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糀屋は納豆を食べるのか。

麹/糀(こうじ)を作る人は納豆を食べない食べる問題は、おそらく麹なるものを人が作るようになって以来なのかそれより以前からなのか、ずっと繰り広げられて来た発酵世界の未解決問題だ。(そして解決する気配はない。)そして多様性・持続可能なるものがやたら声高に叫ばれるようになった今、それはさらなる重要課題として糀屋に突き刺さる。糀と納豆は共存できるのか。それともお互い排除し合わねばならぬ悲しい関係なのか。

はい、ちょっと大げさに始めてみましたよ。

こんなエピソードがある。

酒蔵に勤め始めた新人のとき、晩酌しながら杜氏さんが納豆の怖さを語り絶対に納豆を食べるなと教えてもらったことがある。「麹がダラーっとなってな、ぬめり麹と言うんじゃ。もうそうなったらどないしようもない。」

しかし、とある酒蔵に見学へ行った時にご馳走になった朝ご飯で納豆が出てきてびっくりしたことがある。今から麹を触るのに??ちなみにその酒蔵の酒は粘りの少ない非常に綺麗な酒である。納豆菌に侵された形跡はない。

発酵で起業してからは、私は納豆を食べていなかった。そして下手したら納豆になってしまう豆麹を作ることもしていない。直接教えを請うた杜氏さんから納豆菌の恐ろしさを聞いているので、納豆も食べなければ豆麹を作る度胸がない、と言うのが正直なところだ。木製の麹室と道具が納豆菌に侵されてしまったら、私どうしたらいいの、、、、と。

だから、ソーシャルディスタンスならぬ納豆ディスタンスは継続中なのだ。

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(画像はイメージです)

しかしだ。そろそろ食べてもいいんじゃないかと最近思えてきた。ちゃんと手洗いして歯磨きすれば、大丈夫じゃないの?

自信か、それとも油断か。

ちょうど昔からお世話になってる人が納豆屋を始めたと言うことで、クラウドファンディングに参加し、その返礼品として納豆が送られてきた。まさかこれをゴミ箱にポイっとするわけにはいかないので、食べることにした。

禁断の一歩。後戻りできない。

ただし。

友達の家に持ち込んだ。まだ自宅で食べる勇気はない。

と言うことで、「らくだ坂納豆工房」の谷町納豆。見参。

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この「谷町納豆」のらくだ坂納豆工房は、大阪市の谷町できた新しい納豆屋さんだ。これは日本酒を美味しい料理で飲ませる「味酒かむなび」の伊戸川さんが始めた。フェスブックページはこちら。インスタグラムはこちら

そして始めるにあたってのクラウドファンディング(終了)のページはこちら

まあ、このクラファンページに想いはたっぷり語られているので私があえて語る必要はないんだが、端的に言うと

1、大豆の品種も農家さんもわかる
2、納豆菌は添加せず、懇意にしている農家さんの稲わらを使う
3、大きなパックで販売
4、タレ・薬味は付いていない

と言うことだ。ま、詳しくは上のクラファンページをご参照ください。

しかし、私的に一番の注目はここだ。電話番号とFAX。下四桁。

06-####-0930
06-####-0931

これは実は店主伊戸川さんの「味酒かむなび」の電話番号と一緒なのだが(納豆工房には電話がないため)、すでにオクサレ、クサイ、と、納豆そのものの番号ではないか。すごい。

と言うわけで、食べるのを怖がっていたため前置きが長くなったが、いざ、実食。

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こちらは北海道の辰巳農園トヨマドカ。谷町納豆のスタンダードらしい。
稲わらがこんな風に差し込んである。この稲わらについている納豆菌を、使うらしい。ちなみに、この稲わらを使うにあたっては、保健所を納得させるにかなり苦労されたとのこと。

それにしても糀屋としては納豆を見るのも触るのも嫌で、届いてから一週間常温でほったらかしにしてた。上の方白いやつカビなのか?と不安。
勇気を出して匂い嗅いでみても、いやいや、ちゃんと納豆の匂いだ!大丈夫、、、、だと思う。つべこべ言わず、

実食!(音声無いので「食わず嫌い」のBGM脳内で流してください)

うわー。完全に腐ってるやん。怖いから目をつぶって、食べる。

うん、うん、うん、、、、

美味い!!うまいぞ、納豆!

何もつけなくても美味しい。思ったより大豆は柔らかく(常温で置いてたから?)、旨みたっぷり。香りは本当に納豆らしい強烈さ。

いや〜久々の納豆、美味しいわ。

塩つけて食べる。醤油かけて食べる。私的には醤油たらりがオススメ。

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こんなに納豆は美味しかったのか。ご飯お代わりしてもた。

そんで返礼品には黒豆納豆も付いてきた。

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これはクラファン用の特別バージョンらしい。

これがマジで美味しい。黒豆感が程よく残ってる。いや〜、いいですねえ。

納豆菌は全国似たような納豆菌が使われおり、商売屋さんとしては本当に稲わらからの納豆菌を使っているところはほぼ無いと言っていい。納豆菌を添加してから、稲わらに納めるところはあるみたいだけどね。

と言うことで、ここでしかできない価値を提供する街の納豆屋を始めた「らくだ坂納豆工房」。ぜひ商売繁盛してほしいものだと心より祈る。

私は引き続き、納豆ディスタンス継続する。でも、排除することなく、ちょうど良い距離を保ちながら、お付き合いしていきたい。自宅(糀室近く)では食べないので、手に入れたら誰か納豆パーティしましょう。

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画像はイメージです♪



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