星と鳥と風~26 ゴミ処理場

私の家のすぐ近所に【ゴミ処理場】
があった。
中学生の私達はたまに
そのゴミ処理場に遊びに行っていた。
(何でそんな所に遊びに行ってたのかは今だに謎)だが
暇を持て余した田舎の子供の
(遊び)だったのだろう。

そもそも
ゴミ処理場が
【遊び場】
こんなルーツや親父との関係
ぶっ飛んだ周りとの繋がりなどの影響が
自然と私をパンクやブラックミュージックの世界へと誘ったんだと思っている。

ゴミ処理場には常駐の職員が2人いて
(1人は厳しそうな人だった)のだが
それともう1人
私達を可愛がってくれる
Tさんという職員さんがいた。
行くといつも麦茶やアイスを出してくれて
(もう1人の職員)の出勤日などを教えてくれ
私達が自由に遊べるように配慮してくれた。

中学生の私達は
そこで漫画やエロビデオ、自転車や自転車の部品、オーディオ機器、レコード、etc
を持ち帰った。

今考えると
(どこぞの外国の子供達みたいだ)

そこに何故かJB〔james brown 〕
【ジェームズ・ジョセフ・ブラウン・ジュニアは、アメリカ合衆国のソウル歌手 、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、レコード・レーベル・オーナー、社会事業家。ファンク、ブルース、ゴスペル音楽、R&B、ソウルなどの音楽性を持ち、アフリカ系アメリカ人で長きにわたり一般的な人気を博した】
ウィキペディア参照。

のレコードが大量にあった。
JBが何者かも知らない僕らは
【JBの顔が面白いから持って帰ろう】
という
ふざけた理由でレコードを持ち帰った。

私の家で、隼人と一緒に叔父さんのレコードプレーヤーで聴きながら
「ファンキー!!」
と雄叫びを上げながら
JBの真似をして
2人でベッドの上で馬鹿な踊りを舞っていた事を微かに覚えている。
(これが、私の初めてblack music との出会い)
なのだから、今思うと

猛烈に
【james brown に謝罪したい】


ゴミ処理場によく行く仲間の中にはもちろん隼人もいて、買うお金がないからそういった所で物をゲットするというよりかは、私達の

【謎に習慣化されたライフスタイル】
だった。

それに中学生の私達は何か欲しい時はいちいち親にお願いして、市街地まで連れて行ってもらう必要があった。
市街地まではチャリで1時間半かかるし
僕らは(バスでの移動が嫌いだった)ので
家から10分程のゴミ処理場で必要な物を探す事が自然だった。

ある日、たつやという友達がゴミ処理場で

【最高な物をゲットした】

というので、私達は学校終わりに、たつやの家に向かった。
着くとそうそうに
家の車庫に案内された。
そこには、ブルーシートで覆われた
【何か】
があった。
たつやは、それを目の前にして勿体ぶっていたのだが、痺れを切らした隼人はすぐに
ブルーシートを引っぺがした。
すると、ボロい一台の
【スクーター】
があった。

【どうだ?すごいやろ?】
と、言うたつやに隼人が

【鍵は?】
と言った。

たつやは
「まぁ見てなさいよ」
と言って、鍵を刺す場所から2本の導線を取り出して、その2本の導線を重ねた。

【バチバチ】

と電流が走って
アクセルを吹かすと
エンジンがかかった。

【おぉ〜】
と一同が歓喜すると
たつやは自慢げにタバコに火を付けて
「最高だろ?これで俺らの自由は広がる」
と言った。

【確かに】

まだ中学2年生の僕らからしたら
【スクーター】
があるだけで大きく移動範囲が広がる。

ただ
何度も言うが
【僕らは中学生】
勿論免許も無ければ、スクーターのナンバーを登記する事も出来ない。

つまりは
【イリーガル】にこのバイクを取り扱う必要があった。
それに、僕らの中学の先輩や
先生に見つかってもややこしいので
ここにいる同級生だけの秘密にしようとなった。

(結局、口の軽いたつやが周りに自慢げにペラペラ話して、すぐにバレてしまったのだが)

それから僕らはそのスクーターを使って色々な事をした。
溜まり場になっていた、たつやの家は
山の上にあって、そこまでの道のりは
体力が有り余っている中学生でもキツいものがあった。
通称(地獄坂と呼ばれていて)
幽霊も出るので、スクーターでたつやが、僕の家まで来て、チャリに乗った僕ごとスクーターで押してもらいながら地獄坂をクリアーしていた。
(そのくらい急な長い坂道であった)

それに、警察が通りかからないか内心ビクビクしながらの移動でもあった。
この頃から僕らは警察は迷惑な存在だという
【変な意識】
も同時に芽生えた。
それにたつやは、私達の中学校一
【悪知恵】
が働く子供でもあった。

ある日
「星、ジュースゲットしに行こうぜ」
と言って、たつやと近くの自販機に向かった。
その時、僕らの全財産は2人合わせて300円程
だった。

たつやは
「300円あれば何とかなる。仮に失敗しても2回はチャンスがある」と
何やら意味の分からない事を、1人で呟いた。

自販機に着くと、たつやは
「星、俺に150円託してよ。倍にして返すから。」
と言ってきた。
言っている意味が分からなかったけど
面白そうだったので

【私は彼の賭けにベットする事にした】



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