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結婚指輪をなくした話。

結婚指輪をなくした。

大好きなデザインで、いつもみるたびにわくわくするような指輪だ。

プロポーズの時の婚約指輪は、正直憧れのものではなかった。
彼がパカッとしてくれた時、目を見開いたり細めたりして、密かにブランドを確認した私のことを、どうか許してほしい。

プロポーズされたあと家に帰って、理想ではない指輪をもらった人の話をひたすら布団の中で検索しながら、少し泣いた。最初は、買い替えてと言いそうになってたけど、彼の気持ちが大切ですよ、好きなブランドの指輪は結婚指輪で買ったらいいですよ、と優しく諭す掲示板に救われた。

数ヶ月後、結婚式に間に合わせるために結婚指輪を買いに行くことになった。
おしゃれな人や有名人の結婚指輪のブランドを調べた。今まで自分が知らなかったような素敵なブランドがあることを知って、自分はダイヤのついたプラチナのものでなく、素材のカッティングの輝きが美しいものを買おうと思うようになった。

いくつかのブランドの、特定の指輪に候補を絞った。名古屋の百貨店に二人で行って、第一候補の指輪をはめてみた。

「これな気がする」

彼が言った。「これから色々みると思うけど、なんかこれな気がする。」

その後いろんな店を見に行ったけど、見ていてドキッとするのは最初につけた一つだけだった。

身の丈に合わない、高価な指輪だった。少しでも気を休めるために、地元の百貨店が友の会優待割引をいつ実施するかを執拗に調べて、なんとか結婚式に間に合う時に購入することができた。

結婚指輪は自分で買った。
高かったけど、仕事も頑張ってるし良いだろう。
指を見た時に、ウキウキできるものが良いな。

そんな指輪を、先日無くした。
夫婦の絆とかではなく、ただただ、大好きなお気に入りの指輪を無くしたのが悲しいのだ。


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