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息子に「こむぎねんど」を与えてみたら大変なことに気が付いた。

三連休とんでもない暑さの中、涼しい時間帯を見計らっては公園へ行ってはぼとぼとに汗をかき、水筒を空っぽにしてはすぐに帰宅を繰り返していた。
私たち夫婦は共に海や川のレジャーに行くような家庭で育ってこなかったため、息子も海や川でキャンプをすることはないだろう。行っても学校行事でみんなと楽しくやればいいと思っている。

少し前には息子と一緒にベランダで勝手に生えてきたジャガイモを収獲した。小さいスペースだったため小ぶりなものばかり捕れたが土の中からジャガイモを見つける度に「あた~(あった)」と満面の笑みを浮かべてくれる。それだけで毎日水やりをしてきた甲斐がある。

そしてこの連休を乗り切るため、我ら夫婦は西松屋(パラダイス)に行き、実内でも遊べる新たなおもちゃを息子と共に探しに行くことにした。
ついでに去年の衣類がセールになっていないかもチェックするのも毎回の習慣だ。信じられないような価格で売られていることがある。Tシャツが350円とかがザラにある。ZARAにはない。てゆうかZARAがない。
少し大きめのサイズでも、きっとすぐに着ることになるから青田買いする。

あとサンダルを見に行くのも今回の目的のひとつだった。
結論から言って息子はサンダルが大変気に入らない様子で試着するが、顔をしかめ「いらん」とハッキリと言う。あれ~?他のお客さまの中にも真夏でも靴派の園児はいらっしゃいますか~?本人の大好きなアンパンマンの柄のものに一瞬心揺らいだ感じはあったが、首を横に振った。強情だ、だがそれでいい。

肝心のおもちゃコーナーへ行くと息子は大好きなピンク色の「なりきり!「おいしゃさん」というおもちゃの箱を目を輝かせて持ってきた。
聴診器らしきのものにはハートマークがかいてあり、注射器もなにやらラブリーだ。そんなもん買わんでも家にリットマンの本物(夫用)があるやないか。と突っ込みをいれたくなる。帰ったらお腹の音を聴かせて驚かせてやろうと思ったが大人用サイズなので怖がるかもしれないのでやめておいた。

そういえば妊娠中に妊娠高血圧症候群の疑いがかかった時、電子血圧計を買う前は、夫が聴診器を使って血圧を測ってくれていた。職場でやっているだろうと思っていたが、こそこそとYahoo!で手動の測り方を検索していてその背中が非常に小さく見えた。実習中の看護学生のように見えた。今は職場でも電子血圧計で測るのが主流なのだ。体温計だって今はおでこでピッ!だ。水銀計の時代から働いているベテランからすれば恐ろしい進歩だと思う。

時々教えてくれる新人時代の失敗に「体温計紛失事件」がある。検温係が何度確認しても体温計を管理している箱に2本足りなくて大騒ぎになったそうだ。もし、故意に割られでもしたらと思うと大変だ。その時出勤しているスタッフ総出で捜索したそうだ、結果、両脇に1本ずつ体温計が挟まれた寝たきりの患者様から発見された。見つけた時は思わず笑ってしまったそうだ。
ナースステーションで喫煙が出来る時代は終わり、敷地内ですら禁煙は禁止された。それくらい時代は変わっている。育児も令和という時代によってそれくらい進化している。

そんなわけで「なりきり!おいしゃさん」は却下された。息子はそうかぁとい素直に納得し「だめなぁ」と言ってそっと棚に戻した。おままごと系はすぐに飽きてしまうことと、相手をするのがそれはもう大変だから賢明な判断なのかもしれない。

あと前回「お洗濯セット」というピンクのドラム式洗濯機を買ってずっと回転させていた。中にアンパンマンの極小人形を詰め込んで回転させるシュールな光景がそこにはあった。我が家の洗濯機は古式ゆかしい縦型の外置きだ。乾燥機能なんて近代的なものはない。

もう一つ加えると数年前、姑家の二層式洗濯機が壊れた時、我が家に洗濯に来ていた。「タオルとか分けて脱水しないと糸くずつくんやけどねぇ」と言っていた。はぁん?文句があるならコインランドリーへ行ってくれ。それと糸くずが目立つ色の服は着ないでください。うちは分けて洗うとか経済的な余裕はありまへん。

昼間の洗濯中、姑の相手をしなければいけないのがそこそこしんどかった。我が家は夜の部屋干し派だ。全自動洗濯機がぐるぐると回っている間、姑から「夫がいつもシワのあるTシャツを着てるのが気になる、アイロンくらいかけれないの?」とか言われちゃう。

それに「着てれば体温で伸びるんで大丈夫でっす」「アイロンは幼児がいる間は無理ですね」と素直に返す。姑は舅のトランクスにまでアイロンをかける。しかも年に何度か火傷をしている。そして新しく買った洗濯機もやっぱり二層式だった。もう価値観の更新が出来ないのかもしれない。

私はサイズ的に無理だが、全自動の乾燥までやってくれるドラム式洗濯機が欲しい。いつか技術が発展して小型化することを目敏く待っている。今はYシャツだって形状記憶がある。アイロンがけなんてそこまでリスクを冒してまでしなきゃいけない家事でもない。息子中心の生活になってから知ったことだ。

