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ベートーヴェンを毎日聴く366-1(2020年12月31日)

『ベートーヴェン/11のウィーン舞曲「メードリング舞曲」 WoO17』を聴いた。

タイトルにある「メードリンク」は、ウィーンとバーデンの中間あたりにある地区。ベートーヴェンは1818年から1820年の夏にこの場所に滞在し、「ハンマークラヴィーア・ソナタ」や「ミサ・ソレムニス」の作曲をした。

この舞曲はベートーヴェンの作品と考えられていたが、今では疑わしいと考えられている。

その理由として、ベートーヴェンは作品のスケッチをすべて残していたのに、作曲した1819年のスケッチにこの作品のものが全く残っていないこと。

そして、作品としてはベートーヴェンのものとしては不足する点が多いこと。

そして、何よりも疑わしいのはアントン・シンドラーがこの作品について言及している内容である。

シンドラーはこの作品について「1819年の夏、メートリングにある宿屋で演奏する音楽家の依頼に応えて、彼らのために舞曲を作曲した」と報告している。そしてシンドラーはこの作品が演奏されるこの宿屋へ行ったとも書いているようなのだが、シンドラーはここに顔を出したという事実はないという。

シンドラーはベートーヴェンの伝記を書く上で様々な脚色や偽りを盛り込んでいたことは、現在では周知されていること。まずは疑われても仕方がないのである。

音楽は、シンドラーが書いた1819年作曲されたものと考えると、ちょっと捻りが足らないのではないかと思う。たとえアマチュア音楽家からの依頼であっても、ベートーヴェンは手を抜いて音楽を作ることは無かったであろう。

誰が作曲したものだろうか。ウェーバーが作曲したとも考えられていたことがあるが、それは否定されている。

今後研究によって明らかになる時が来るのだろうか。


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