見出し画像

ジョン・レノンのイマジンは「今、寺院!」


前回は般若心経のリード文について書きました。

如是我聞(にょぜがもん) 観自在菩薩(かんじざいぼさつ) 行深般若波羅蜜多時(ぎょうじんはんにゃはらみったじ) 照見五蘊皆空(しょうけんごうんかいくう)  度一切苦厄(どいっさいくやく)

訳:「私はこのように聞きました。観音菩薩は深い智慧の境地に入り、この世のすべてのものは実体がない、錯覚だと気づき、あらゆる苦しみから解放されました」

……でしたね。すべてのものには実体がない、現実は幻想だ…というわけです。なんて意味深なリードでしょうか。


■超有名ワード「色即是空」! 

では、本文に参りましょう。

舎利子(しゃりし) 色不異空(しきふいくう) 空不異色(くうふいしき) 色即是空(しきそくぜくう)  空即是色(くうそくぜしき) 受想行識 (じゅそうぎょうしき) 亦復如是(やくぶにょぜ)

訳:「舎利子よ、形あるものには実体がなく、空(くう)である。そして空は形あるものにほかならない。つまり、物質は空(くう)であり、空(くう)である存在は、見方を変えれば物質である。このように、感覚(受・想・行・識)という心の働きも、同じように実体がないのです」

 ここからは「舎利子よ!」という観音菩薩の呼びかけから始まります。舎利子というのは、お釈迦様の一番弟子のことです。観音菩薩が舎利子に諭しているというシーンです。

舎利子(しゃりし) 是諸法空相(ぜしょほうくうそう)  不生不滅(ふしょうふめつ) 不垢不浄(ふくふじょう) 不増不減(ふぞうふげん) 

訳:「舎利子よ、このようにこの世のすべてのものは実体がなく空である。よって、すべてのものは生じることも消滅することもなく、汚れることも清らかになることもなく、増えることも減ることもないのです」

 このように、観音菩薩がお釈迦さまの弟子に説明します。

■突然、観世音菩薩が説法をはじめる謎

ここで私はかなり悩みました。なぜ、お釈迦さまと弟子たちの修行の場に、突然、観世音菩薩が現れ、しかもお釈迦さまの弟子に、説法しているのかと……。釈迦と観音菩薩、どっちがエライの? パワーバランスはどうなっているのか。皆さんも不思議に感じませんでしたか? 

調べました。理由はこうです。お釈迦さまが亡くなってから約500年くらい経ったあと、新しい仏教の宗派である、大乗仏教(だいじょうぶっきょう)が起こりました。般若心経は、この大乗仏教の中で作られたお経で、観音菩薩という仏さまは、その時代に作られた概念なんですね。お釈迦さまがいた原始仏教には存在していなかったんです。

菩薩というのは、修行をしながら人々を助ける“救済者”の役割をする仏さまです。俗な私は、「お釈迦さまと菩薩さまはどっちがエライの?」とついパワーバランスを考えてしまうのですが、仏の姿をして人々を救済する役割をもつ側面が菩薩なので、どちらがエライとか、そういった考えはナンセンスなのです。


■Noがたくさん出てくる『イマジン』

さて、話を般若心経に戻します。般若心経の「空」の世界では、あると思ってたものは実は幻想だと説明します。実は、世界的に有名な彼らも般若心経の虜でした。

例えば、米アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズ。生前、精神的な師と仰いだのは日本人の禅僧であるという話は有名です。ジョン・レノンも禅宗の影響を受けており、ジョブズもレノンも般若心経を心の支えとしていたようです。



「no heaven」
「no hell」
「no countries」
「no religion」
「no possessions」
「no need」…とNo Noづくしであります。


これは以前、みうらじゅん氏が熱心に語ってた記憶がありまして、私も調べてみました。そしてじゅんは言います。「イマジンは今、寺院!」だと…。

イマジンはオノ・ヨーコさんとの共同制作だったようなので、きっと日本の禅寺で座禅を組みながらひらめいた歌詞なのかもしれません。(想像です)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?