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4月30日は『魔女焼きの日』チェコの春の風物詩

4月30日の晩、チェコでは『魔女焼き(Pálení čarodějnic)』と呼ばれる行事が行われる。

4月最後の夜に、魔女の人形を火あぶりにする風習で、各自治体によって準備がすすめられる。
もちろんプラハなどの都市でも色々な公園で開催され、多くの人でにぎわう。

今年は、夫の家族が住むプラハ郊外の村の『魔女焼き』に参加。

日が高いうちから村人たちが集まり、ビールを飲みながら歓談を楽しむ。

子どもたちも可愛く魔女・魔法使いのコスチュームを着て、準備万端。

こんな小さな魔女なら怖くない。とんがり帽子がキュートな魔女。


自治体で作った魔女の人形もスタンバイ。

魔女っていうよりモンスターの出で立ち。着ている服もどことなくモダン…



井桁型の焚き火台にセット


魔女を焼く前に、ソーセージを焼くのを忘れないチェコ人たち。
じっくり焼きながらおしゃべりを楽しみ、点火時間まで待つ。
誰もあせらない。誰もいそがない。
ここは本当にゆっくり時間が流れている。

祭には欠かせないチェコ名物のソーセージ(Klobása)

午後6時。
日が長くなっているチェコなので、まだまだ明るいけれど、ついに点火!


普段は消火が仕事の消防士さんが点火


火がまわり始める


火が魔女を避けるので、ものすごい勢いで燃え盛っているのに全然魔女に火がつかない!

村人たちも苦笑しだす。

「これ、昔だったら魔女の呪いとか言って、みんな恐怖をおぼえただろうなぁ」と、しょうもないことを考えながら、私もソーセージを頬張りながら見守った。

ようやく魔女にも火がつき、すごい勢いで炎に飲み込まれていった。

火からけっこうな距離をとって見ていたけれど、炎からの熱風が吹き付け、後ずさりするほど熱い。

中世のヨーロッパ。
『魔女』とされ、こんな炎で火あぶりにされた女性たちの苦しみは計り知れない。
楽しい祭りなのにこんなことが頭をよぎるほどに、炎の怖さを思い知る。

『魔女焼き』というと、自然とキリスト教の魔女裁判と関連付けて考えてしまうけれど、このチェコの風習は実は「魔女裁判」に由来するものではないらしい。

聞いたところ、キリスト教が伝わる以前から行われていた風習で、民間信仰に由来。

その昔、魔女が空を飛びまわって魔女集会に行くと信じられており、魔女は炎で追い払えるとされていたことから、かがり火を焚くようになったとのこと。

この風習はチェコ以外にも、北欧や中欧で広く見られ『ヴァルプルギスの夜』と呼ばれている。

チェコでも『ヴァルプルギスの夜』と呼ばれると書いてあるサイトを見つけたが、私の周りのチェコ人でこの名称を知る人はいない。

『ヴァルプルギスの夜』もとい『魔女焼き』、たき火の火が燃え尽きるまで人々は火を囲み、音楽を奏で、4月最後の夜を楽しむ。





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