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私がダイビングインストラクターになるまで【4】

アフリカでの3ヵ月の間、半分ほどの期間を一緒に旅した仲間がいる。

高校の同級生だという同じ学年の男の子たち4人組だ。


彼らのうち2人とは日本で知り合い、旅の期間が重なることもあって合流の計画をしていた(あとの2人はアフリカ集合だった)。

私も少し不安だったし、単独だと行きにくいところもあったりしたので、途中まで一緒に行動させてもらうことに。

サファリ回ったり、キリマンジャロ登ったり、ひたすら島でのんびりしたり、一言でいうと最高だった。

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Wi-Fiどころか電気すら使えない時間があったりもして、スマホなんてほとんど触る必要もなく、食事中や移動中とにかくいろんな話をして過ごした(大富豪したり「ウミガメのスープ」というゲームに数時間費やしたりもしていた。何もないが幸せだった)。

進学校出身で、当時も良い大学に通っていた彼ら。

一言で、頭が良い、回転が速い。

私も一応進学校だったはずだが、単純で根っからの感情論派なので、論破されたりバカにされることも多々あった。

それが嫌だった訳ではない。

ただただ、悔しかった。

特に「お前の'好き'は中途半端だ」と言われたとき、何も言い返せなかった。

好きなことや興味を持つものはあった。

でも、詳しいかと言われたらそうではなかった。

自信をもって語れるものもなかった。

そもそも「自分探し」という理由で旅に出ている人がいるくらいなんだから、旅人の大半はそんな人間だと思う。

それでも、大学をやめて帰国後どうなるかも分からない中、24時間ほとんどの時間を共に過ごしていた同い年の彼らに、あのとき遠慮や壁なんてなかったからこそズバっと言われ、心に刺さった言葉だった(東京の友達にわざわざスカイプを繋ぎ、泣きながら悔しいと話したほどだ)。


じゃあダイビングは?

と考えたとき、彼らの1人もダイバーだったくらい、レジャーで潜れるレベルの資格を持っている人はそこそこいると思った。

潜ることは楽しかったし、ダイビングが大好きになったけど、少し物足りなさも感じた自分がいたのも思い出した。

プロと呼べるレベルのダイブマスターまで取れば、自信もってダイビングが好き!ダイビング出来ます!と言えるようになるかもしれない。

そう思った私は(ここが単純なんだけど)、わざわざWi-Fiが使える町まで出てエジプトのインストラクターさんに連絡をとり、アフリカ縦断後は旅の予定をやめてエジプトへ戻り、残りのお金全てをダイビングに注ぎ込むことを決意したのである。


悔しさから始まった、私の本格的なダイビング人生。

まさかその後から今現在まで、10年近くガイド業が続いているとは思いもせず。

あの時彼らとアフリカで過ごした時間がなければ、そのまま旅を続け、帰国後は普通に仕事に就き、ダイビングは趣味の1つになっていたかもしれない。「ダイブマスターとか憧れるな~」と言うだけだったかもしれない。

8ヵ月間の旅行の中で、ダイビングという一生大事にしたいものと出会えたことは何よりの収穫だ。


ちなみにこの話は、彼らには直接伝えた。

感謝している、と。

上辺だけの会話じゃなく、思ったことを厳しいほどに伝えてくれた彼らの、あのときの言葉がきっかけだったのは間違いない。

もしアフリカでの時間を共に過ごしていたのが同性4人だったら、きっとこうなっていないだろう。「いいと思う~」「私もそれ好き~」という女子トークのちょうどいい相槌の中で、気分良いままにいたに違いない。同じこと言われたとしても悔しさではなく、嫌悪や怒りの感情で一緒に過ごすことをやめていた気がする。


それぞれ東京を離れたりと今では疎遠になってしまったが、SNSの便利な世の中になったので、頑張っているんだろうなというのは分かる。

叶うならばいつか、アフリカ同窓会をしたいものだ。


いよいよダイビング漬けの毎日へ。


【5】に続く。




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