東京を歩く#2 外堀通り
前回はこちら↓
2024年のゴールデンウィーク。天気は快晴で歩くのにはもってこい。
今日のスタート地点は新橋駅。新橋駅といえば日本における鉄道の始まりの地として知られており、新橋駅から横浜駅までの路線が1872年に日本で最初の鉄道として開通している。
そのため、新橋駅西口にはシンボルとしてSLが置かれており、SL広場と呼ばれている。
しかし、鉄道開通当初の新橋駅の場所はここではなく、今の汐留駅があるエリアにあったようだ。終着駅である横浜駅も現在の桜木町駅の場所にあったと言われている。
では、ここにある新橋駅はいつできたものなのかというと、1909年に烏森(からすもり)駅という名前で作られた駅であり、鉄道開通以降に今の山手線沿いにできていった駅のうちの一つであった。それが、東京駅が東海道線の起点となった1914年に名前を新橋駅に改められ、今に至っている。
新橋駅から外堀通りを時計回りに歩く場合、虎ノ門の方に向かって歩くことになる。片側3車線であり、なかなかの大通りになっている。
虎ノ門駅の付近までくると道を塞ぐように霞が関ビルが迫ってくる。半世紀以上も前の1968年に完成したビルながら、地上36階、高さ147mもある。日本で最初の超高層ビルがこの霞が関ビルなのだそうだ。
霞が関ビルを右手に見てさらに進むと、溜池山王駅を超えたあたりで大きな白い鳥居が現れる。東京十社のひとつ、日枝神社だ。
日枝神社の本殿は、鳥居の後ろにある大きく長い階段の先にある。この階段を上るのはなかなかしんどいが、そばにはエスカレーターも設置されているので、足腰に自信がなくてもこれを使えばスイスイ上っていくことができる。
本殿は緑青(ろくしょう)の屋根に朱色が映えていてとてもオシャレ。高層ビルの中に堂々と構えているところもカッコいい。本殿近くには神の使いとしてサルの像も置かれているが、それもまた愛らしい顔をしていて写真映えする。
お参りをすませて、外堀通りの続きを進む。
少し歩くと赤坂見附の交差点があり、これを渡ると江戸城の外堀だった部分が見えてくる。交差点そばの弁慶橋の近くには、お堀を利用した釣り堀があり、ゴールデンウィークの今日はなかなかの賑わい。弁慶フィッシングセンターという場所のようで、釣り堀だけでなくボートに乗って釣りをしている姿もある。
外堀沿いにどんどん進んでいくとしばらくしてお堀は見えなくなり、今度は巨大な敷地を囲んだ柵と豪華な門が登場する。迎賓館 赤坂離宮だ。
迎賓館は有料ながら一般開放されていて中に入ることができる。庭に入るだけなら300円、庭のほかに本館へ入る場合は1500円というお値段(いずれも大人ひとりの料金)。入園時にはしっかりとした手荷物チェックがある。
入園して近くで見る本館はものすごく大きくて豪華絢爛。見ていると日本でいちばん贅沢な西洋建築なんじゃないかと思えてくる。ネオ・バロック様式という建築様式らしく、まさに豪華であり芸術的であることがこのスタイルの特徴の一つとなっているようだ。
迎賓館は、もともと明治時代に皇太子のお住まいとして作られた建物だったが、一説によれば、あまりに豪華すぎるという理由でそれほど天皇家に利用されることはなかったとのこと。
正面玄関前に回ると、意外なことに、広場にキッチンカーがいくつも停まっていて軽食や飲み物を売っている。そばにはテーブル席もあるので、そこで一息つくこともできる。豪華絢爛なネオ・バロック建築とキッチンカーの対比にはギャップを感じなくもないが、これはこれでイマドキのオシャレさが演出されているのかもしれない。
迎賓館の見学を終え、四谷方面に向かい再び歩いて行く。
四ツ谷駅を過ぎ(地名は四谷だが駅名になると「ツ」が入る)、市ヶ谷駅の辺りまで来ると再び外堀が見えてくる。市ヶ谷にもお堀を利用した市ヶ谷フィッシュセンターという釣り堀がある。JR総武線に乗っているとよく見えるので知っている人も多いだろう。
さらに歩くと飯田橋交差点に着く。大通りがいくつも交差する巨大交差点で、その上にかかっている歩道橋もかなりの大きさがある。ちなみに、この辺りでお堀の部分は神田川と合流し、それからは神田川として流れていく。
飯田橋交差点は、車を運転する人が難易度の高い交差点として挙げる場所のひとつになっている。特に、目白通り側道からこの交差点を右折しようとする場合、右折後に即、車線変更禁止となることから、希望のレーンに一発で入ることが要求されることになり、初見の人には正直言って厳しい作りをしている。
飯田橋の先には小石川後楽園があるので寄っていくことにする。この日はたまたま入園料が無料の日になっていた。みどりの日のほか、都民の日(10月1日)にも入園料が無料となるようだ。
小石川後楽園は、江戸時代に水戸徳川家の屋敷の土地に作られた庭園で、大きな池を中心に構成されている。国の特別名勝と特別史跡に二重指定されている数少ない場所でもある。
小石川後楽園からは東京ドームのモコモコ屋根が見える。東京ドームまではこのまま外堀通りを歩いて数分。
東京ドームの辺りが外堀通りの一番北側の部分になる。スタート地点の新橋駅は一番南側のあたりなので、これで大体半周したことになる。さらに御茶ノ水駅あたりまで進むと、湯島聖堂がある。
湯島聖堂は徳川五代将軍の綱吉が儒学を広めるために建てたもの。後に、この近くに江戸幕府が学校を作ったり明治政府が文部省の施設をつくったりしており、学問の地として知られている。似た名前として湯島天神が知られているが、こことは別。
外堀通りの北側の部分を東に進んできたが、昌平橋の交差点で右折して南下し、神田川をまたぐ。
次は鎌倉橋の交差点を左折。外堀通りに沿って歩く場合、この辺りがちょっとわかりにくい。ちなみに、車だと一方通行になっていて、今回の道順では通ることができない。
三越前駅あたりまでくると、日本銀行本店がある。本館は東京駅と同じ辰野金吾によって設計されたもので、1896年に建てられたようだ。
ここまでくると東京駅はもうすぐそばで、さらにJR山手線に沿って有楽町駅、新橋駅と2駅歩けば外堀通りを一周できるところだったが、あいにくこの日は工事をしており、車の場合は車線数を減らして通行、歩行者については迂回するしかない状態だった。
迂回してまで新橋駅を目指すほどでもないし、東京駅から新橋駅はいつでも歩けるので何かのついでに来ればいいか、ということで今日の歩きはことで終了することにした。それでも前回より長く10kmくらい歩いている(ただし、これは外堀通りを歩いた距離だけを書いており、いろいろと立ち寄った際の距離は含めていない)。
2回目の東京歩きが終わったが、まだ都心を2周弱しただけ。これからもっともっと活動範囲を広げていきたい。
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