見出し画像

SOLD OUT でも入りたい<Musikhuset Københavns>デンマークでジャズを浴びる7

「デンマークとスウェーデンで北欧ジャズを全身で浴びる旅」をピアニストの視点からレポートする、第7回は Musikhuset Københavns(コペンハーゲン コンサートホール)での Enrico Pieranunzi と Thomas Fonnesbæk  の DUO です。


SOLD OUT でも聞きたかったこのライブ、どうしたら入れてくれるか考えた。そうだ、開演後10分くらいに行ってキャンセルあるかどうか聞いてみよう。ない、と言われるのは覚悟の上。そしたらセカンドまで待つ、と粘ってみよう。ファースト終了後、1人くらいは帰るだろう。

「今日 SOLD OUT だというのは知ってます。もしかしてキャンセルがないかと思いまして、、」と聞いてみる。すると「そうだな、、」とパソコンを打ち始め「空いているよ、ちょうど1席だけ」。え、なんだって?「おおー それは素晴らしい!! いくらですか?」「220 だよ」さすがに高いけど、価値あるだろう。

イタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンチと、地元デンマークのベーシスト、トーマス・フォネスベック、世界的に有名な二人の DUO をコペンハーゲンであるのは出国前に知っていた。SOLD OUT も知っていた。諦めていた。

Enrico Pieranunzi と Thomas Fonnesbæk の熱い DUO

エンリコはずっと前から知っている。耽美的で内省的で悲しくも美しい印象。フォネスベックを知ったのは5年前くらいだろうか。デンマークやスウェーデンのボーカリストやピアニストの録音・動画によく参加している。ダイナミックで絡みつく印象。

今夜のエンリコは熱い演奏だった。ピアノから音粒がほとばしる。饒舌だ。フォネスベックのベースはホール全体が振動する。ピアノの旋律に絡みつく。ずっとまえから好きだったエンリコバージョンの Yesterdays、それを生で聞けるときが来るなんて。

演奏中にスマホやカメラで写真や動画をとったり、ビールを飲んだりワインを取りに行ったり、やっぱり今夜も。それは普通なんだな、デンマーク。だからと言って、酔って寝てしまう人もなく、ここまでにしよう、とわきまえてるラインがある。そのラインの位置が国によって少し違うだけなんだろうな。

アンコール1曲の後は、スタンディングオベーション。

音楽の家、と訳すのか、コンサートホール、と訳すのか

本当はもっと耽美的なエンリコを聞きたかったな。空間を聞きたかったな。音が鳴っていないのに音が聞こえる気がする空間を。エンリコだけの。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?