendar 2022の5日目の記事です🎄

「マネーフォワード デザインアドベントカレンダー2022」、5日目はビジネスカンパニー BXデザイン部の harayumi がお送りします。

1年が早すぎる

1年前、入社前の休暇を満喫しながら去年の「マネーフォワード デザインアドベントカレンダー2021」を読んでいたことを考えると、月日が経つはやさに驚きます😂

年明けにマネーフォワードにjoinしてもうすぐ1年。
モノのデザイン、言葉のデザイン、仕組みのデザイン、マネジメント、、色々なTryをする中で痛感していることがひとつあります。

それは……

デザインはデザイナーだけがしているわけではない

私の所属する「ビジネスカンパニー BXデザイン部」は「カンパニーミッションと表現をつなぎ、タッチポイントの品質を高める」を使命に、様々なタッチポイントのデザイン、ブランド指針の策定、ブランドアセットや仕組みの開発に日々取り組んでいます。

しかしながら、数十のプロダクトを大規模組織でお客様にお届けする中で発生するタッチポイントの量は膨大で、「デザイナーがその全てをデザインしている」と言い切るのは、何だか少し違和感があるのです。

例えばお客様と商談する時に使う資料類

デザイナーがそのマスタを作ることはあっても、お客様ごとのご状況に合わせた細かなチューニングはセールスのメンバーによるデザインです。

全社を挙げてお客様のタッチポイントのデザインに取り組む中で、
「デザイナーはその品質が上がるような仕組みを作り、見本を作り、そして支援する。」

── デザイン領域にもよりますが、ことBXデザインやコミュニケーションデザイン領域に関しては、私はこの表現がしっくり来ます。

「カンパニーミッションと表現をつなぎ、タッチポイントの品質を高める」という使命は、言い換えればマネーフォワードらしいブランド表現をデザイナーだけに閉じずにインフラ化することなのではないか?と。

そう考えて今年の夏から始めたのがこちら。

ノンデザイナーとペアデザインする仕組み「デザイン駆け込み寺」

名の通りなのですが、ノンデザイナーが作るものをデザイナーが一緒にデザイン……つまりペアデザインする時間を定期的に設け、仕組みにしました。

デザイナーがオフィスアワーのようなカタチで定期的に窓口を開き、表現のお悩みがあるノンデザイナーに飛び込みで駆け込んでもらい、その場で一緒にデザインして情報設計や表現の悩み解消をします。

「ペアデザイン」と聞くと、デザイナー同士がやっているイメージが浮かびますが、別にデザイナー同士じゃなくてもいいのです。

「デザイン駆け込み寺」の運営方法

① まずはSlackに「デザイン駆け込み寺」専用チャネルを作成
駆け込みたい人は自由に参加してもらいます。

② 定期的に窓口を開け、1回につき1時間(30分×2コマ)を設け、先着順で受付

開催のアナウンスは当日の朝。1コマ30分の1本勝負です。

③ 時間が来たらOPEN宣言し、zoomで画面共有しながら相談を聞き、その場でアドバイスや手直し
デザイナーは時間内で確実に改善の成果を出す必要があります。

余談ですが、「駆け込んでくれる皆にとってデザインがワクワク体験になるといいな」という思いのあまり、社内向けなのをいいことにド派手なOPEN画像を作ってしまいました。
noteに書くことを予想できていなかった……😇

CDOのセルジオさんに「ナイター営業?」とリアクションをいただきましたが、夕方営業です

④ 終わったら何をどんな風に改善をしたかSlackチャネル内で軽く共有
可能であれば、取り組んだもののBefore → Afterも掲載します。

例1:連携図的なもの
例2:大まかな概要的なもの
例3:箇条書き的なもの
例4:ちょっとしたチラシ的なもの


ここにはぼかしたものしか掲載できないのがもどかしいのですが、皆、たった30分間で格段に伝わりやすいものに改善できているのを、何となく想像できますでしょうか?

⑤全てのコマが終わったら窓口をCLOSEする

CLOSE画像も賑やかにしてしまいました😇

どんな相談が多い?

