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菜の花黄金漬け 滋賀・上田上に伝わる発酵 その2

滋賀県大津市上田上に伝わる、菜の花の漬物「黄金漬け」。
その1は収穫の様子をお伝えしました。

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原付でブンブンぶっ飛ばす(法定速度以下)カッコいいお母さんたちについて行ったら、農工房ひらの、ありました。

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「愛情誠意」という言葉を掲げているのが素晴らしい。

いっぱいの漬物桶!ぜーんぶ、黄金漬けです。このビニールべろは一体何だ???

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スッゲーと感動してる私には見向きもせず仕込み開始です。まずは計量。地域のおばあちゃん達って、目分量のイメージありましたが、こちらはちゃんと計量してます。

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そして相談・確認しあって、塩の量を決定。
「何パーセントですか?」
「まあ、、、9%やな。早くできて欲しいものは8%とか。」
「それは寺元さんが決めるんですか。」
「いや、みんなでや。みんなでなあ、、、」
代表は寺元さんなのだけど、あくまでみんなの力、というのを強調する寺元さんなのだ。

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9%もさることながら、30kgって。凄いな、、、。

お母さんたちは仕事が早い、「さあやりましょう」なんて言わないまま奥の仕込み場では菜の花と塩を合わせる作業が自動で始まっていた。

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力強い動き。

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味噌をこねる時のように、菜の花を揉んでいる。爽やかな香りが立つ。

ここからは少し動画を見ていただこう。1回目の揉みが終わったところから。動画の前後は切り取ったが、5分弱をノーカットでお見せする。

これを見ていただければわかるように、材料は

摘み立ての菜の花
塩9%
鷹の爪適宜

だけ、という潔い原材料で、出来上がってからも何も添加していない。
寺元さん曰く、「自然のもんが一番美味しい」んだそうな。

そしてこの作業のチームワークが素晴らしく、もう何年も一緒にやってきた人の阿吽の呼吸で流れるように仕込みが行われる。
最盛期は朝から昼までめいいっぱい摘んで、昼から夕方までずっと仕込みなんだそうだ。失礼ながら若くはないので、なかなか大変かと思います。でも、それが生きがいになっているのもよくわかる。みなさん元気です!!

仕込んだら重石をかける。だいたい仕込みの倍の量の重石。しっかり。
前の日来てた子供達の桶発見。小学校って書いてあるのが、なんとも愛おしい。きっと美味しくできるよ!

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桶の様子で注目はこのベロ。

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これは菜の花から上がってくるアクをチョロチョロと捨てるためだそうだ。少しでも苦味を減らすという意図とのこと。

そして、重石をかけると菜の花は半分に減る。ということで、その桶の余白に追加して仕込む。

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黒い色の液体を捨てて、下にはこんな綺麗な感じで浸かり始めている。その上に追加して仕込むわけだ。

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そしてしっかり重石をすると、またしばらくして水が上がってくる。

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そしてその液体が、黒くなってくる。

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3〜4月に漬け込み、5月に一度重石を全部外してお掃除するらしい。
そして発酵は半年以上。10月下旬まで待つそうだ。
その間やることは、守り。夏の間当番制で、暑い昼間は窓を開けて風通しをよくするんだそう。手間と愛情がかかってます。

5月の仕事もまたお手伝いさせてほしいとお願いし、お暇申し上げると、菜の花の「新漬け」をいただいた。

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「母さんの心が通う菜の花漬け」。泣けるじゃないか。

「黄金漬け」はしっかり発酵させた本格的な酸味、旨味が美味しい漬物で、
「新漬け」は浅漬けのようなサラダ感覚で食べるもの。
寺元さんは「黄金漬けには敵わない」っておっしゃる。でも、季節を感じてもらうものとして、新漬けも少しだけ出荷する。もう工房には在庫がないんだそうだが、一つだけ冷凍していたということで、頂いてしまった。なので、しっかり画像を載せよう。(自慢だな)

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食欲がわく綺麗な色。アップでお楽しみください。

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シャキシャキ感と、華やかな香り、そしてほんの少しのほろ苦さ。季節を味わいという点ではこれもなかなか良いものです。

でも、やっぱり半年後の「黄金漬け」が楽しみ。旨味がすごいから。

実は「黄金漬け」にはご縁がある。この地域に嫁いだ知り合いのお義母さんが漬けたものをご好意で頂いたことがあるのだ。それは2年半前で、あまりに美味しくて、少し残して冷蔵庫に入れているのだが、実は今現在も、カビが生えるなど無く、未だに食べられる。

2年半前にもらった時の画像。色が悪くてすまない。ガラケーの写真だ。

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そして今現在の状況。色は少し黒くなったかなと思う。

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こんな保存状況。

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頂いた時の華やかな香りは変わっているものの、冷蔵庫に置きっ放し、しかも酸素に触れていないわけではない漬物が未だに食べられるものであることに驚き。9%の塩分濃度と夏を越した故に生まれる強い酸が絶妙なのだろうか。でも、食べた感じではそれほど酸っぱい感じがなく、旨味が強く、バランスが良い。

この地域のお母さんたちは、炊きたてのご飯に混ぜ込んだものを、おにぎりにするという。そりゃあ美味しいに決まってる。それだけで昼ごはん完了する。

というわけで、5月の仕事や出来上がりもまた取材したいと思います。
農工房ひらの加工部の寺元さん始めみなさま、本当にありがとうございました。

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上田上の景色とお母さんたちの愛情が詰まった、稀有なお漬物です。
昨年のは売り切れており、10月下旬から今期のものが販売される予定。
手に入りやすいところとしては、JAレーク大津 グリーンファーム石山店 がオススメだそうです。

ぜひ食べてみてくださいね!

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