ベートーヴェンを毎日聴く212(2020年7月30日)
『ベートーヴェン/「別れ」WoO124』を聴いた。
「別れ」というタイトルを意識しながらこの曲を聴き始めると「別れの曲?」と思ってしまう。そして「ニーチェ」と聞き取れるがあの哲学者のニーチェなのか?
つらいと思う瞬間がきた。ニーチェ、ニーチェ、さようなら。
つらいんだけど、明るく、すっきりと別れましょうね。という雰囲気はあとくされが無い別れのようだ。なお、哲学者ニーチェはベートーヴェンの後の時代の人物なのでこの作品とは関係が無い。女性の名であろう。
どうやってこれから生きていけばいいのだろう。愛しい人よ。あなたからこんなに離れてしまって。
と続くが、ここで少し短調気味になるのが、やはりこの別れ、なにか引っかかりがある別れを表すのである。
私は常に苦しみ、二度と良いことを手にすることはない。そして誰もが知るように、二度とは戻ってこない。
短調の感じは再びなくなり、ちょっとリズミカルにテンポが刻まれる。明るい曲調でもこの雰囲気は、なにか心の戸惑いを表すようにも聴こえる。オペラのアリアでもこんな感じのものが無かっただろうか。
微妙な感情や心の移りかたなど、詩における行間を引き出すことは作曲者としての腕の見せ所。長調は明るく、そして短調は悲しく、という決めつけで曲を捉えることではないのだ、と再認識する。
Savana PriceによるPixabayからの画像
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