#8 波瀾万丈…西日本緊急周遊記
#7 のつづき
20時間ぶりの食事(Day3 夜)
大阪・西成の激安ホテルで4日ぶりの布団にありつき、すぐに深い眠りへと落ちた私は背中と腰の痛みで目が覚めた。
(今何時だろう?)
スマホの電源ボタンを押すと、ホーム画面とともに時刻が表示された。
17:50
(しまった!寝すぎた!)
道理で背中と腰が痛いわけだ。部屋の小さな窓を開けてみたが、見えたのは隣のビルの外壁だけで、空の明るさはわからなかった。
今日は大阪に勤めている仲の良い記者さんと会う予定(取材が頓挫し連絡したら会ってくれることになった)があったが、幸い待ち合わせの時間はまだだった。私はトイレとシャワーを済ませ、近所の「スーパー玉出」に20時間ぶりの食事を探しに出かけた。
私が購入した夕ご飯は、白米(105円)に鯖の塩焼き(108円)で税込213円。何しろ節約しようと思えばいくらでも節約できる街なので、これでもかという具合に節約をしてみた。味はというと、20時間ぶりの食事だったのもあるだろうが、意外にもかなり美味しく感じた。
食事を済ませた私は地下鉄に乗って谷町九丁目駅に向かうと、仲良しの新聞記者さんと会い、取材が頓挫した経緯や悩みを全部吐き出していろいろと話を聞いてもらった。
終電に合わせて、ホテルへ戻ると、部屋で一人明日以降のことを考えた。
#2 で書いたように、
①福岡発の航空券がある
②予定より早い帰宅は家族に心配をかける
③日本海が見たい
の3つを考えて、中国地方の日本海側・山陰へ行くことを決め、鳥取行きのバスをネット予約した。
17時50分起床、深夜1時就寝。あまりにも短い3日目が終わった。
西成あいりん冒険記(Day4 朝)
さすがに前日20時間近く寝ていたからか、この日は朝のうちに目が覚めた。例によって例のごとく、スーパー玉出で朝ご飯(計401円)を購入。確かコロッケと、野菜不足だったので野菜炒めも買った記憶がある。昨日お米と焼き魚しか食べていなかったので空腹に耐えきれず、多分もう一品くらいつけたんだったっけ。野菜炒めがあるおかげで箸は進むのでお米は買わなかったことは覚えている。ロビーの電子レンジで一式チンして贅沢にも温かい朝ご飯にありつくことができた。(写真は撮り忘れた)
大きな荷物を背負ってホテルをチェックアウトしたのは10時半くらい。そして当てもなく朝の西成の街を歩いた。
一昨日、昨日といずれも私はまだ夜の西成しか見ていない。朝の西成は日雇い労働者の兄ちゃんたちとホームレスの爺さん、婆さんの姿が目立った。ママチャリに乗った親子連れもいたことにはいたが、珍しかった。
職業安定所の前を通ると、強面の兄ちゃんから「仕事探してます?」と声をかけられた。
これが噂に聞く「手配師」か…!
手配師とは、日雇い労働者にその日の仕事を斡旋する業者で、この西成には悪徳業者も少なくないと聞く。
大きなリュックを背負って疲れ切った顔で職業安定所の前を歩いていたのだから変に勘違いされても仕方ない。一日くらい日雇い労働体験をやってみてもよかったのだが、さすがに怖くて「いや大丈夫です」とだけ答えて、信号を渡り通りの向こう側へ逃げた。
鳥取行きのバスが大阪駅を出るのは15時10分。
それまでどこで何をして過ごそうか。
#9 につづく
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