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新作。


80号の新作を制作しました。このスケールで作品を作るのはほんと久しぶり。

前にも同じようなことを書いたと思うが、本当にたまたま6月下旬にこのシリーズの作品を再制作しようと思って描き始めた。


何名かの友人に「昔のシリーズはもう描かへんの?」と言われたのがきっかけでした。


10年ちょっと前、このシリーズを描くきっかけになったのはアメリカ抽象表現主義の巨匠、バーネットニューマンの作品を友人に勧められて見に行ったのがきっかけだったと思う。


当時展示されていた"アンネの光"という巨大な大作を見たとき、僕が初めて具体美術を見た時と同じような衝撃を受けました。


もう10年以上前だったかな。それからニューマンのことを徹底的に勉強し、特に崇高・sublimeという概念について色々と勉強したんだけどほとんど忘れてしまった。


この作品にはルールがあり、ひたすら平筆で十字に絵の具を塗り重ねていくということだけ。なぜ十字かと最初は特に理由もなくほぼ手癖のようなことです。


一年に一度くらい、たまに思い出したように描くことがありました。


そんなこんなをしている最中、父親が亡くなった。


特にこの作品に対して「死」などのイメージは全くないのだけど、ルールが決まっている分、色彩構成なども考えず、喪に服するように空いている時間を見つけてただただ作業を続けました。


いつも思い出すのは、父親が亡くなっていた部屋に差し込んでいた光、と強烈な死臭。


腐敗した遺体を見たときに最初に感じた「ごめんな」という気持ちと「親父らしい死に方だな」という思い。そして何より遺体を美しいと感じたこと。


美しいものと、生々しく人間臭いことは表裏一体でした。


父が亡くなってすぐに今までのシリーズを今まで通り描くことができず、たまたまこの昔のシリーズを描くことができて本当によかったと思う。



自分でこの作品を描きながら「天国ってこんな感じなのかな?」などアホっぽいことを考えながら、10年前にちゃんとしたコンセプトやテーマが作品にないとダメなのかなと思いつつ、ちょうどそれらのことも全部忘れてしまったので小難しい説明はせず、漠然と、見たまんま、こんな感じの作品だということにします。



大阪で絵画制作や美術活動をしつつ、ARTspace&BARアトリエ三月を運営しています。サポート頂いた分は活動費やスペース運営費として使用させて頂きます。全ての人がより良く生きていける為に 美術や表現活動を発信し続けます。