「視野が狭い」と言われるあなたへ|視野を広げる実践的な方法です
皆さんこんにちは!起業・創業コンサルタントのようしゅう|中小企業診断士です。
私は日々、中小企業の社長さんたちからお悩みを聞いて、一緒に良くなる方法を考えています。
色んな社長さんからお話を聞いていると「もっと大きな視野で捉えるといいのになぁ」とか「そこをいくら議論しても前に進まないのになぁ」と思うことが少なからずあります。
本日はそんな「視野が狭くなってる!?」とならないように、俯瞰力を身に付ける方法をお伝えします。
客観的に物事を考えられるようになると「議論が生きたもの」になり、前向きな意見が出るようになってきます。
ビジネスの場だけでなく、日常生活や普段の会話にも役立ちますので、ぜひ少しでも参考にしていただければと思います。
「イシューからはじめよ。」ができないんです
かつては私も議論をしていて「あれ、なんか自分ズレてる?」ということがよくありました。
しかし、私の師匠に教えてもらった考え方を実践することで、今では「よくそんな風に考えられますね」と言われるまでになりました。
私の好きな本で「イシューから始めよ」というものがあります。
これは簡単に言えば「議論をする際には、何を議論すべきかが大事だよ」という内容のものです。
例えば各部署からわざわざ人員を集めた会議であっても「議論すべきテーマ」の設定を誤ってしまうと、ムダな時間を過ごすことになってしまいますよね。
例えば…新商品販促会議での一幕
営業担当「お客さんを獲得することが命題だから無料の販促キャンペーンをやるべきだ」
製造担当「品質の高い製品を作ることが責務だからキャンペーンなんてやらずに相応の価格で販売するべきだ」
(やれやれ、これは平行線で出口が見えない…。)
こんな光景よくありますよね?
担当者が自分の仕事に信念をもって発言することはよいと思います。
しかし、上司や経営陣も担当者と同じ目線になって議論を続けていては、それこそ時間のムダになってしまいます。
そんな時には「もっと違う角度から物事を捉える=視野を広げる」ことが必要です。
それではここから、そんな「視野を広げる」ための重要なキーワードを2つ解説します。
ポイント❶視点を変える
視野を広げるための方法の一つ目が「視点を変える」というものです。
しかし、「視点を変えろって言われても、それが難しいんだよ」と突っ込まれそうなので、視点を変える手法をお伝えします。
それは「登場人物を変える」ということです。
例えば人気アニメ「僕のヒーローアカデミア」で主人公の緑屋出久が困難な敵と戦った場合には「もしもオールマイトだったら…」「もしもかっちゃんだったら…」と自分以外の誰かを想像することで、戦闘における着想を得ています。
これは戦闘系アニメやスポコン系アニメではよく使われる手法です。
つまり自分視点でいくら頑張って考えても発想に限界があるため、登場人物を変えることで視点を変え、発想を広げているのです。
ビジネスや議論の場においては仲間や師匠に置き換えることも有効ではありますが、同じような立場の人だと議論に広がりが生まれくいこともあります。
そこで登場人物を「ステークホルダー(ビジネスに関係する人)」と置き換えて考えるとよいです。
同僚、上司、取引先、株主、行政、大学の先生、消費者など自分のビジネスに登場する人物をイメージしてください。
例えば日本国民が愛する「カップヌードル」
お湯を入れて、フタを閉め、シールを貼って3分待つというお馴染みのカップ麺ですが、2021年にデザインが「Wタブ」に変更されています。
これは近年の廃プラスチックによる環境問題が注目を集めており、「カップヌードル」で採用してきたプラスチック製の "フタ止めシール" を廃止することにより、プラスチック原料の使用量を年間で33トン削減したものです。
この解決策としての「Wタブ」が様々な視点から考えられている実に良い製品だと思いました。
自社の視点のみで考えた場合、「シールに使われているプラスチック原料の割合を減らす」など、今よりも効果の薄い解決策に留まっていたかもしれません。
これはおそらく様々な角度から議論された結果が「この可愛らしいWタブ」だったに違いありません。
また、カップヌードルを販売している日清食品は過去にも斬新な発想をしています。
現在、アメリカでも人気商品となっているカップヌードルですが、米国進出当時は全く売れなかったそうです。
なぜならアメリカ人にとっては、ラーメンという「麵製品」を食べる文化がそもそも無かったからです。
そこで、日清食品はアメリカの食文化に着目し、視点を切替えて「具の多いスープ」として売り出しました。するとスープ売り場に陳列した途端、瞬く間に売れ出したという逸話があります。
これはアメリカ人の立場になって考え直した結果、辿り着いたマーケティング戦略です。
このように登場人物を変え、その立場になって考えることで「視点を変える」ことができます。
これが視野を広げる一つ目の方法です。
ポイント❷視座を変える
視野を広げるもう一つの方法は「視座を変える」ことです。
視点が見る「角度」に対して、視座は見る「高さ」です。
この視座については分かりやすく説明した昔話があります。
皆さんはイソップ寓話の「3人のレンガ職人」をご存じでしょうか?
