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人間模様etc.県立がんセンター入院

2022年2月3日、県立がんセンターに入院した。
受付で入院手続きを済ませ病棟に上がりナースステーションを訪ねる。

当時はまだコロナ真っ只中でナースステーションまでは入れなくて、その手前に引かれたラインのところで待つ。

ナースさんが来てくれて検温と手指消毒をしてラインを越える。ここで送ってきてくれた妻とはお別れだ。明日の手術時間を伝えて。
ここから先は面会も無いし明日も会えるかどうかはわからない。
以前の記事で書いたけど僕は全身麻酔をニンマリ疑っていたので目が醒めなかったらお別れだなとなんとなく思っていた。

病室に案内された。相部屋で良いですと言っていたので4人部屋だった。2人の先客がいた。1人は明日帰るらしく、静かなご様子のかた。
もう1人は恐らく前立腺がんの術後数日経っている感じで、テレビのイヤフォンもせず携帯で喋ったり最悪なやつ。
まぁこの辺りのことは読者の参考にはならないから語らない。ただ僕が不快だっただけだから。

荷物を片付けて待っているとナースさんが説明に来た。これから明日の手術までの流れを流れるように説明される。
『タメ口です』
検温と食事量のカウント、排便状況の記入はセルフ。渡された用紙に自分で書く。そんなもんなん?

記憶が曖昧だけど渡されたものは、白い着圧ソックス、明日の朝までに飲む水、体温計、記入用紙、説明書多数、色んな同意書、など。
僕の入院予定はそもそも1週間なので特になんてことはないと思った。
あとパジャマとか術後に着る寝間着みたいなのとオムツは予約していたのでベッドに届いていた。

ベッドでくつろいでいるとナースさんが来て「歯科の時間忘れてた、早く言ってきて。」と言われた。知らんがな、と思いながらも病棟から診療フロアに行って歯科を探す。有ったわ。すでに時間を過ぎていたのですぐに呼ばれ、手首に巻いたストラップのバーコードで本人確認され診察。手術中に歯が取れたり欠けたりするといけないので口腔内の点検があるとネットでは書いてあった。実際はなんか普通の歯科健診みたいで、歯磨きもしてくれた。女医さんが少し不思議ちゃんで言ってることがピンと来なかったけど、無事に終わった。

入院患者と一般外来の患者の違いは、手首にバーコードがあるか無いかだな。あと術後の人はパジャマとか寝間着で歩いたり車椅子で連れ回されている。
僕は誰から見てももう
「癌の手術をする患者」だ。

病室に戻る。「終わったぁ?」とナースさんが来て、着圧ソックスの説明をしていたけど、「介護士さんだから分かるよね」と適当に終わった。あと、ベッドの説明とか諸々を割愛された。
そして下剤のセンノシドを1錠渡された。センノシドは仕事柄飲ませることはあっても飲むのは始めてだ。実際こんなの1錠で明日の朝9時からの手術までにお腹は空になるのか?
夕食後に服用した。
夜中に腸がグルグルと言い出し、安全に排泄。間に合って良かったわ、とホッとした。
おかげであんまり寝ていない。ナースさんが巡視に来るわ、同室のオジイがうるさいわ。

しばらくすると麻酔の担当医が来るときいていた。
コツコツコツとヒールの音が近づいてくる。ん?ここは病棟だぞ。
「こんにちは~失礼します~」と女医がカーテンを開けて入ってきた。
香水プンプン(笑)
有りなの?無しではない、か。
白衣をひるがえす、ような振る舞い。茶髪の先生は説明を始めた。「ちょ、ま、この人に僕の初めての全身麻酔を託すのか?」
「全身麻酔って初めて?」タメ口。
いろいろ説明を聞いて「明日はよろしくね~」と去っていった。
まぁ、こんなドラマも必要かもな。

主治医も来た。この先生はその後も朝と夕方毎日来てくれるような人なのだ。ありがたい。「何か聞きたいことありますか?」「いえ、聞いてもわからないから良いです」「失敗しないから大丈夫ですよ」「お願いします」いつもこの先生とはニコニコの会話だ。

そして手術室のえらいナースさんが来た。事細かに手術の流れを説明してくれた。不安がないように教えてくれる。さすがにベテランさんなんだろうな、ホッとする。「明日はベッドをポカポカにしてお待ちしてますね」と去っていく。この意味は手術台に寝たときに知ることになる。

あっという間に時間だけが過ぎていく。
ほんまに明日なんやなぁと少し実感がわいてくる。

あ、ちなみに夕食は節分だったから巻き寿司だったよ(笑)
最後の晩餐だった。食器は自分で廊下の棚にさげてねと言われてたのでセルフ下膳。
僕は元気なのでオールセルフサービスだった。

1つの懸念は、トイレが遠いことだった。
それが術後の僕に試練を与えるとはこの時思ってもいなかった。

癌の告知から4ヶ月、ネット検索も飽きるほどしてもう調べることもなく、正直早く終わってくれたら良いな位しか考えることもなかったので、落ち着いて手術の日を迎える。

朝が来たら、さあ全身麻酔で眠るんだ!

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