【夢:7】メルヘンな親子愛


2022/01/10朝の夢は2本立てでした。
1本目は絵本のような感じのお話で
コマ送りアニメみたいな映像とナレーション、
あと文字もインサート的に入る感じで
1本の短編映画を観るような感じでした。

というわけでせっかくなので物語風に書いてみます。
※インサート文字は【】

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ある国に、王と王女と息子が住んでいました。
息子は5、6歳。病気で長生きできないと言われました。
跡継ぎとなる実子は他に居ません。
王は仕方なく、国中から優秀そうな子供を集めて
養子にするための選抜テストを行います。
王女は、病弱で知能も少し低い息子の世話にかかりきり。
自分と息子を放ったらかして養子探しに奔走する王に、
仕方ないとは思いつつ寂しさを募らせます。

【ぼく、かさがほしい】

ある日、息子が唐突におねだりをしました。
王女が「どんな傘?」と聞いても
「あかくて、おおきなの」としか言いません。
王に訴えると、面倒くさそうにしながらも
国で一番の傘職人に、赤くて立派な装飾のついた
大人用の傘を作らせました。

【わし、てんさーい】

息子はおそらく大人になれません。
それでも、望むように大きな、大人用の傘をあげた自分を
王は『息子思いの王様』と自画自賛しました。

【ぼく、くるまがほしい】

ある日、息子がまたおねだりをしました。
この国には、エンジンを備えた馬車のような
簡易的な自動車が街中を走っていました。
でも、さすがに6歳前後の息子に扱えるものではありません。
王女も運転できないはずです。
そこで王は、運転手付きの自動車をプレゼントしました。

【わし、てんさーい】

またもや王は自画自賛しました。

それから1年。
ようやく次期当主に相応しい子供を見付け出し、
養子にとることが決まりました。
でも、これからしばらくは帝王学を叩き込んだり
見聞を広めるため外国に連れて行ったりしなければいけません。
その外国遠征を前に、王は久しぶりに
王女と息子の様子を見に城の居住区を訪れました。

が、王女と息子はそこに居ませんでした。

家来を使って城中探しても見付かりません。
捜索範囲を国中に拡げてやっと、
辺境の地の崖に佇む王女と息子を見付けます。
眠った息子を腕に抱いた王女が、静かに言いました。

「こんな風にならなければ、会いに来てくださらないのですね」
「養子探しで忙しかったんだ、仕方ない」
「優秀で元気な息子なら愛せたのですか」
「愛してはいるぞ。プレゼントもあげたではないか」

理不尽に怒られている気がして、王は声を上げます。
王女は悲し気な目で王を見つめました。

「ではなぜ息子があのプレゼントを欲しがったのか、
 理由は、ご存知ですか?」
「理由?ただの思い付きだろう」

知能の低い息子に、『理由』などあろうはずがない。
そんな言い種を聞いた王女は怒りに満ちた表情を浮かべ
声を震わせました。

「王様と…いえ、お父様と一緒に居たかったからです」
「わしと…?」

王女は続けます。

「息子が傘を欲しがった日は、大雨が降った日でした。
 お出かけしていた王様を心配して、あの子は
 『傘を持って迎えに行く』と言ったのです」
「…」
「赤い色は王様の好きな色、
 大きな傘は…王様と一緒に入っても濡れないように」

王は少し呆然としながら、
自分の肩にかけられた赤いマントを握りしめました。

「…車…」
「王様がおでかけになる車が小さいから
 息子も私も連れて行ってもらえないのだと。
 大きな車なら、一緒に連れて行ってくれるだろうと」

王はハッとしました。

【むすことははおやをあわせてばかりのまいにち】

プレゼントを上げたことで満足して、自画自賛して、
息子と王女の気持ちを思いやることはなかったのです。

王女に思わずギュッと抱きしめられて
眠っていた息子がふと目を覚ましました。

「おとうさま、かくれんぼしよう!」

息子は王女の腕から降りて、その手を引っ張り
坂になっているところを崖下に向かって駆けだしました。
王は慌てて追いかけようとしますが
ついてきていた家来に止められます。

「王様、お待ちください!」
「崖の下はあぶのうございます!」
「代わりに兵士が!」

王は家来たちの腕を振り払って王女と息子の後を追いました。

「今行かねばわしは一生後悔するのだ!」

息子と王女はあっという間に谷底に到達し
鍾乳洞のようになっている洞の中を逃げ回り
王はそれを必死に追いかけました。

かくれんぼのような鬼ごっこのようなその遊びは3日近くも続き、
息子と王女は最後には王に捕まりました。

「もう…もうわしはどこにも行かないから、
 3人で城に戻ろう」
「ほんとうに?おとうさまだいすき!」

ヘトヘトの王に、息子は全力で抱き着いて
キャッキャと笑う声が谷底に響きました。
王女も疲れ切っていましたが、息子の晴れやかな笑顔と、
泣きながらそれを抱き締める王を見て、城に戻ることに決めました。

後を追ってきていた兵士たちに助けられて
城に戻った3人は養子とも仲良く、
幸せに暮らしましたとさ。


おしまい
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…目が醒めてから「我ながらメルヘンやな」と思いました(笑)。
それでいてえらい悲し気な雰囲気もあって、
主人公というか主な視点は王様なのに
夢の中では息子に感情移入していたり、
起きてからは王様の気持ちも分からんでもないし、
同じ女性として王女の気持ちも分かるしなぁ…と
何だかマルチアングルな感覚のある夢でした。

2本目は、これはたまに観るパターンのやつですが
「友人の結婚式に行くのにご祝儀どころかご祝儀袋も
まともな服もなくて遅刻しそうになって焦る話」でした。
今回の見どころとしては、
ご祝儀袋を買いに行った文具店の店主が
俳優の橋爪功さんだったことくらいですかね…
ひたすら焦ってウワーとなる話だったので
今回は割愛させていただきます(笑)。

#創作大賞2022

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