空と地上の色
散歩中、ふと空を見上げると、真上は青かった。
時刻は夜の7時頃。とうに陽が沈んでいるのに空は鮮明に青かった。
感心しながら見渡すと、遠くの方は真っ赤だった。
青と赤。波長が対極に位置する2色が、線形グラデーションとなって空に広がっている。
境界「線」は無いものの、その付近は確かに感じられる。
境界付近をじっと眺めていると、だんだん緑が浮かび上がってくる。
この緑は最初、存在していなかったはずだ。
スマホのカメラで撮影。
画面を見ると、そこに緑はない。しかし、空に緑はある。
これは何かとても可笑しなことなのではないかと思いながら、コンビニに入る。
コンビニから出ると、空に色はもう無かった。
街頭や車のライトが地上に溢れていた。
陽の光に照らされた花は、それぞれの色で咲く。
街灯の光に照らされた花は、街灯の色になる。
そんなことを考えながら歩いていると、坂道に差し掛かった。
坂の上の街灯にもやが掛かっていて、ぼやっとした光が柔らかく広がっていた。
なんだろう、と思いながら坂道を上り終えると、道端で子どもが花火をしていた。
花火のバチバチとした光はまるでストロボのように、瞬間をくっきりと映す。
空の色の移ろい、地上の刹那の光。
地球にとって夕暮れは花火よりも一瞬の出来事なのだろうなと思いながら家路に着く。
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