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これに対して、アベノミクスはそもそもの出発点から、財務省と日銀とはまったく関係がないところから誕生した。

これに対して、アベノミクスはそもそもの出発点から、財務省と日銀とはまったく関係がないところから誕生した。
2018年05月31日
以下は前章の続きである。

アベノミクスは世界標準 
これに対して、アベノミクスはそもそもの出発点から、財務省と日銀とはまったく関係がないところから誕生した。
アベノミクスのなかでもっとも重要な金融緩和については、安倍首相自身が第二次政権発足前の野党時代から独自に勉強を重ねて、理解を深めていた。
よく知られているように、指南役になったのは本田悦朗スイス大使や浜田宏一エール大学名誉教授、高橋洋一嘉悦大学教授らである。
第二次政権発足とともに、本田氏と浜田氏は内閣官房参与に就任している。 それまでの政権は、経済政策と言えば財務省と日銀、あるいは経済産業省などに事実上、丸投げ状態だった。
だが、アベノミクスはまったく違う。
霞が関でも、財務省や日銀のポチ学者・エコノミストでもなく、経済学の理論に忠実な在野の学者、専門家たちに学びながら作り上げてきたのである。 在野とはいえ、異端なのかといえば、そうではない。
機動的な財政政策と金融緩和、それに規制改革を柱とした成長戦略という三本柱の組み合わせは、世界でみれば「経済政策のスタンダード」である。
その証拠に、たとえば当時の主要七力国財務相・中央銀行総裁会議(G7)、あるいはG8の声明を読んでみればいい。
そこには財政政策と金融政策、構造政策を総動員して景気を回復すると書いてある。 
「アベノミクスの新しさはネーミングだけ」と言ってもいい。
肝心の中身は、どんな経済学の教科書にも書いてある、まったく普通の政策パッケージなのだ。
これを言い換えれば、「いかに財務省・日銀の政策が、世界標準からとんでもなくズレまくっていたか」という話でもある。 
たとえば日銀の政策は、批判的な学者の間で「日銀理論」と揶揄されていた。
有名な論争は「日銀が通貨量をコントロールできるか否か」という問題をめぐって起きた。
経済学の教科書に従えば、もちろんコントロールできる。
だが、日銀は頑なに「コントロールできない」と言い張っていた。 
もしも日銀が通貨量をコントロールできないなら、そもそも「日銀は金融政策を実行できない」という話になる。
金融緩和とは、「日銀が市場に流通している国債の購入量を増やすことを通じて、通貨量を増やす」ことにはかならないからだ。
だが、こんな基本的問題でさえも、日銀の言い分と世界標準の理論では大きな隔たりがあったのだ。

この稿続く。

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