ある旅人がレンガを積んでいる3人の男に話かけます。
「ここでいったい何をしているんですか?」
すると一人目の男性はこう答えました。
「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。暑い日も、寒い日も、風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。」
旅人は同じ質問を、別の男に投げかけます。
すると二人目の男性はこう答えました。
「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。」
さらに旅人は同じ質問を、別の男に投げかけます。
すると三人目の男性はこう答えました。
「俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂をつくっているんだ。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだ。素晴らしいだろう。」
このように旅人の問いに対して、3人は全く異なる答えを返したのです。
作業としては同じ「レンガ積み」ではあるものの、視座の高さによってその捉え方が全く違うのがお分かりだと思います。
この視座の違いは目的意識やモチベーションの話だけでなく、使い方を変えることで議論の場においてとても有用です。
ではこの3人の男に自分の仕事について考えてもらいましょう。
すると面白い結果が見えてきます。
これはどの考え方が良い、どの考え方が悪いという話ではありません。
議論の中身によって、「今は作業効率よりも機能・性能に話を向けるべきだ」とか、状況に合わせてどの立場で話をするかを自分なりに考えることが重要です。
このように一つの事象であっても、「視座=見る高さ」を変えることで、全く違う見え方をするのです。
視座の違いで議員を圧倒した石丸市長
先日、東京都知事選挙に立候補を表明した広島県安芸高田市の石丸伸二市長。政界に彗星のごとく現れ、旧態依然とした市議会議員たちを相手に正論で戦う姿がとても印象的です。
知識量もさることながら、その「視点の切替え」に毎度驚かされるばかりです。
とある一般質問で議員が石丸市長に対して次のように言います。
「高い位置からの目線で市民に何を言っても、市民はその目線には上がれません」
これに対して石丸市長は次のように返します。
「わざわざ選挙で選ばれたリーダーが低い目線でいちゃいけないんです。
託された人は、託した人々を導かなければならないんです。」
視座の高さを認識し、自らが視座の高さを保つべき存在だということを理解した上での発言です。
石丸市長は常に高い視座を持ちながらも、市民に寄り添う姿勢や様々な角度からの議論によって政策を導いているのです。
政策うんぬんを抜きにしても、「議論のお手本」のような人物ですので、ぜひご覧いただければと思います。
視点と視座の組み合わせを変える
ここまでくると皆さんもうお分かりだと思いますが、「視野を広げる」ということは「視点と視座の組み合わせを変える」ということになります。
冒頭で触れた新商品販促会議において営業担当者は「営業部署は、お客さんを獲得することが命題だからもっと販促キャンペーンをやるべきだ」と言っているのに対して、上司も同じ視点、同じ視座から発言をしていては結論も同じになります。
視座の高さを変え、登場人物を変えることでいくつもの思考パターンが生まれてきます。
分かりやすく算数で表すと、視点が3つ、視座が3つあるだけで3×3=9通りのパターンの視野が生まれますもんね。
とはいえ、「いきなり多くの視点と視座に切替えてね」と言っても難しいと思います。
そこでまずは一方向のみの議論にならないように意識をすることが大切です。
「あれ、今ずっと同じ立場(視点・視座)からしかモノを言ってないかも?」
これに気付くことができれば、違う視野に切替えることができます。
少しずつバリエーションを増やしていくことで1か月後、3か月後、6か月後、1年後にはきっと全然違う自分になれることでしょう。
「視野が狭い」と言われたあなたはぜひ試してみてください。
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