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ヤングケアラー

「社会問題の最終的に犠牲になるのは、弱いもの、小さいもの。中でも特にこどもに集まる」かつて福祉の現場にいた頃から痛感していることです。うまく言葉に表現できず、また声さえ届かぬという状況や事態が多々あり、大人の社会の負荷を一気にかけてしまうなあと。コロナ禍で改めてクローズアップされているヤングケアラーについて綴ってまいります。

ヤングケアラー(Young carer)

「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことはありますか?
ヤングケアラーとは

大人が担うような責任を引き受け、病気や障害などケアが必要な家族の世話や家事をする18歳未満のこども〜日本ケアラー連盟の定義〜

一時的なものも含めて、「家族の世話は当然だ」と考え、それならやったことがあると思い当たる方も多いかもしれません。ヤングケアラーはまさにそれをあたり前として負担の重さを自覚せずに、毎日を送らざるを得ないこども達のことです。2021年4月に国が全国の中高生に対してはじめて実態調査によると、中学生の17人に1人、高校生の24人に1日が世話をしている家族がいると答えています。

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ヤングケアラーは孤立化しやすい

私が、このヤングケアラーの問題の複雑さや根深さを知ったのは、不登校のこども達を支援するNPOに関わっていた時のことです。不登校になる理由は「大声を出す先生が怖い」「お友達が怒られるのをみているのが辛い」など繊細で敏感すぎて学校へ行けないというこどもや、発達障害などで社会性やコミュニケーションへの障害が原因でいじめや周りになじめないこどもたちなどもちろん様々。

ある小学3年生のAくんは、3歳の妹の面倒をみるため学校に行けなくなったとのこと。よく話を聴いてみると、シングル世帯で母親に精神疾患があり、服薬後はウトウトしがちで、妹がお腹をすかせても泣いても起きて世話することをせず、またひとたび寝ると身動きしないので、そのまま死んでしまうかもしれないと心配で夜は眠れないという。当然、朝起きるのはシンドくてその後は妹の世話やウトウトする母親が気になって学校へ行けない、そんな状態でした。

どんな親であっても、こどもにとっては唯一無二の親。親が大好きで、親に嫌われたくない、失いたくない、離れたくないという想いが根底にあるので、そんな親のことを悪く言われたり、何かされるのではないかと顕在化しにくい、隠されてしまいやすい状況は多いです。またコロナ禍で人とのつながりがより分だされ、ヤングケアラーがますます孤立化しやすい状況があります。

この状況に慣れてしまい、これがあたり前だと思い込み、自分の人生を生きるということに出逢えずに大人になるこども達もまだまだいることはたしかです。


国の支援策が動き出す

なぜ小3のAくんが背負わされているんだろうと愕然としたことを覚えています。小3といえばわずか9歳。ただ自由に思いっきり友達と遊びほおけて毎日を過ごしてもよい学年です。また、それよりもさらに複雑な家庭環境がゆえに結果、こどもが学校へ行くことができずに不登校という言葉で片付けられている現状があるのです。

そんなヤングケアラーに対して、ようやく国の支援策が動きだすようです。こども自らがSOSを出す困難さ、役所など公的機関や専門家への相談は心理的ハードルが高いため、SNSを利用した相談やオンラインでの当事者の集い、それを支援する民間の団体や自治体の連携に補助金を出すなど民間のちからを活用して相談体制の充実を図るとのこと。

国の支援策も大事ですが、こどものちょっとした違和感や異変に対して意識を向けたり、手を差し伸べられる大人が増えていくことが、未来を担うこども達の幸せに必要なんじゃないかと思っています。




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