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みっきーのリアル登山者の端書き#700『忘我の山』

私のアルプス登山は、大体日の出前の黎明に登り始め、10時頃にテント幕営地や山小屋に到着し、そこで荷物を一度置いて山頂周りを周遊しながら、日暮れ近くまでひたすらのんびり過ごすということが多いです。

到着から日暮れまでの6時間近く、大抵はその絶景を眺めることに終始しています。
特に蝶ヶ岳周辺からの穂高連峰の山並みは、翌日下山ギリギリまでずっと眺めていられるほどです。

そうしている間に私が何か考えているかというと、特別何かを意識しているわけではなく、自分の意識を手放してただありのままを眺める「忘我」の状態となっています。

普段観察や記憶など、自分の意識を常に働かせ続けることは、必要なことながらも身体や精神に負担になっているように思います。

時にはその張り詰めたものを緩め、それらが機能不全に陥らないようにバランスを取ることが必要だと思います。
そうした意味では私にとって、視界に収まり切らないほどの雄大な絶景などはまさに日々のものを吹き飛ばしてしまうほどのものであり、「忘我」にとっては相応しいものであるように思います。

最近は育児の都合でアルプスには登れていませんが、他の場面でもそうした「忘我」ができるような、一切の自分を手放して受け入れられるものを、大切にしていきたいと思います。

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