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「今すぐ」「熱意」「量」は武器になる

デザインスタジオ・エル代表のハラヒロシです。今回は自分の就職活動にまつわるエピソードです。

デザイン系学校行ってないぼくの、デザイン会社就職活動作戦

ぼくがデザイナーを志すようになったのは大学3年のときでした。デザインの勉強をしたこともなく、業界のこともほとんど無知で、そんな世界に挑むなんて無謀では…?と思いながら、それでも潜り込まなければ始まらないと、どんな形でもまずは身を置くことを第一目標に、行動を開始しました。

コンプレックスを抱えつつも、当時のぼくはやる気には満ちていて、どうやったら潜り込めるのだろうか、ということを前向きに考えていました。そのときのぼくの行動は(当時は)特殊で再現性はないかもしれませんが、心持ちとしては20年以上たっても不変だし、今後も変わりたくないと思ったので、noteに記録してみようと思いました。

作戦は「今すぐ」「熱意」「量」

デザイナーを目指そうと動き出した大学3年のぼくは(当時神奈川県民)、すぐにMacを買い、翌日から夜間のダブルスクールに通いました。縁あって近所のDTP会社でバイトさせてもらうこともできて、いくらかの経験を積みました。

大学3年の冬に都内に引っ越し。東京のデザイン会社に就職するために考えたいくつかの選択肢のなかから、普通の就職活動はしない道を選びました。注目したのは中途採用誌。理由はいくつかありますが、卒論といくつかの授業を除いてほぼ単位を取れていて時間が確保できていること、バイト経験を「実務経験あり」と解釈すれば、中途枠でも話ぐらいは聞いてくれるのでは…と思ったのです。それと、とにかく一日も早く潜り込んで、現場で学びたい気持ちが強かったのだと思います(ちなみに超せっかちなのと、それゆえの「できそうなことを、すぐやる」な行動原則が作用してます)。

書類送付時に「今すぐ働けます」をアピール。中途採用なので当たり前ではあるのですが、それが大学生であることは希少性としてフックになります。応募した全社で面接してもらうことができ、「大学4年の春から(ほぼ)フルタイムで働く」という心意気を、どの会社も買ってくれました。

※なお、この方法をオススメするわけではないです。たまたま自分の状況がその選択を選べただけなので、学生さんは学業ちゃんとやりましょう。言いたいのは、「今すぐ」できる行動はないか考えること、「今すぐ」は相手の心を動かす一つの要因になる、ということでしょうか。

ただ、いくらそのやる気を見せたところで、何もできない人間を採用するわけがありません。そんなことは当たり前だと思ったので、技術と知識のない僕ができることはただ一つ。たとえ下手でもポートフォリオをめちゃくちゃたくさん作って、その量と熱意を見てもらうこと、です。

当時はCDジャケットのデザインカッコいいなぁという憧れがあったので、完成度の低いものばかりですが200枚以上作って面接に臨みました。そんな姿勢も評価され、ありがたいことに数社から内定をもらうことができました。学生社員として、デザイナーの第一歩を踏み出すことになったのです。特殊な方法ではありましたが、潜り込む目的を達成した点においては成功だったと言えます。

どこが評価されたのか

入社した会社であとで聞いた話ですが、ぼくに対する評価は

・作ることを止められない人
・頼まれもしないのに作る人

だったそうです。そんなふうに映っていただなんてすごく嬉しかったです。

たしかに、子どものころから自主的に学級新聞発行したり、マンガ描いて新人賞に投稿したりと「作ること」を止めることはなかったです。そしてそれらはすべて主体的な行動で、誰かに言われてやったことはありません。これは、自分にとって武器なんだなと思いました。200枚作ったことも、作戦と書いたものの、作るのが楽しいという衝動だったのでしょう。

「今すぐ」「熱意」「量」は、経験や実力と関係なく発揮できるもの。誰だって最初は経験が浅いのですから、未熟さを補うものとして、これらを掛け合わせで行動することは、けっこう大事なんじゃないかなと思います。行動が見えず「御社の理念に共感して…」は、誰だって言えるから、響かないのです。

制作者であり続けるために

その後、いまの会社を受けるとき、きっと課題出されるのはわかっていたので「自分から課題つくって面接のときに出す」という行動に出ました。自分がこの会社でどう貢献できるかを新聞広告風に(ベタですが「モノだけじゃなくてコトもデザインします的な…苦笑)。デザイナーなんだから、自分で課題見つけて解決する案を持っていったっていいと思ったのです。

今後も、自分自身が制作者でありつづける基準はそのスタンスがあるかどうかだなぁと思っています。うちの会社の行動指針は「超えるをつくる。」ですが、それは単にアウトプットだけに目を向けるということではなく、まさに姿勢の話し。この姿勢をなくしたら、きっと自分は自分でなくなると思っています。

「今すぐ」「熱意」「量」がある人は、すでに滲み出ている

経営者となり、採用する立場になりました。そんな今でも、これらのことは重視しているポイントです。作ることが好きで止められない人からはそういうの滲み出るものです。うちのデザイナーはみんな作るのが好きだなと改めて思うのです。

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さて、先のツイートに対して稲田さんが共感してくれたようでして、ツイートやnoteでもいろいろ書いてくださいました。ありがとうございます!

すごくいいですよね。
「作ることを止められない人」と一緒に仕事したいなぁ、と思います。次、求人募集するときのヒントにもなりました。


そういった人と出会うためにも、自分自身、これからも「今すぐ」「熱意」「量」(質もですが)にはこだわりたいなと思っています。


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ふだん、仕事を通じて心がけていることや気づいたデザインに関する思考とTipsをTwitterで発信しています。よろしければフォローいただけると嬉しいです。

ハラヒロシ @harahiroshi

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