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SFロマン宗教小説「すし」(きゃめ)

ダンボールに囲まれた生活をしているきゃめがいました。
来る日も来る日もダンボールに囲まれていました。
誰に命令されたわけでもなく、自分がそうしたいからダンボールに囲まれていたのに
いつしか頭がおかしくなりそうで
当たり前だったダンボールに囲まれる生活が突然嫌になってしまいました。
きゃめはいてもたってもいられず
外に飛び出してお寿司を食べました

最初こそいろんなお寿司を食べていたきゃめは

釜揚げしらす寿司に出会いました。
それからきゃめは釜揚げしらす寿司に夢中になり、それしか食べなくなりました

知らず知らずに自分の決めたルールができてしまいました。
ダンボールに囲まれるルールをやぶりたくて
お寿司を食べにきたのに
釜揚げしらす寿司しか食べないルールができてしまいました。
これは不思議です。
釜揚げしらす寿司を3皿食べ終えたきゃめは
大きなルールをやぶってみることにしました。
月曜日を飛び越えたのです。
いままで少しはみ出した事はあったけれど、飛び越えるのははじめてでした。
言い知れぬ不安が襲います。気分は落ち込み、まるで銀河系の彼方に1人で放りだされたかのようです。
きゃめはダンボールに囲まれる生活に戻りました。
台本の事ばかり考えていた時間も、以前のようにホラー映画をみる時間に戻しました。
近所のコンビニに置かれなくなったいつものお茶も少し遠くのコンビニに行って買いました。
きっと近いうちにまた1人で釜揚げしらす寿司を食べに行くことでしょうし、来週は月曜日にちゃんとブログを書くでしょう。
自分の決めたルールの中にいれば必要以上に傷つくことはないと知ったのです。
しかしこれはきゃめ個人の話。
ハッピーポコロンパークの作る演劇は銀河系の彼方に放り出されなければいけないのです。そうあるべきなのです。
決められたルールの中で目指す宇宙はなんと困難なことでしょう。
でもハッピーポコロンパークは宇宙を目指さなければなりません。そうあるべきだからです。ルールです。
今週末、わたしたちの宇宙はいったいどんなことになっているのでしょう。
なにを残すことができるのでしょう。

そしてきゃめは気づいてしまったのです。
今週でダンボールに囲まれる生活が終わる。

また新しいルールを作らねば、と


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