窓口はBX・コミュニケーションデザイン領域のデザイナー、ということで、マーケやセールスメンバーからの相談が一番多いです。
(たまにUI/UXデザイナーの駆け込みもあります)

相談内容は以下の通り。

営業資料やスライド類がダントツで多いです

デザイナーが意識すべきこと

この取り組みでデザイナーが大事にすべきことは主に3つあります。

① どんな状態のお客様に何を伝えたいものなのかを理解すること
ただ見た目だけキレイにするのでは品質向上とは言えません。
お客様により伝わる状態にできて初めて「改善」と言えます。
そのためには、まず相談時間の序盤でここをしっかり理解する必要があります。

②「どうしてこうするのか」「こうすることでお客様がどう見やすくなるか」を説明しながら進めること
デザインにはどんな小さなものにも必ず意味があります。
その意味を相談者に伝えながら進めることで、後に作るものにも活きていきます。

③ デザイナーしか使わないツールが必要になるような技は使わないこと
ノンデザイナーの環境で再現性がなければ意味がありません。
例えばそれが営業資料であれば、Googleスライドだけで完結できる範囲内で改善をする必要があります。

この取り組みを半年間ほどやってみて、デザイナーにとっても、ノンデザイナーにとってもメリットだらけだなと感じています。

ノンデザイナーのメリット

① 忙しい中で、時間をかけずに品質向上ができる
「表現に悩むけれどデザイナーに制作依頼するまでもないもの」に対して、時間をかけずに、最低限のコミュニケーションコストでデザインのブラッシュアップができます。

② 実際に業務で使うものを題材にしてデザインの考え方や技を学べる
デザインの考え方を学ぶことは本やセミナーでもできますが、実際の業務で作っているものを用いてやっていくと時短になりますし、その後の業務にも活かしやすくなります。

実際に駆け込んでくれる皆に喜んでもらえているかが気になってしょうがない私は、Slackで感想を エゴサ リサーチしてみました。

一部抜粋。好評で嬉しいです!!

また、対応や開催ペースに改善点がないか参加者にアンケートをとった結果がこちらです。

まさかの100%! 相談する人も、乗る人もRespectに溢れています👏
その後の業務にも活かしてもらえているようで、やりがいを感じます💪

デザイナーのメリット

相談に乗る側、つまり我々デザイナーにとっても学びが多いです。

①ノンデザイナーが何に悩むか傾向を知れる
相談内容には一定の傾向があります。

例えば入り組んだプロダクト連携図、予定表やガントチャート等タイムラインを表現するもの。
デザインの4大原則をフル活用する必要のある箇条書き的な表現についての相談も多いです。

この傾向を知ることで仕組みやアセット作りの優先度の判断がしやすくなったり、「ここの表現改善できないか?」などデザイナー同士の横連携が取りやすくなります。

② デザイン組織の中にいると見えづらいタッチポイントを知れる
冒頭に書いたように、デザイナーは全てのタッチポイントを把握しているわけではありません。

資料類であれば、標準的な営業資料だけでなく、突発的に必要になった数ページの資料の中にもお客様のご要望やペインはたくさん詰まっています。

バナーであれば、マーケター目線で何を狙ったABテストを考えているか、またはその中で表現のバリエーションのどこに悩んでいるかの理解につながり、そこから制作の現場で機能する新しい表現アセットが生まれやすくなります。

駆け込み寺を通してデザイナーがそれを学べることはとても有意義です。

③ 社内のたくさんのメンバーと繋がれる
ビジネスカンパニーは大きな組織ですが、マーケやセールスのメンバーと共創するプロジェクトの中だと、デザイナーの窓口になるディレクター的な人はある程度決まってきます。

ですが、この「デザイン駆け込み寺」の取り組みではそれが一切なくなります。
時にはインターンのメンバーが駆け込んでくれることも。

大きな組織の中でデザイナーがたくさんのメンバーと繋がれることは、インナーブランディング観点で大きな手助けになっていきます。

④ デザイナーの筋トレになる
先ほども書いた通り、「デザイン駆け込み寺」は1コマ30分の1本勝負。
イラスト、図説、文字組み、言葉、グラフィック、写真、Web……どんな相談が来るかは当日までわかりません。

そんな「総合格闘技」の状態で30分以内に確実に成果を出すには、ある程度の経験と総合力が必要になります。
そして、相談の回数を重ねることは "デザイナーの瞬発力" 的な観点で良い筋トレになっています。

今後も改善を重ねながら続けていきます

取り組みを開始して半年。
日に日に参加者が増えてきて、OPEN告知から数分で予約が埋まる日も出てきました。

これからも駆け込んでくれる皆と一緒にUser Focusなタッチポイントを作り続けるため、開催時間やペースに気を配り、デザイナーの新メンバーも巻き込みながら改善を重ねていこうと思います!


アドベントカレンダー6日目の明日は、HOMEカンパニーの新メンバーなっちゃんです!お楽しみに!


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