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東京を歩く#3 中央通り・上野公園

中央通りは、銀座や日本橋といった都心の繁華街を通るその名に恥じない東京の中心的な道。ここを起点の新橋から北上して終点の上野公園まで歩いてみる。

2024年の梅雨入りは遅く、6月も半ばを過ぎたが東京はまだ梅雨入り前とのこと。晴れ間のある今のうちに歩いておきたい。外堀通りを歩いた前回と同じく、今回も新橋駅からスタートする。

前回の外堀通りはこちら↓

前回書いた通り、新橋駅は日本最初の鉄道における起点の駅だが、当時の新橋駅は今よりも汐留寄りに位置していた。
汐留シオサイトの一角、汐留シティセンターのそばにある旧新橋停車場と呼ばれているところがその場所。どこか明治の雰囲気のある2階建ての建物は当時の外観を復元したものなのだそうだ。
建物の中には鉄道歴史資料室やレストランなどがある。鉄道歴史資料室は入場無料で、コンパクトながら鉄道の歴史が紹介されているほか、旧新橋駅の遺構も見ることができる。

旧新橋停車場

建物の裏には当時の線路も一部再現されている。数字の「0」が施された石の標識は、鉄道の起点を表す0哩(ゼロマイル)標識。今でいうゼロキロポストにあたるが、当時の鉄道はイギリスから技術を学んでおりヤード・ポンド法を採用していた。

復元された0哩標識

中央通りの起点は旧新橋停車場のすぐそばにあり、今日はここから北上して終点まで歩き通す計画。
歩き出すとすぐに銀座エリアに入る。銀座は1丁目から8丁目まであるが、最も新橋寄りに位置するのが8丁目で、今回のルートでは8からカウントダウンをしていくことになる。

6丁目にはギンザシックス

銀座4丁目は日本で一番地価が高いエリアと言われている。交差点には銀座のランドマークであるセイコーハウス銀座がある。

セイコーハウス銀座

セイコーハウス銀座の1階から4階にある和光本店では時計や宝飾品を売っていて、ここで婚約指輪や結婚指輪を買えば、屋上の時計台の前で写真を撮ることができる。

3丁目には松屋銀座

銀座1丁目まで来ると、そこから先は京橋エリアで、さらに進むと日本橋が近づいてくる。ここにも老舗デパートである髙島屋日本橋店がある。本館の建物は、百貨店としては最初に重要文化財に指定された由緒あるもの。

髙島屋日本橋店

日本の道の起点となる日本橋に着く。橋の四隅には獅子像がいて、その下にある銘板の文字「日本橋」は徳川15代将軍の慶喜によるものと言われている。また、橋の上にかかる首都高速の側面にも「日本橋」とあるが、これは銘板の文字を写したものとのこと。

日本橋
東野圭吾の小説にも登場した麒麟の像

日本橋は日本の道の起点となる場所なので、ここには起点を表す印があり、それが日本国道路元標。日本橋の歩道の脇には、道路元標複製と書かれたモニュメントがある。オリジナルの元標は日本橋の中央、つまり車が行き交う道路の真ん中にあり、それを見学するのは危険であることから「複製」が設置されている。

日本国道路元標の「複製」

道路元標複製の両脇には、日本橋から全国の主要都市までの距離も記されている。

日本橋から札幌市までは1,156km
鹿児島市までだと1,469km!

今でも日本橋の元標は国道1号、4号、6号、14号、15号、17号、20号の起点となっている。

国道では、国道番号が書かれた三角形の道路標識を見かけることがあるが、これを模した国道ステッカーというものがある。ブイカントリーという会社が販売するもので、それぞれの国道番号が印刷されたステッカーは、対応する国道の所在地にある店舗で販売しており現地に行かなければ手に入れることができない(一部の例外を除く)。さらに、販売店舗の数も、国道1号から58号は1つの都道府県で最大1店舗、国道101号からは全国で1店舗のみという徹底ぶりで(59号から100号はもともと国道として欠番)、収集難易度はかなり高い。
国道1号の国道ステッカーは、日本橋の近くにある日本橋観光案内所で販売されているので、今日はそれを購入することにした。

