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よみの部屋 (エピローグ)

終わりのチャイムが鳴った。

ガチャガチャとランドセルを開け閉めする音、椅子はガタガタ、誰かの笑い声。

うるさい

楓はそう思っていた。

別に怒っている訳ではない。       

だが、いつもはなんとも思わないその声が今は楓をそう思わせるものとなっていた。

うるさい、そんなことばかり思っていると楓はいつのまにか今は使われていない教室の前まで来ていた。

戻ろう、そう思うけどあの雑音の中に戻る気にはなれなかった。

そして楓は教室の中に足を踏み入れた。

ゾワッ、感じたこともない感覚が楓を包んだ。

ここにいてはいけないと本能が言っている。

だけど身体が動かない。

そんな恐怖心にかられながらも辺りを見渡すと一人の女性がいた。

楓の視線はその女性に釘付けになった。

女性が綺麗な顔立ちをしていたからではない。

楓を釘付けにしたのは美しい顔の上にある痣だった。

とても大きな蝶の形をした痣。

こちらの視線に気づいたのか、ふんわりと微笑んだ。

「川崎 楓さん、あなたがこんなに早くここにくるなんて意外でした。」

なんで名前を知ってるの、そう言おうと思ったけど声がでない。

すると女性は言った

「自己紹介が遅れました。私はよみと申します。何年かに一回よみの部屋という集まりを開いています。良かったらここにいらした方のお話を聞きませんか?」

何故だろう。

私は途端にこの人の話を聞かなければと思ってしまったんだ。

怖い、けど聞きたい

結局私は頷いてしまった。



続く


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