ベートーヴェンを毎日聴く280(2020年10月6日)
『ベートーヴェン/ピアノ小品 ロ短調 WoO.61』
『ベートーヴェン/ピアノ小品 ト短調 WoO.61a』
を聴いた。
ベートーヴェンは、このようなピアノ小品を多く作っている。それは、自分の作品を作曲する過程で生まれた産物もあるが、他の親しい人物のために作られたものも多くある。
「ピアノ小品 ロ短調 WoO.61」はフェルディナンド・ピリンガーのために作られた作品。
ピリンガーはウィーンで役人をやりながら、指揮者やヴァイオリン奏者としても活躍。その後、楽友協会の役員にもなった人物のようだ。
どのような目的でピリンガーに対して贈られたのかは不明だが、ベートーヴェンがピリンガーに対して何かで世話になったお礼として作ったのかもしれない。
ロ短調という調性。これはベートーヴェン作品において唯一のもの。知られていない作品だが、貴重なものともいえる。
「ピアノ小品 ト短調 WoO.61a」は、サラ・バーニー・ペインのために作られたもの。ペインは、ヨーロッパ旅行時に得た文化的な事項についてまとめた「音楽見聞録」の著者としても有名なチャールズ・バーニーの娘。
ベートーヴェンはこの「音楽見聞録」を持っていたという。何かの機会にサラ・バーニー・ペインと会う機会があり、父親が書いた素晴らしい著書「音楽見聞録」へ感銘を受けたお礼として作ったのかもしれない。
本当に短い作品。悲しい雰囲気を醸しだすト短調という調性は、もしお礼として書かれた作品だとしたら、ちょっと的外れではないか、とも思うが。
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