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自閉症の子どもと新型コロナ感染について#3

webライター、はらのです。

新型コロナウイルスの家庭内感染について注意喚起もされていますが、自閉症や知的障がいのある子どもは、定型の子どもより出来ることがとても少ないです。

この記事では自閉症という特徴を持った小学生の甥を発端に、家庭内での感染が広まってしまった体験について素直な気持ちを書いています。
自閉症や障がいを持った子どものいる家庭の家族は、コロナ禍で一体どんなことを思うのか。
あるあるネタや、障がい者理解の参考になれば幸いです。

▼新型コロナ感染の経緯
両親、姉夫婦+甥、私、弟の7人家族。
そのうち父、義兄、姉、甥が感染しています。

▼参考リンク


甥のスペック

栃木県下の支援学校に通っている小学生です。

具体的に甥がどのような子か説明しますと、しゃべれない、トイレはおむつ、自傷他害持ち、睡眠障害持ちです。
とにかく人懐っこく元気な子なので、毎日家の中を走り回り、誰かに甘えに行きます。


ついに予想が現実に…

障がいのある子どもは感染予防がとても難しいです。
うちの甥はマスク、うがい、手洗い、手指消毒、全て出来ません。
練習はしているけれど、どうしても顔に違和感があるのがいや、手に何かつくのがいや、という自閉症の子は多いと思います。
うがいに関しては、口の中の水を吐き出さずに飲み込んでしまいます。

そのため「うちがコロナになるなら絶対に甥から」というのは家族間の共通意識でした。
周りの大人が感染予防をしていても本人がノーガード。
知的障がいもあり、小学生でも中身は1、2歳程度なので、悪夢の吹き出し攻撃もあります。

これで感染しないわけがない。
感染したら家庭内があっという間に撃沈する。
――それがついに現実として来ちゃった、という感じです。

今回私と母、弟が無事陰性でしたが、かなり奇跡的だと思います。
奇跡過ぎて保健所からの連絡に「えっ、本当に陰性なんですか?」と何度も聞き返してしまいました。


ワクチン予約が無理ゲー

これは前回の記事でも書いたのですが、とにかくワクチン予約が取れない。

「手ぇ洗った? うがいした? 消毒は?」
で、話が通じる相手ではないので、感染前提で家族がどうにかするしかありません。
とにかくワクチン打たせてくれよぉ! と思っているご家族も多いと思います。

うちの場合は子どもが甥だけなので、「大人がワクチン打つしかないよね~」で済みますが、兄弟のいるご家庭では更に大変だと思います。
小学生、まだワクチン接種出来ませんもんね。
副反応などもありますから、本当に難しい。


教育関係から食らったら撃沈するしかない

家庭内でならある程度子どもの管理が出来るし、密になる場所には行かないなど対策が立てられます。
しかし教育関連からコロナ貰っちゃったら、もう撃沈するしかないですよね。

特に障がいのある子は体調不良を訴えるのが苦手です。
そこにノーガードと、デルタ株の感染力の高さと、無症状のコンボ食らっちゃったら勝てないよ……。

結果、先生も子どもも家族も阿鼻叫喚ですよね。
いつもお世話になっている事業所は、先生方も感染されてしまっていて9月頭までお休みです。
先生方も、甥っ子のお友だちも、早く元気になりますように。


事業所は責められない

今回事業所のクラスターに巻き込まれた形ですが、うちの甥がクラスター源になっていた可能性も十分ある訳です。
マスク無し、手洗いうがい無し、更に吹き出し攻撃などを行う子供たちを預かってくれる事業所は、神様のような存在です。

うちの甥は自傷他害があります。
甥のお友だちにも、自傷他害のある子もいます。

そういった子どもたちをやさしくあたたかく見守ってくれるのが事業所です。
コロナ禍において、しっかり対策を行っていたことも知っています。
障がいのある子どもたちは、悪い言い方をしてしまえば接し方が難しいですから、「ここなら信頼出来る!」という所でないと預けられません。

その事業所がこうなってしまったのなら、もうしょうがない。
コロナ憎んで事業所憎まず、少なくともうちはそのように思っています。


不可抗力もある

新型コロナウイルスのクラスター発生のニュースを見るたび、慎重にならなきゃいけないな、と思っていました。
が、実際クラスターに巻き込まれてみると、不可抗力もあるのだと認識を改めざるを得ませんでした。

障がい児の家庭は、保護者の親との同居率が高いです。
つまり一家庭の人数が増えるわけで、人数が増えればその分感染率、感染者数も多くなります。
そして一つの部屋を複数人で共有する率も高いです。

何がいいたいかと言うと、家庭内での密が発生しまくるんですよ。
コミュニケーションが取りやすく、自立行動の取れる障がい児ならある程度誤魔化しは利きます。
が、コミュニケーションが取れない、介助が必要な子どもの場合、常に密です。

無理無理無理!
こんなん絶対感染するって!

むしろ感染拡大が家庭内で留まったのが本当に不幸中の幸いです。
マスク、手指消毒、人との距離を保つというのは、デルタ株においても一定の効果はあるようですね。
感染しないことも大切なんですが、障がい児のいる家庭では「感染させない」をより重視しなくてはいけないのだな、と強く思いました。


でも甥っ子はめちゃくちゃ可愛い!

ここまでの話を振り返ってみると、障がい児を抱える家庭は、定型の子の家庭と比べて感染リスクがとても高いと言えます。
障がい児って厄介だな、と思う人も多いかもしれません。
実際コロナ禍でなくても、何かと偏見を持たれてしまうものです。

でも甥っ子はめちゃくちゃ可愛い!

障がいについて良く知らないと、皆同じ様な感じでしょ? と思うかもしれません。
でも、定型の子どもと同じ様に一人一人性格があって、個性があります。
厄介には変わりありませんが、子どもが可愛い! と思う気持ちに障がいは関係ありません。

もし街中でマスクをしていない、ちょっと不思議なオーラの子どもを見かけたら、「いやだな~、親は何してるんだよ」と思うかもしれません。
しかし、その裏で親や家族、何より本人が努力していることを知っていただけたら、と思います。


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