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それぞれの春 # 青ブラ文学部

旅立ちの季節がやってくる。
少しずつ春めいてくるこの時期、多くの高校生がそれぞれの「卒業」を間近に控える。

思えば今年の卒業生は、高校時代をコロナ禍に翻弄された先輩たちの姿を見てきた世代となった。

修学旅行も文化祭やコンクールも無くなった。
「世の中は不条理だ」、「当たり前の学校生活を送りたかった」。そんな先輩たちの無念の思いを背負って過ごしてきた。

「先輩たちの分まで」。そんな志を持って学校生活を送ってきた高校生も多かったことだろうと思う。
その思いを叶えられた人もいればそうならなかった人もいる。けれど、「誰かのためにがんばれた」という経験が人生において色褪せることは決してない。

誰かのためにがんばれるということは、その「誰か」を心から大切に思うということ。それは例えば尊敬であったり愛情であったりする。これからの人生において最も貴い感情の1つだと思う。

ユーミン(松任谷由実)の名曲「卒業写真」の中にこんな歌詞がある。有名な歌詞だ。


「人混みに流されて/変わっていく私を/あなたは時々/遠くで叱って」

あなたとは誰だろう。
初めて聴いた時、憧れの異性だと思い込んでいた。
でも今聴いて出てくる「あなた」は18才の時の自分自身である。

あの頃、思い描いていた将来の自分と今の自分は随分と違う。ユーミンが歌ったように、人は変わる。卒業して、大人になって。

でも誰かのためにがんばれた18才の自分は消えない。

「あの頃の生き方を/あなたは忘れないで」

全ての卒業生に、祝福を。


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