日本橋観光案内所
国道ステッカー(国道1号)

日本橋を渡れば、再び商業施設が並ぶエリアとなり、日本初の百貨店と言われる三越日本橋本店がある。

三越日本橋本店

その隣には三井本館。三井住友銀行や三井住友信託銀行が営業をしている建物だが、ドラマ「半沢直樹」では主人公の所属する東京中央銀行の本店ビルとして利用されてもいる(外観のみ)。

東京中央銀行本店こと三井本館

しばらくまっすぐ進んでいくと、中央通りはJRの山手線、京浜東北線、中央線が停車する神田駅と交差し、高架をくぐる。

JR神田駅

さらに進むと、秋葉原の手前あたりで再びJR中央線と、先ほどとは逆方向に交差する。
中央線は、かつてこの場所に万世橋駅という駅を持っていた。1943年に廃止された駅だが、それ以前には御茶ノ水駅と神田駅の間にもう一駅あったことになる。
今、この場所は旧万世橋駅の跡地を利用したmAAchエキュート神田万世橋という施設になっている。

旧万世橋駅跡

ガード下にあたる1階部分にレストランやアートギャラリーがあるほか、かつてホームがあった2階部分にもカフェがあり、デッキ部分は側面がぐるりとガラス張りとなっている。もともと駅のホームだったところなので、すぐ間近を中央線が通り、ガラス越しにこれを眺めながら飲食を楽しむことができる。しかも万世橋駅は島式のホームだったので、上り電車と下り電車に挟まれるエキサイティングな配置となっている。写真撮影はOKだが、電車の運転に悪影響となるのでフラッシュはNG。

上り電車はこちら側
下り電車は反対側

旧万世橋駅跡をあとにして、外国人観光客であふれる秋葉原電気街を通り過ぎさらに北上していくと、中央通りの終点である上野公園に到着する。

上野公園の入口

広大な敷地の中に数多くの建物やモニュメントが存在する上野公園なので、短時間ですべてを見るのは不可能。今日は、比較的入口に近い位置にある神社仏閣関連の建物をいくつか見て回ることにする。

大仏と言えば奈良公園の大仏が有名だが、実は上野公園にも大仏はあり、その名もずばり上野大仏という。ただし、上野の大仏は全身の姿ではなく、顔面部分のみが飾られている。

上野大仏

上野大仏も、もともとの姿は6メートルほどある坐像であったが、1923年の関東大震災によって頭部が落下したほか、太平洋戦争時の金属供出で顔面部以外は回収されてしまったという経緯で、今の状態になっているとのこと。
しかしながら、胴体がなく顔面部はもう落ちることはない、ということで、合格祈願の大仏として知られており、周りには合格の祈願や報告を行う絵馬が数多く飾られている。

最後に上野東照宮を見学する。
東照宮とは徳川家康を東照大権現として祀る神社のことであり、日光東照宮が最も有名。日光のほか全国各地に東照宮は存在するが、この上野公園にも存在している。現在の社殿は徳川3代将軍の家光が建てたもので、江戸時代末期の上野戦争、大正の関東大震災、昭和の太平洋戦争のいずれにおいても消失を免れているとても貴重なもの。社殿は金箔で飾られておりまばゆく輝いている。

上野東照宮の社殿

今日歩き通した中央通りの長さは5km程度ながら、銀座や日本橋といった東京でも有数の繁華街を通ることから、商業施設として代表的な建築物が数多く並んでおり、長さのわりに見所がつまった道と言える。
終点の上野公園にも、博物館や美術館としてデザイン性の高い建築物がたくさんある。今回見学できなかったこれらについてはまたいつか巡りたい。

西郷どんと犬ももちろんいたよ

旅のスタンプ
[訪問:自治体]東京都中央区、東京都台東区
[入手:国道ステッカー]国道1号


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