今さら聞けないキリスト教のカトリックとプロテスタントの違い
安倍さんの事件で旧統一教会が今話題になってます。元はキリスト系の信教だと聞いたのですが実際本当にそうなのでしょうか？ 今日は教養としてここアメリカは勿論世界で最も信者の多いキリスト教についてお話ししたいと思います。
現在のキリスト教信者は世界人口の1/3を占めています。元々ユダヤ教の教えを基盤とするキリスト教は、初めにカトリック(西方教会)とギリシャ正教(東方教会)と大きく二つに別れました。わかりやすく言えばヨーロッパの西側と東側に分裂したんですね。旧約聖書の十戒に”如何なる偶像も作ってはならない”という記述があるため、その教えを固く守ったのがギリシャ正教で、例えば大仏やお釈迦様のような偶像を作って崇拝しても良いではないかと言い出したのがカトリックです。そこで十字に架けられたイエス・キリストやイエスの母である聖母マリアの立体像が祀られるようになりました。
そしてそのカトリックからまたカトリックとプロテスタントの二つに分裂します。それはカトリックが腐敗し資金集めのため「免罪符(めんざいふ)」と言うお札を発行したのが原因です。すなわちそのお札を購入すれば、自らが犯した罪が赦されるというものです。そこでドイツのルターがそれは神に反した行為だと批判しました。実はこのルターの抗議、英語のProtestという言葉からプロテスタントという名称になったそうです。でもカトリックとプロテスタントの対立はなかなか収まらず、ルターにより１５１７年に始まった宗教改革から、ほぼ100年後に起こった三十年戦争後の1648年にやっと個人にも信仰の自由が許されたのです。
カトリックは神があり教会があって聖書と信者がいるというピラミット型の権力により秩序を保ってきました。でもプロテスタントは聖書と信者主義で教会は補佐的なものと捉え、教会の造りや装飾も至ってシンプルです。反面カトリックの教会は、芸術面にも力を入れ華やかな宗教音楽や豪華絢爛な絵画や建物、イタリアの大聖堂など観光地にふさわしい見栄えのある造りです。でも実際その予算は「免罪符」から調達していたもので、とにかく神のいる家としてお金をかけていたんですね。
カトリックは、どんな罪人も「善行」を積めば救われると考えました。善行とは主に巡礼や寄付、ボランティアのことで、働くことは控えめでした。一方プロテスタントは、どんな罪人も信仰によって救われると説き、ルターは労働にこそ宗教的な価値があり、それが神からあたえられた使命だと考えました。そしてその考えが資本主義につながったのです。
カトリックの神父は生涯独身で男性でなければいけません。聖職者は性的関係は全て禁止、あとカトリックは離婚も許されません。雑念をはらい神に仕えることに集中するためにいくつか厳しいルールがあるんですね。その中で神父の最高権力者がローマ法皇にあたります。神父は主にラテン語が読めない一般市民のために神の教えを説く上の立場でした。でもプロテスタントの牧師は常に信者と同等の立場です。日曜の礼拝は気さくな雰囲気で行われ。カトリックの讃美歌の代わりに元は黒人が集う教会のゴスペルが歌われるようになりました。
カトリックは聖母マリア像が崇拝の対象になっていますが、プロテスタントは神様以外の人間は皆平等という考えから聖母マリアを重要視していません。「神父」でなく「牧師」と呼ばれ、結婚も許され男性でも女性でも牧師になれます。
そのプロテスタントの中でも、ルーテル教会、改革派教会、聖公会、バプテスト教会、メソジスト教会などたくさんの教派があります。なので旧統一教会もプロテスタント系だと思ったのですがどうやら全く違うようですね。キリスト教はイエス・キリストを救世主として信じる宗教です。なので旧統一教会のように韓国の主導者本人が救世主だと言っている時点ですでにキリスト教ではないことが分かります。
ここまで長々とお付き合いいただきありがとうございます。とにかく歴史や宗教の話が大好きで、実際このアメリカでもいろんな人種がいてそれぞれいろんな宗教に属しています。世界には本当にたくさんの宗教があります。また別の機会に是非紹介させて下さい。今日もここまで読んでいただきありがとうございました。
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