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6)パチンコと就活(22歳)

男性厳禁(だったはず)の家には結局4年近く住んだ。
今振り返っても実家を出てから最も長く住んだ物件となった。

田舎から出てきて5年(編入浪人したため)、私はどう間違えたのかとてもマイルドなヤンキーになりさがっていた。
私にとって見るもの触れるもの全てが新鮮だった大学生活。

しかしここは都会ではなく、大阪の片田舎だったのだ…。

卒業できる程度に授業には出たが、編入してからはほとんどの時間をバイト先のパチンコ屋で費やした。(時給が高いから)
本当にロクでもない。

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何か目標を持ちたかった。たぶん持たなければならないんだろう。

これまで宿題やテストに受験勉強など、与えられた直近の課題を適当にこなすことしかやってこなかったし、それが私の人生のスタンダードだった。
いきなり「じゃあもう好きにしていいよ」なんて言われてもどうしていいか全然わからない。

大学を卒業したらとにかく就職するのだ…そうすれば何とかなると思った。

そんなわけで当時の私は「就職=ゴール」だったので、当然ながら就職活動は難航した。

就職活動は奇妙な体験だったように思う。決して楽しいものではなかった。
遊んでいた学生達が(遊んでない学生もいるが)突然全員同じ黒一色のスーツに身を包み、「御社の理念に共感し…」と前のめりに話し始める。

とにかく居心地が悪くて仕方がない。

私も「御社の理念に共感」とかしないと内定はもらえないんだろうか。
どんなことにも「諦めない信念」や「根性」をアピールしないとダメな感じもする...。

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自分なりに自己分析に時間をかけて、無い知恵を一生懸命振り絞った。

しかし印象良く見せようと言葉を選べば選ぶほど自分の言葉ではなくなっていく。
嘘くさくて薄っぺらい。自分の作り笑顔が気持ち悪い…。

今振り返っても新卒の就職活動は苦痛でしかなかったが、それでも自分を見つめ、言葉でどう表現するのかという面では良い訓練にはなったかと思う。でももう二度とやりたくない。


就活に投げやりになりかけた4回生の5月、ようやく1社内定をもらえた。

関西勤務で希望を出し8割がた通ると聞いていたが、卒業の2週間前に東京勤務を言い渡された。
たぶん「一人暮らし慣れてます」と面接でドヤッたせいだろう。

そういうわけで片田舎のマイルドヤンキーは東京に行くことになった。

続き


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