マガジンのカバー画像

あおちゃん

6
運営しているクリエイター

#小説

あおちゃんのお留守番



今日はさあやとのお出かけ。
愛猫あおちゃんはお留守番だ。

「あおちゃん、ひとりぼっちで寂しくないかな?」
さあやは心配みたい。
「そうだ!心配だったらさあ、スマホのアプリでオンラインにしとこうよ」
「えっ、どうするの?」
「僕のスマホを部屋全体が見渡せる…
あっ、ここにセットして。さあやのスマホと繋いでおくんだよ。リモート会議みたいなもんさ」
そして、僕らは出かけた。
さあやは心配でずっとス

もっとみる

あおちゃん

猫の譲渡会に行った一週間後、猫ちゃんは我が家にやってきた。
猫ちゃんは、初めての家なのに、まるで我が家に帰ってきたかのように、さあやと遊んでいる。

ホント、大人しくて、おりこうさん。

「さあや、名前なんにしようか」
「そうね〜、キキかルルって可愛くない?」
「オトってのは」
「なんでオト?」
「おとなしいから」
「単純すぎるよ」
「やっぱ、キキかルルのどっちかがいいよ」

猫ちゃんはキョトンと

もっとみる

現れた猫

さあやは、すっかり元気になっていた。
ただひとりだと頑張ってしまい、ブレーキが効かなくなる。

「しばらく、家でのんびりしないか」

そうは言ったが、ずっといて欲しかった。
僕はスケジュール帳に、さあやの誕生日に入籍と書いていたんだ。

さあやはしばらく迷ったが

「そうね。しばらく直樹の家でゆっくりするのもいいね」

やった!

さあやはクスッと笑った。
僕の心はさあやには丸見えなんだ。

夢に

もっとみる

消えた猫

猫が足元に絡みつくようについてきた。
僕は猫が好きではない。
ああ鬱陶しい、まだついてくる。
家の前まできたらいつのまにか、姿を消した。
僕はせいせいした。
次の日も同じ猫がついてきた。
僕は走った。猫も走る。僕を追い越し家の前で姿を消した。
それからは、雨の日も風の日もついてきた。3ヶ月ほど経っただろうが、僕は猫を好きになっていた。恐る恐る頭を撫でようとすると、猫の後ろ足を踏んでしまった。
猫は

もっとみる