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パートナー工場を探そう【D2C事業立ち上げのほぼ全部】

こんにちは、がぱけん(@gapaken335)です。
家電メーカーでマーケティングとして働く傍らD2C企業の代表を務めています。
このnoteは、シリーズ「D2C事業立ち上げのほぼ全部」のひとつ。

会社員が会社に勤めながらD2C事業を起こすプロセスを、気持ちや戦略策定、事務処理まで細かくまとめて行こうという企画です。

各記事へのリンクを整理したまとめ記事はこちらなのでよかったらみていってください。


今回のテーマは、パートナー工場を探そう!です。

個人やひとり法人をはじめとした小規模事業者が、オリジナルで商品を企画・販売する。これをやってのけるには当然ながら製造委託先が必要です。

ある意味最もディープにかかわることとなるパートナー企業をどうやって見つけるのか?どうやって選ぶのか?という観点で弊社の実体験をまとめます。

小規模D2C事業者にとって製造委託先は文字通り生命線です。
良いパートナーを見つけて、良い事業を育てましょう。

それでは本題に入りましょう。


製造委託候補を探そう


〇とにかく電話をかけまくれ

とにもかくにも、まずは工場探しから。
自社にコネクションがあるような場合は簡単な工程ですが、多くのD2Cスタートアップはそうでないことの方が多いのではないでしょうか?

このフェイズの第一ステップいたってシンプル。
「ひたすらググって電話をかける」これにつきます。

令和3年の現在、たいていの企業は自社のホームページを持っています。

まずは「商材カテゴリ OEM」で検索してパートナー候補のリストを作り、コンタクトを取りましょう。

ここでのポイントは「メールではなく電話で」という事です。

基本的にOEMを委託しようとしている事業者はお客様候補。
工場側からもウェルカムな存在です。

しかしながら、その事業者が「これまで経験がない分野に挑戦しようとしている新興小規模事業者」となるとお話は別です。
工場の稼働時間も、商談に費やす時間も企業の資源。
実現の可能性も、成長の可能性も不透明な企業に積極的に投資をしたいと思うでしょうか?

答えはNoでしょう。

我々はお客様として扱われる立場では決してなく、こちらから売り込みに行く立場です。

悠長に問い合わせからメールをするのではなく、最短距離でまずは話を取り付けるため、電話でコンタクトを取りましょう。

面倒な売り込みテレアポとは違って、まずキーマンと話すことはそこまで難しくないはずです。とにかく行動です。


〇必要な工程を把握しよう

工場との会話で必要となるのが、「製造工程の把握」です。

ものづくりは、当然ながら1つの工程でできるわけではありません。
Nagaraハンディスープを例にとると、

素材・原材料の保管

原材料の投入・攪拌・加熱

ミキサー

充填・計量

蓋閉め

加熱殺菌

ラベル張り

出荷

といった流れを経て製品となっていきます。

製品を作るには、当然すべての機能が必要です。
つまり、適切な工場を探すためには「製品を作るためにはどんな工程が必要か?」を理解しなければいけないのです。

ではそのために何が必要か?

もしチームに専門家が居れば話は早いですが、そうでない場合は工場に相談するのが一番早いでしょう。そのためにも、最速で一つ工場とコンタクトを取るのです。

工場との最初のコンタクトで目指すゴールは最適な工場と契約することではありません。製品を量産するために必要な条件を理解することです。
遠慮せずにざっくばらんに自分の製品を作りたいと相談してみましょう。

おそらくパッケージ等も含めて想定してる仕様を変更する可能性も出てくると思います。早めに動きましょう。

必要な工程 ≒ 工場に必要な設備 がわかると、今後の工場探しもスムーズに回ることでしょう。

 

〇足りない部分は自分で補うくらいの気持ちで

工場の担える工程は、想像以上に狭いことが多いです。

パウチヘの充填自体はできるけれども、口径はxxmm以上でないと対応していない。キャップを締めるための設備がない。
などなど、人間の手で工程を進める上ではとても簡単に思える事も、設備での量産工程に変わるとハードルが高くなってしまうこともしばしばあります。

そして、そこを理由に断られることもザラにあります。

「うちはxxできないからちょっと難しいかもしれませんね~」
という話を僕は何度も聞きました。

思い出してください。小規模事業者は上客ではないのです。
工場はそんな顧客のために少しでも設備投資なんてしたくありません。

でも、もしその工場が、他の条件として有望で、ボトルネックがそこだけという条件なのであるならば、費用次第ではありますが、こちらで設備を購入するという事も選択肢に入れるべきでしょう。

