デザインの輪郭も人の輪郭も同じです。
物体には力がある。それは人間の関係性とも同じなのではないか。人間のように分からない、わかったような気になるのだけど、結局よくわからない
高校の入学試験の問題で、『見えない枠』という題で論文を書けという小論文の問題がありました。私は当時「見えない枠とは、人間関係の総称である」と記述したのを覚えています。
先日、デザインの輪郭(TOTO出版)深澤直人氏 の本を最近読んだ。『見えない枠』とはまさにコレであって、それは人間だけではなくて、物体にも結び付くものであると感じた。
人引き付ける商品というのは、人を引き付ける人と似ていて、あたかも物体は生きているのではないかと感じられる本でもあったのでシェアしたいと思う。
① 見えていないものこそいい、溶け込んでいるものはもっとすごい
私は建築関連の仕事をしていて、人々の生活に深く関わりのある仕事を日々しています。それはまさに見えているようで見えていない仕事で、そんなことに私は喜びを感じるものです。
分かりやすく言うと、あなた自身がまだ幼い娘をもったママだとして、パパの誕生日に娘がお花をプレゼントしたとする。パパが喜んだ顔を見て、本当はママが喜んでいるみたいな。
分かるパパは分かります。ママが買って、娘に渡させたのだと。
ママはパパと娘が喜んだ姿を見て、うれしいものです。
ものを販売しているのに、私が携わっている商品が無くなることはありません。まさに家族のようなもの。毎日、生活をしているからこそ溶け込んで見えない。見えないものこそ美しい。
② 選択圧
空気を伝わる圧力、くもの巣ように張り巡らされた力の関係のネットが見えるんです。
ものが成り立つには見えない圧力があります。中からの圧力と外からの圧力のバランスによって、形が維持される。人間関係のようなもので、見えない圧力でバランスをとっている。
選択圧とは生物の進化において、ある形質をもつ生物個体にはたらく自然選択の作用。 環境条件や他種との競合、天敵による捕食などによって生じる。 淘汰圧。
あるものがあることで、自然にバランスが生まれて、淘汰されていく理です。例えば、水を飲みたいと思ったら、コップが必要で、熱いものを飲む為に取っ手がついていたり。あるものには淘汰された連動性があります。
見えない力が作用して、生活に溶け込んでいる気がして、家の中のあらゆるもの眺めているとすべてものが生きているような錯覚に私は陥った。
何か新しいものを生み出すために重要なヒントはバランスであり、その環境にどれだけ適合させることが出来るのかが重要なポイントである。
すなわち、溶け込ませることが重要なんだと感じさせられるような考え方でした。
人間関係も同じ。新たな環境に溶け込むこと、気が付いたら当たり前のような存在になっていること。見えない力ってやっぱりある。
③張り
張りは、輪郭の力のことです
このリンゴを見て、物体と空間を人は認識することが出来る。このリンゴがボコボコしていたら人はこのリンゴはだめだなと認識することが出来る。
人は無意識のうちに張りを意識して、物体をとらえるのではないか。それを深堀すると物体の中身も輪郭を生み出すには考えねばならない。
周りしか見えていないかもしれない。でも無意識のうちに中身も人間は認識してしまう。輪郭しか見えないのであれば、弾力など触る前に感じることなど不可能なのだから。
「あの人は張りがあっていいね」「張りがある緊張感」こんなことをよく聞きます。張りの意識すると様々なものがもっと見えてくるかもしれない。だって人間は中身まで無意識に考えてしまうのだから。
見えない力ってすごく深い。でも整理すると理解できる。だって人だから。
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