息子の話に戻る色はピンクで女の子向けの遊びが大好きだ。紙飛行機の折り紙もピンク色だ。保育園でも女の子のお友達が多く、お迎えに言ったら「息子くん、ばいばーい!」とたくさんの女の子たちが「息子くんもまたねーーー!!」と見送ってくれる。そんな女の子たちの名前も覚えず「ばっばーい!」とまとめて返事する息子。ジャニーズのコール&レスポンスみたいだなと思う。

完全に自慢なるが、帰り支度を待っている間に「ねぇねぇ息子くんのママって可愛いよね~肌が白いよねぇ。いいなぁ。」と褒めてくれる子がいる。そんな褒め言葉どこで覚えるのだろう。家庭でパパがママに言っているなら微笑ましい限りだ。

なんというか「将を射んとする者はまず馬を射よ感」と感じた。担任の先生にも確認するとどうやらこの子は息子に好意を持ってくれているようだ。息子第一次モテ期到来の兆しにも本人が気づかないのか残念でならない。
その女の子は最近席替えをして息子のはす向かいの席になったようで「うぉ~!よっしゃぁ!!」と本気のガッツポーズを見せていたそうだ。

こと恋愛感情に関しては、年中さんなんて、男子はまだまだ赤ちゃんレベルなのだ、バブバブ言っている、対して女子は小さくても女だ。ちっちゃな洗面所の鏡でヘアピンを直す姿なんて駅のトイレでメイクを直すOLさんを想起させる。

男の子はいつになったら女子に興味を持つのだろう、中学生くらいかな?その時、親には話してはくれないだろう。甘酸っぱい思い出を作れたらいいね。

さて、西松屋に話は帰ってきた。
知育玩具も人形もたくさん迷って吟味して最終的に「こむぎこ粘土」になった。なんと12色もある。しかもなんだかいい匂いがする。
私たち夫婦が幼少期には無かった代物だ。これはいい、面白そうだ。
ローラーやヘラ、クッキーの型抜きのようなものも一緒についている。一番面白そうだと思ったのが、粘土を棒状に入れてところてん方式に押し出すと細長い粘土がパスタマシンのように、にゅるりにゅるりと出てくるのだ。ムーミンに出てくるアレにも見える。

これは大人も面白い。ついやってしまう。息子に至っては呼吸困難になるほどゲラゲラポー状態。買ってよかった。その日は色んな色が混ざりカオスな色の球体を握って眠っていた。

今までの油粘土を私は正直苦手に思っていた。
まずベトベトすることが苦手だった。遊んだあとの片づけを気まぐれでしない時には私が代わりに触ることになる。ぐにゃりべちょべちょ感が本当に気が滅入る、しかも粘土板からはみ出して食事も食べる机に飛び散っているのをアルコール入りのウェッティーで拭いても拭いても大変だ。
そこにきて、このこむぎこ粘土は革命だと思った。最高だ。
触ることに抵抗感がない。私は若干潔癖なので助かる。手を洗う時は肘まで洗うのが普通だと思ってた。

しゅんしゅんクリニックP先生のネタで「トイレで用を足したあと、手を洗う時肘まで洗っちゃう」に激しく動揺してしまった。「山Pみたいな医者いない」は超同意。私が担当させてもらったのは、おじいちゃん先生かおじさん先生ばかりだった。しかも一癖二癖もある。

さてまた話がそれてしまった、子育てにおいて親が楽しいと思えることは子どもにもツボる。今までの経験上そうなることが多い。初めて一緒に乗ったブランコとかもどんな反応するかワクワクする。親が笑顔だと子も笑う。息子はなにか特別なことをしなくてもお風呂場で顔を近づけるだけでニコーっとしてくれるのだ。

だが公園の砂場で大人が本気で遊べるだろうか。なかなか難しいものがある。仮にサラリーマンが昼休みに目を輝かせて型抜きをしていたらちょっと心配になる。どうしたって面白味を見つけていかないと私は間が持たなくなってしまう。モチベーション維持に一番大切に思えるのは「息子の反応」だ。もはや接待のレベルで楽しませようと思っている。それが幸せだ。

例えば少し前は珍しい木の実が落ちている時期だった。私はそれをいかにも珍しいものを拾ったぞという演技構成で「これは伝説の木の実だよ…しっかり握って持って帰ろう」と息子に渡すと目を輝かせて両手でギュッと握りしめてベランダに埋めていた。

息子が見てない時に掘り起こしてGoogleの画像検索で写真を調べると、その木の実の正体は、最終的には25mくらいの大きさになりコンクリートもぶち破るという「破壊の木の実」だった。息子を呼び空いている近所の薬局で買った植木鉢に土を入れ、芽が出たらいいねと言って植えた。育児は時に庭を危機に晒す。将来的にジャックと豆の木みたいに上の階までニョキニョキ生えたら大事だ。場合によっちゃ訴訟モンだ。

息子に教えられたことは本当にたくさんある。
段取りをよくすることで自分の時間を捻出することだ。
家事を後回しにしないようにすることで生まれる時間がある。

その時出来ることを全力でする。
洗濯物を畳む時に何セットか巾着に入れて保育園の準備時にさっと入れられるようにする。夏場は冬場の2倍着替えるのだ。

テレビを観ながらオムツに名前を書く。
1人の時間を充実させながら育児も進行する。

ただ一緒に遊んでいる時に見せてくれる笑顔の写真はきっと私の元から巣立った後で見ると切なくなるに違いない。忙しくて息つく暇もないけれど息子が喜びそうなことを今日も無意識に探している

#子どもに教えられたこと

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