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音楽の癒しは、昔も今も変わらない?空を見上げたくなるほど美しい音楽とは。

 雲を遏む (くもを とどむ) 。
これは「空を飛ぶ雲も聞き惚れて その流れを止めてしまうくらい、音楽や歌声が美しいこと」を例えた ことわざです。
素敵ですよね。
思わず 空を見上げたくなります。
あんなにも高いところにある雲を止めてしまうなんて、昔の人は どれほど美しい音楽や歌を聴いていたのでしょう。

子どものころ、テレビやラジオといった音の出る家電が家に一つもない時期がありました。
仕事をせず 一日中家に居てお酒を飲んでいる父が うるさがって壊してしまうので、しばらく買えずにいたそうです。
当時は母が一人で働いて、まだ小さかった姉と私の最低限の暮らしを守ってくれていました。
そんな私が音楽と呼べるものに出会ったのは 小学校4年生、学校のブラスバンドクラブに入った時です。
楽器は自分のを使うことも、学校のものを使わせてもらうことも できました。
私はそこで初めて 生の楽器の音と演奏を聴き、たくさんの音の重なりに胸が熱くなったのを 今でも はっきりと覚えています。

楽器の種類もメンバーの数も充実していたと思いますが、全員 小学校4~6年生という構成。
演奏は まだまだ拙いものだったと思います。
でも、自分で楽器を吹いたり みんなの演奏を聴いたり。
ブラスバンドクラブで過ごした日々は、あまり いいことがなかった子ども時代の、 一番キラキラした思い出になっています。

その中で 強烈に私の体のど真ん中に残っている 音と音楽があります。
それは、エドワード・エルガー作曲の「威風堂々 第一番」。
第二のイギリス国家とも言われ、イギリス国民はもちろん、世界中で愛され 演奏されている、管楽器のための行進曲です。
ブラスバンドを始めてから 音楽は私の生活の一部になっていましたが、それまで聴いた どの曲とも違う 圧倒的な音の重なりとメロディーは 衝撃的でした。
その時の演奏もまた 素晴らしかった。
すべての楽器 すべての音が自信に満ちていて、力強い一音一音が 体のど真ん中を たたいているような感覚と 曲に合わせて4/4拍子を打つ胸の鼓動を、ずっと忘れることができませんでした。
記憶は もう微かなものになりつつありますが、会場や演奏者の方々の制服などから、警視庁音楽隊か東京消防庁音楽隊の皆さまの演奏だったのではないかと思います。
「音楽を懸け橋に」と それぞれの音楽隊が発足して以来 続いている定期演奏会や、小・中学校での音楽鑑賞会などの 地域活動も大切にしていると紹介されていました。
私も その演奏を聴いた小学生の一人だったと思います。
たった一度聞いただけなのに、その演奏は私の中に こんなにも長い間、大きな感動を残してくれました。

ウォークマンもワイヤレスイヤホンもなかった ずっと昔の人は、目の前の演奏や歌に 全身全霊で耳を澄ませ 心を傾けていたのかもしれません。
そして演奏者も また、その一曲、一音一音に魂を込めていたのでしょうか。だからこそ生まれる素晴らしい演奏や美しい歌声に、思わず空を見上げてしまったのかも。

今、音楽は もっと自由です。
自分のタイミングで 好きな曲を聴くことができる。
音楽をコントロールして リフレッシュすることもできる。
でも、ふいに どこからか聞こえてきた歌や音楽が、妙に心に刺さるってこと、ありませんか?
コンビニやショッピングモールで、、嘘みたいに 夢のようなタイミングで、、。
その時の気持ちに あまりにもピッタリな歌や音楽に、慰められたり 励まされたり。
それって やっぱり、神様の成せる業なのでしょうか。
音楽の神様の。
そして時には、悲しい気持ちに追い打ちをかけるような 切ないバラードも聞かせてくれる。
落ち込むときは とことん落ち込んで、そして 新しい一歩を踏み出せるように。
そんな奇跡が起こったら、音楽の神様に感謝です。
私に気付いてくれて 私の気持ちに寄り添ってくれて、ありがとう。

音楽や歌は 目に見えない贈り物。
花束みたいに飾っておくことはできなくても、色とりどりの はなびらが舞うように音楽に包まれたら 心穏やかでいられます。
恋をしているなら 幸せも悲しみも不安さえも、歌に変えてしまえばいい。
夏、海岸通りを走る車のラジオから聞こえる曲が、水平線の向こうに沈む夕日を もっと輝かせてくれるかもしれない。
寒い冬、聖夜に一人ぼっちだったとしても、大好きなクリスマスソングが聴こえてきたら、きっと光の街に変わる。

明日 また聴きたい。
そう思える 大好きな歌がある。



                        Love、berry-hsk







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