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ベートーヴェンを毎日聴く336(2020年12月1日)

『ベートーヴェン/フーガ ハ長調 WoO215』を聴いた。

ベートーヴェンはウィーンへ出てきていろんな先生の元で学んだ。そのひとりにヨハン・ゲオルグ・アルブレヒツベルガーという人がいた。

彼は作曲家でもあったが、音楽理論の教育では評判が高く、特に対位法については当時その名を轟かせていたという。

この小さなフーガ作品はベートーヴェンがアルブレヒツベルガーの元で対位法を学んでいた際に作曲された。

フーガはカノンの様に旋律が順次異なる声部に受け継がれて変化していくもの。単独の作品であれば真っ先に思い付くのは、やはりバッハの作品である。なのでバロック音楽の手法のイメージが強くあるのだが、ベートーヴェンも後期には作品中にフーガ技法を多く取り入れた。

そのため、ベートーヴェンの楽譜の束の中にはバッハなどのフーガを写し取って研究していたと思われる箇所が多く残っているという。

若かりし頃、アルブレヒツベルガー先生の元で勉強していた過程においても、もちろんフーガは勉強をしていたはずである。その成果がこの作品なのだろう。

聴くとやはりバッハ作品などのバロック音楽の様にも聞こえる。しかし、「これはバッハには無いだろう」と思う、基本を逸脱したように聞こえる部分が多くある。それはこれまで脈々を受け継がれてきた流れを断ち切る「斬新さ」と言っていいだろう。

音楽に大きな革新をもたらしたベートーヴェン。すでにこのころからその感覚は芽生えていた。

しかし、音楽教育の大家であったアルブレヒツベルガー先生は、この作品を聴いたとき、いったいどう思ったのだろうか?

顔をしかめたのではなく、彼の才能には目を見張るものがある、と驚いていたのではないか、と思いたい。


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