工場の設備というとなかなか大げさな話に聞こえますが、小規模多品種の工場における多少の設備であれば、数万円から数十万円で購入できる場合も少なくありません。

全ての条件がピタリと合う工場があるとは限りません。「xxができない」という主張に対しては「xxさえできれば問題ないのでしょうか?うちで用意するとしたらどうですか?」という交渉をしてみましょう。


パートナーを決めよう

前項は「作ることができる工場をスクリーニングする」話でした、今後は「委託すべき工場を決める」がトピックです。

〇まず第一条件は小ロット 

小規模D2C事業者が製造パートナーを決めるにあたって一番重要なものはなんでしょう?
コスト?品質?
それらももちろん重要ですが、僕は第一条件はロットだと考えます。

新規事業として製品を作って販売する場合の一番のビジネスリスクは在庫です。特に固定費があまりないD2C事業における一番のリスクもここにあると言えます。

「これから作る商品がどれだけ売れるのか?」というのは新規事業を立ち上げるにあたって最も答えるのが難しい問いの一つです。

当たるも八卦、当たらぬも八卦なこの問題に対してのベターな回答は「当たらなかった時に死なない環境を構築しておく」ことだと考えます。

倒産する企業の46%は黒字倒産というデータもあるくらいです。
ここはしっかりと押さえておくべきでしょう。


〇このコストは妥当なのか?

コストも当然ながら重要です。
工場との会話の際にも、そこを一切考えずに行くのは無鉄砲というもの。
工場に見積を依頼するのはもちろんですが、こちらとしても理想のコストを携えてお話に臨みましょう。
そのためには売価設定と原価率設定が必要ですが、その話はまた別の機会に譲るとします。

[D2C事業立ち上げのほぼ全部 価格設定について を今後執筆予定です]

そして、大体の場合、想定したコストよりも高いコストが見積で返ってくることでしょう
想定より高い見積が返ってきた場合、それが妥当なのか?
という論点が生まれます。

そんな時のためにも必ず複数の工場で見積をいただきましょう。
そんな訳でもアプローチをする数も非常に重要なのです。

自分のビジネス条件に合いそうか?

見積金額が妥当か?

の両面から検証していきましょう。


〇柔軟に対応してくれそうか?

あと押さえておくべきは「対応力」ではないでしょうか?
D2Cビジネスの最も大きな強みのひとつは「顧客接点」だと考えます。

顧客に直接販売するからこそ、商品に対してのフィードバックを顧客から直接得て、それを短サイクルで商品に反映させることができる。

この強みを活かすためには、工場側の柔軟な対応が不可欠です。

ゼロからの立ち上げのリードタイムはもちろんですが、仕様を変更するときのプロセスとコストも先んじて抑えておくとよいでしょう。

後は基本的には工場にとって細かい仕様変更はあまりしたくないものです。
なので工場側に「どんどん製品を良くしていく」という姿勢に肯定的かどうか?というスタンスの要素も重要になってきます。

このあたりは特に工場長の反応に依存すると感じています。
打ち合わせを通して見極めましょう。


真摯に向き合い良好な関係を築きましょう

冒頭にも書きましたが、ファブレスのD2C事業にとって工場はもっとも深くかかわるパートナーです。

見極めも重要ではありますが、一番大事なのはパートナーシップです。OEMをベースとするD2C事業は他社の力を借りなければ商品開発を進めることはできません。

事業を育てるためにも良好な関係を築きましょう。

ベタな話ではございますが、振り返ってみると直接会いに行くのも良いきっかけだったなと思います。リモートで打ち合わせを進めることはできます。でも,、だからこそオフラインの価値が上がっているのではないでしょうか?

利益の最大化がビジネスの原則。とはいえ、動かしているのは人間です。
ベタだろうが寝技だろうが、自分の事業を実現させるために、使えるものは何でも使いましょう。

結局のところ最後にモノを言うのは熱意です
どれだけ売れるかもわからない、吹けば飛ぶような新規参入の小規模事業者にとっての武器なんて、熱意以外ないのです。

皆様が良きパートナーに巡り合えることを願っています。



さて、ここで宣伝です。

そんなこんなで出来上がったのがこのNagaraハンディスープです。

「忙しくても、美味しさをあきらめない」をスローガンとして、ウィダーインゼリー的に飲める容器に、有名ホテル出身のシェフ岡嶋伸忠さんと作ったとろみの強い本格冷製スープを詰めました。

発売して1週間と少しですが、ありがたいことにお客様からの評価は上々です。


50%オフで買える初回限定お試しセットもございますので、是非覗いてみてください!


ではまた!

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